終盤3戦の大詰めを迎えた2023年SCBストックカー・ブラジル“プロシリーズ”の第10戦が10月27~29日にアウトドローモ・ヴェロチッタで開催され、前戦でも今季2度目のポールポジションを獲得していたフェリペ・フラーガ(ブラウ・モータースポーツ/シボレー・クルーズ)が好調を維持。土曜予選ではシリーズ3連覇王者のダニエル・セラ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)と完全同率タイムでの2戦連続ポールポジションを奪ってみせる。
しかし決勝ではトップチームの戦略が史上最年少王者の勢いを上回り、レース1はセラが今季3勝目。レース2では僚友リカルド・マウリシオ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)が同じく2勝目を飾る結果に。
フェリペ・マッサが耐久レースにデビュー? デイトナ24時間参戦を睨みLMP3をテスト
この最終ヒートでは予選Q2でガエターノ・ディ・マウロ(ホットカー・コンペティション/シボレー・クルーズ)と同率タイムだったフェリペ・マッサ(ルブラックス・ポディウム/シボレー・クルーズ)も、最終ラップまで首位を追い詰める殊勲の2位表彰台を獲得している。
アルゼンチンとの相互交流戦『ブエノスアイレス200km』の週末を経て、サンパウロ内陸部での通常イベントに回帰したSCBは、金曜FPから2016年チャンピオンが良好な滑り出しを見せ、隣国の首都でポールを獲得したスピードをそのまま持ち込んでのトップタイム発進とした。
「とてもポジティブな一日だった。今季は難しいスタートを切った後、僕らはチャンピオンシップでつねに進化している」と前戦は週末最多得点者となり、今季5度の表彰台を獲得してきたフラーガ。
「FP最速にあまり意味はないかもしれないが、僕らは戦いの最前線に戻ってきたと思う。まだ3戦が残っていて、前途には多くの可能性がある。自分たちのやるべきことをやり続け、タイトルを争うチャンスのある状態で(最終戦の)インテルラゴスに到達したい。そのためにも力強く進み続けることが重要だし、選手権首位のガブリエル・カサグランデ(A.マティス・フォーゲル/シボレー・クルーズ)からポイントを奪っていかないとね」
迎えた土曜午後の予選は直前の雨でQ1はフルウエットで始まると、セッションが進む間にみるみる路面状況の改善が進む難しいセッションとなる。そんななか、Q2終了時点で1分31秒989の完全同タイムを記録したディ・マウロとマッサは明暗が分かれ、前者が先にタイムを記録したことでポール争いに進出し、チャンピオンタイトル係争中の元F1ドライバーはQ2敗退の7番グリッドが確定する。
そんなドラマティックな展開はQ3でも続き、フラーガとセラが1分31秒089を記録し、同じく先行した28歳の史上最年少SCBタイトル記録保持者が、キャリア通算11回目の最前列グリッドを射止めた。
「ダニエルとポールを争えるのは本当に素晴らしいことだ。僕が彼から奪ったものはいくつかあり、彼が僕から奪ったものもたくさんあった(笑)。彼は素晴らしいドライバーだが、今日はうまくいったのでとてもうれしいね」と近年はグローバルシーンでも活躍を演じるフラーガ。
「今季3度目のポールポジション、マシンは非常に良くステージが進むごとに良くなっている。その点でもブラウ・モータースポーツには感謝しなければならないし、今は明日に集中して彼らとの初勝利、そして少しでもポイントを稼ぐことに集中したい」
■「すべてうまくいった」とセラ。レース2はマウリシオが通算37勝目
日曜正午に開始された30分+1周のレース1は、宣言どおり2番手にセラ、3番手にカサグランデを従えたポールシッターが、前半スティントでリードを維持していく。
しかしピットウインドウが開いた直後に義務作業のルーティンへ向かった首位フラーガに対し、背後のセラが別の戦略を採用しフリーのトラックでアンダーカットを狙う。この作戦が見事に的中し、11周目のピットを終えてコースに復帰したセラはブラウの88号車に先行。シボレー同士の対決を制した3連覇経験者がキャリア通算24勝目を手にした。
「それはパフォーマンスと戦略の組み合わせだった。僕らは適切なタイミングでピットストップを行い、チームはふたたび完璧な作業でタイムを稼ぐことに成功した。後半のセーフティカー(SC)の後は少し苦労したが、それ以外はすべてうまくいったね」と今季3勝目を挙げたセラ。
このヒートで9位に入ったマウリシオと、10位だったシリーズ5冠の“帝王”カカ・ブエノ(KTFスポーツ/シボレー・クルーズ)がフロントロウに並び、リバースグリッドで始まったレース2も強豪ユーロファーマRCが戦略をリピート。
序盤はブエノに先行されつつも、落ち着いてペースを維持したマウリシオが義務ピットを引き伸ばして逆転に成功。その背後にはチアゴ・カミーロ(イピランガ・レーシング/トヨタ・カローラ)をパスしたマッサが迫ってくる。
マウリシオはマッサのプレッシャーを抑えつつ最終ラップに入り、3番手のブエノ以下、フェリペ・バプティスタ(KTFスポーツ/シボレー・クルーズ)とフラーガが僅差で続いていくと、コース上でのトラブルによりふたたびSCが介入する。
残り2分弱でグリーンフラッグとともにレースが再開され、マッサはストックカーでの初勝利を目指し全力を尽くして首位との接触上等バトルを演じるも、シリーズ3冠を誇る元王者の壁は厚く、マウリシオが帝王ブエノに並ぶシリーズ最多タイの37勝目を飾ってみせた。
「難しい週末だったが、僕らのチームはFP以来、なんとか良い仕事をすることができたということ。ダニエルが最初のレースで勝ち、僕がレース2で勝利した。序盤はカカと、その後はフェリペ・マッサとの戦いで消耗したが、本当に重要なのは戦略だった。37勝目に到達できて最高に幸せだ」と、前戦TC2000のゲストヒートでもFFツーリングカーで勝利を飾っていたマウリシオ。
これでわずかにカサグランデが選手権リードを拡大した2023年シーズンのSCBは、11月24~26日にパラナ州西部カスカバルにあるアウトドローモ・インテルナシオナル・ジルマー・ビューで第11戦が開催される。
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