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【英国版2.0LスカイアクティブGへ試乗】マツダMX-5(ロードスター) 装備を見直し

掲載 更新 10
【英国版2.0LスカイアクティブGへ試乗】マツダMX-5(ロードスター) 装備を見直し

キャパシター利用のエネルギー回生システム

text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)

【画像】歴代マツダMX-5(ロードスター) 全84枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


4代目となるマツダMX-5(ロードスター)が発表されたのは、2015年。当初、英国のクルマ好きはスペックを知ると、エンジンのパワー不足に嘆いた。

英国仕様の場合、1.5Lユニットは130psで、2.0Lユニットは少々刺激が多かったとはいえ、160ps。そんな英国人の嘆きが届いたのか、2018年にはトップグレードに搭載されるエンジンは183psを獲得した。

加速性能が改善され、低回転域でのサウンドはボリュームアップ。同時にメカニカル面での改良も若干受けている。

MX-5は、2020年に向けてラインナップが見直された。現在手に入る最も身近なスポーツカーとして、扱いやすさを拡張しつつ、モデルレンジ全体での装備の充実を図っている。

英国ではGTスポーツ・テックと呼ばれるトリムグレードがトップ。ガンメタルのBBS製アルミホイールにステンレス製のスカッフプレート、レッドレザーのインテリアなどがMX-5を彩る。

マツダのi-Eループと呼ばれる、キャパシターを利用したエネルギー回生システムを2.0Lに搭載。アイドリング・ストップ機能も同時に採用された。

2.0Lエンジン版のMX-5に共通する内容として、英国仕様ではビルシュタイン製のショックアブソーバーに、フロント・ストラットブレース、リミテッド・スリップデフが与えられた。試乗車も同様だ。

都市部では静かに、郊外では活発に

今回のスポーツ・テックの場合、英国価格は2万8395ポンド(383万円)。17インチのアルミホイールにバックカメラ、アダプティブLEDヘッドライトなど、値段に負けない装備を得ている。

MX-5をスポーツカーらしく走らせるには、スカイアクティブ・エンジンを熱い状態に保っておく必要はある。だが落ち着いた速度域では、一般的なファミリー・ハッチバックのように静かにも走れる。思いがけず驚く。

燃費も充分に良い。マツダによれば、2.0L 4気筒エンジンのWLTP値は14.5km/Lだという。特徴でもある軽量な構造によるところが大きいが、新たに獲得したi-Eループも貢献しているのだろう。

アイドリング・ストップ機能は、歓迎すべき機能に感じる。人の多い都心部を走っていても、電動化技術を搭載しないスポーツカーを運転している、という罪悪感を感じる量が小さくなる。

マツダ3と同じように少々過剰に機能する印象だが、アクセルから足を離すとエンジンは停止。停止中にクラッチペダルを踏み込むと、再び始動する。

MX-5のパワートレインが持つ素晴らしい特徴が、性格の異なる二面性を備えていること。回転数を上げずに都市部を走れば、静かに快適に走ることができる。彫りの深いレザーシートに包まれながら、わずかなガソリンで運転できる。

郊外へ辿り着いたのなら、カーブの連続する道を意のままに駆け抜けられる。周囲の注目を不要に集めることもなく、ドライバーの心の真ん中を掻き立ててくれる。

懐が深く扱いやすいFRモデル

従来どおりMX-5は、後輪駆動モデルのドライビング体験を楽しませてくれる。新車として手に入る中で、最も懐が深く、扱いやすいFRモデルの1つだ。

動的性能のレスポンスは、価格が遥かに上のスポーツモデルと同等。0-100km/h加速は6.5秒と、不満は感じないものの、目立って鋭い加速ではない。限界領域まで迫っても、制限速度を大幅に犯す心配もない。

優れた運動性能を支えるビルシュタイン製のサスペンションは、荒れた路面やスピードバンプでの強い衝撃を生んでしまう。常に不愉快さを伴うほどではないものの、荒れた路面では特に、揺れのせいでソフトトップがカタカタと音を立てることもある。

コンパクトなボディを活かし、舗装の剥がれた穴は、ステアリングで回避すれば良い。それに、引き締められた足回りから得られるメリットは、デメリットを大きく上回る。

コーナリングは素早くフラット。標準サスペンションで見られた、低速域での無駄な動きは姿を消している。

装備が充実したMX-5でも、荷物や小物への空間は依然として小さい。トランクには、中くらいのスーツケースが1つ納まるだけ。

センターコンソールに小物入れはあるが、ダッシュボードにはグローブボックスもない。ドアポケットすらない。高速道路での長距離ドライブも楽しめるMX-5だけに、少し残念に思える。

屋根を下ろせばロードスターだけの世界

絶え間なく聞こえてくる風切り音も、悩みのタネ。それさえ我慢すれば、マツダMX-5をホットハッチのように、日常的な移動の足として乗ることも問題ない。

英国では、スポーツサスペンションではない、標準サスの2.0Lエンジン搭載車がラインナップから外れてしまった。リラックスした乗り心地を備えた、高性能エンジン版を求めていた人にとって、少し残念なお知らせかもしれない。

それでも従来にも増して、マツダを代表する小さなスポーツカーは、マルチな実力に磨きがかけられた。街乗りもいとわず、郊外での実力は侮れない。

マツダMX-5(ロードスター)は、楽しさでは価格で並ぶホットハッチに負けない。たとえ最高出力の数字に差があったとしても。

温かい春が来たらルーフを下ろし、右足に力を入れてみる。ほかのクルマには真似することができない世界が待っている。

マツダMX-5(ロードスター)2.0スカイアクティブG スポーツ・テック(英国仕様)のスペック

価格:2万9185ポンド(394万円)
全長:3915mm
全幅:1735mm
全高:1230mm
最高速度:218km/h
0-100km/h加速:6.5秒
燃費:14.5km/L
CO2排出量:155g/km
乾燥重量:1127kg
パワートレイン:直列4気筒1998cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:183ps/7000rpm
最大トルク:20.8kg-m/4000rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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みんなのコメント

10件
  • 何よりロードスターに大切なのはトータルバランス。
  • 2Lでもパワー不足って言われてるのに国内で何故に2L出さないのかな?NCでもサーキットで意外に速いし悪く無いのだが社外ハードトップ無かったりアフターパーツが微妙だからな···
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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