三菱自動車とDeNA(ディー・エヌ・エー)は、物流車両や営業車、自治体の公用車、カーシェア・レンタカーなど商用電気自動車(EV)分野におけるコネクテッドカーの協業モデルの検討を開始したことを2022年3月24日に発表した。
両社は、自動車メーカーとインターネット企業双方の強みを最大限に生かすため、自動車メーカーのデータ主権や既存の車両システムを維持しながら、EVの車両データ管理や各種サービス事業者との連携はクラウド事業者が担う、水平分業型の産業構造の構築を目指す。
また、この新たな機能分担を通じて、商用EVのLTV(ライフタイムバリュー=顧客生涯価値)を最大化させる新しい経済モデル、サーキュラーエコノミー(資源投入量や消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながらサービス化などを通じて付加価値を生み出す)にも挑戦する。
今回の協業モデルの検討を行う背景には、通信フォーマットや車両データの規格が各社で異なっていることがあげられる。
現在、自動車メーカー各社が力を入れる車両とクラウドをモバイル通信によってつながるコネクテッドカーでは、通信フォーマットや車両データの規格が各社で異なることや、個人向けを中心としたコネクテッドサービスが自社ブランドの車両のみで利用することが多いことから、通信フォーマットや車両データの規格が違うことが問題になりにくい状況にある。
しかし、カーシェアリングやレンタカー、EVを蓄電池として電力連携させるサービスなどでは、さまざまな車種やメーカーのEVを扱うコネクテッドサービスを展開しようとすると、規格の違いをすり合わせる技術開発などがサービス事業者に大きな負担となるばかりか事業を行う上での制約にもなってしまう。
これはデータを提供する自動車メーカーにも当てはまり、第三者のサービス事業者にその都度対応していくことは非効率でもある。
そのため、商用車向けのコネクテッドサービスを本格的に普及させるためには、車両、クラウド、サービスそれぞれで分業化するのが合理的であるという。すでに欧米ではこの水平分業化が進みつつある。
自動車メーカーである三菱自動車は、国内で唯一軽商用EVの「ミニキャブ・ミーブ」を販売しており、これまでも、ミニキャブ・ミーブを用いて国内外の物流会社などと共に、さまざまな実証実験に参画。商品力の強化とEVのさらなる普及に取り組んでいる。
また、車両のコネクティビティ機能の強化を目指し、“With Partners”という思想のもと、異業種との積極的なパートナーシップを検討している。
インターネット企業であるDeNAも、自動車メーカー各社のEV情報をクラウド管理するとともにデータサイエンスを活用した効率性や環境性、経済性、製品寿命などのデータ分析を行い、各社のEV情報を共通形式でサービス事業者に提供するシステムを開発している。
これら両社の取り組みを生かしながら、今後、モビリティビジネスにおける自動車メーカーとインターネット企業の協業というかたちで、自動車メーカー主導の垂直統合型から異業種連携による水平分業化への新たな産業構造変革に挑戦する。
両社は新たな産業構造を通じ、EVの共同利用やエネルギー活用など、多用途化による日常の稼働率の向上や、バッテリーの劣化により変化するEVの車両性能とユーザーの利用用途とを高精度にマッチングさせることによる車両寿命の延伸、車両としての役目を終えたEVバッテリーの再利用など、多用途化と長寿命化により、EVのLTVを最大化させる新たなサーキュラーエコノミーの実現を目指す。
〈文=ドライバーWeb編集部〉
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みんなのコメント
今更感はあるが足車としてはこれで充分なんだよね