リバティ・メディアが2017年にF1を買収して以降、スポンサー契約やパートナーシップ契約でF1に関わるアメリカ籍の企業は2倍以上に増加したとウイリアムズは明かした。
今年の5月、初開催そしてアメリカ国内で2レース目となるマイアミGPが開催され、オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で行なわれているアメリカGP同様に超満員の大観衆がサーキットを埋め尽くした。リバティはF1買収後積極的なマーケティングを展開し、NetflixのF1ドキュメンタリーシリーズ『Drive to Survive』も大ヒット。来季にはオースティンも含めアメリカ3レース目となるラスベガスGPも決定するなど、今アメリカではF1旋風が巻き起こっている。
■変わりつつあるF1のスポンサー事情。広告塔の域を超えたより深いパートナーシップへ
過去数十年に渡り開拓してきた大きな市場であるアメリカで、ようやくF1が花開いた。その効果はレース数だけではなく、F1に向けられた関心にも表れている。現在、AmazonやGoogle、Oracleなど、アメリカの大手企業もスポンサーとしてF1に参加しているのだ。
Financial TimesとMotorsport NetworkによってモナコGPの際に開催された「ビジネス・オブ・F1フォーラム」に出席したウイリアムズのコマーシャル・ディレクター、ジェームズ・バウアーは、チームの分析によるとF1に関与するアメリカのブランド数が大幅に増加していることが分かったと語った。
「2015年、F1に参加していたアメリカ籍の企業は45社だったが、現時点で108社。つまり2倍以上の増加だ」とバウアーは言う。
「技術パートナーについて言えば、F1は紛れもなく最も”データ主義”のスポーツであり、特に北米からテック企業が数多く参加してきている」
「興味深いことに、我々ウイリアムズの場合はドリルトンと新しいオーナー契約を結んだ。ドリルトンが何をしている企業なのかはあまり知られていないが、彼らは基本的にニューヨークを拠点とするプライベート・エクイティ・ファンドで、持株会社の一覧表もある」
「彼らが実際に行なっているモノのひとつがドリルトン・ベンチャーで、マシンやドライバー(のスーツ)にも載せられている。そして彼らはテック系ベンチャー企業の発起人たちとF1を活用している。彼らはたとえアメリカにいたとしても、F1が大好きなのだ」
「彼らは、ウイリアムズと共にそうした企業に投資する機会を通じ、『チームに迎え入れよう』と言って、シリコンバレーの大手投資企業に対抗しようとしている。これは人々にとって、とても魅力的なことだ」
実際、ウイリアムズにはドリルトン傘下の企業がチームパートナーとして参画している。
またバウアーは、アメリカでのF1の成長は外から見るとここ数年の”急展開”にも見えるが、成長の始まりは2012年に復活したF1アメリカGPまで遡ることができると語った。
「(アメリカに)印象的な”ホーム”ができたことで、我々は成長を実感し始めた。(2018年からは)ESPNがアメリカ国内でF1放送を始め、年齢層が少し若年化した。このスポーツにとても重要な視聴者数の緩やかな増加も見ることができる」
「そしてもちろん、F1を買収したリバティが一流のマーケティングとマネジメントプロセスを導入し、成長するスポーツへと変えた過去5年間もそうだ」
「これは驚異的なモノだ。『Drive to Survive』と、この前の素晴らしいマイアミでの新レースがその頂点……そう大きな成長だ」
F1のレースプロモーション責任者を務め、マイアミGPとラスベガスGPの長期的なF1開催契約締結に重要な役割を果たしてきたクロエ・ターゲット-アダムスは、アメリカでのF1ブームについて次のように感じているという。
「素晴らしい商品としてのレース、若い”ヒーロー”ドライバーが集まった素晴らしい世代、そしてNetflix効果……全てが良いタイミングで来たからこそ、(F1が)ついにヒットした」と彼女は言う。
「開催地としてマイアミでは、(NFLチームの)ドルフィンズと共に2017年から取り組みを始め、それがついに実現した。10年の歳月をかけて開発を進め、COTAでは40万人以上の観客動員を成功させたこの時が、世代間を越えたエンゲージメントができる好機だと感じている」
「こうしたことが重なることで、将来的な成長が見込めるのだ」
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