2025年シーズンのF1はまだ開幕して2戦目という段階だが、レッドブルは早くも昨年と同じ悩みに直面している。そのマシンがマックス・フェルスタッペンしか扱えないようなピーキーなマシンとなっており、新たなチームメイトとなったリアム・ローソンがほとんどのセッションで最下位付近に終わってしまっているのだ。
では、レッドブルはこの状況をどのように解説するのか? motorsport.comのライター陣がそれぞれの見解を示した。
■ローソン、レッドブルシート争った角田裕毅に「同情はない。今は僕の番」しかし開幕後大苦戦で今後に暗雲も?
ローソンには時間とサポートが必要:オレグ・カルポフ
すべてがあまりにも予測できる展開だった。F1でわずか11戦しか経験していないリアム・ローソンをトップチームに昇格させれば、苦戦するのはほぼ必然だった。なぜならその仕事には、非常に優れたチームメイト、最も扱いにくいマシン、そして容赦のない環境がついてくるからだ。
ローソンはプレッシャーに強く、メディア対応を見ても今のところ正しいアプローチを保っていると言える。言い訳をせず、パニックに陥らないこととが、彼にとって今必要だ。しかしF1で10年以上の経験を持つセルジオ・ペレスでさえ、最終的には完全にメンタルが崩壊してしまったことを考えれば、それでも難しい状況だ。
今ここで彼を交代させれば、レッドブルは同じ過ちを繰り返すことになる。彼らは若い才能を信じることで有名だが、その才能をあまりにも早く燃え尽きさせてしまうことでも知られている。角田裕毅(レーシングブルズ)の昇格を見送った判断は正当なものだとは言えなかったが、決断は既に下されたわけで、今はその選択肢を貫くべきだ。
メルセデスのトト・ウルフが新人アンドレア・キミ・アントネッリにしたようなアプローチで、レッドブルはローソンを支えるべきではないのか? この困難な時期を乗り越えるためにローソンをサポートすることが、唯一の正しい答えかもしれない。
ローソン自身が「時間が必要」と認めながらも、その時間が与えられていないと感じているのは気がかりな点だ。彼には十分なプレッシャーがかかっているのだから、レッドブルの上層部は彼の重圧を取り除くためにできる限りのことをしなければならない。確かにF1は結果がすべての世界だが、結果は自分の力を最大限発揮できる環境でこそ生まれるものだ。
さらにシーズン途中で角田を昇格させることも、彼に大きなプレッシャーをかけることに他ならない。プレシーズンテストもなしに扱いにくいと言われるマシンを渡し、『君はこのマシンを望んだんだ。結果を出してみろ』と言われるのはあまりにも酷だ。それで彼を潰してしまうリスクもある。
ローソンにはもっと時間が必要だが、時間以上に必要なのはサポートである。
マシンを変えるしかない:スチュアート・コドリング
「狂気とは即ち、同じことを繰り返して違う結果を期待することだ」
アルベルト・アインシュタインの名言だと誤って伝えられているこの言葉だが、内容こそ的を射ている。今回の件で、この言葉がまず頭に浮かんだ。レッドブルはまたしても“ピアニスト”を撃ってしまうとしているからだ。
リアム・ローソンは、開幕戦オーストラリアGP、そして中国GPでも悲惨な数日を過ごしたことで、レッドブルに解雇されるのか、レーシングブルズに降格するのかという憶測が飛び交っている。ただその場合、当初ローソンよりも評価を得られなかった角田裕毅が、今度はマックス・フェルスタッペンの隣の“呪われた”ガレージに送られることになる。
レッドブルはこの手のケースで多くの前例がある。ダニール・クビアト、ピエール・ガスリー、アレクサンダー・アルボンは、あまりにも早く消耗させられ、ヘルムート・マルコ率いる若手育成プログラムは人材不足に陥った。そこで経験あるドライバーを起用するという方針となり、セルジオ・ペレスがその役割を果たすことになったが、最終的には彼も悲惨な末路をたどった。そこでチームは理想の人材ではなく、「今のところはこれで良い」といった選択肢を取ることになった。
当たり前のことを言うようだが、問題はおそらくシートに座っているドライバーではなく、その周囲を高価な合金とカーボンファイバーで取り囲んだピーキーで扱いにくいマシンにあるのではないだろうか。
もちろん、マシンに変更を加えるのは高くつく。しかし2025年マシンRB21のミッションは、ピーク性能をいくらか犠牲にしてでも、そのピークに達しやすくすることだったのだ。チーム自身がその方法を見失っているのだと思われる。
失敗した戦略を繰り返すのではなく、そろそろ新しいアプローチを試す時が来た。Netflixの『Drive to Survive』シーズン5で配信されたことでお馴染みの、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表自身がチーム代表者会議の際にメルセデスのウルフ代表に言った言葉を借りれば、「問題があるなら、クルマを変えろ」だ。
自分で蒔いた種だ、自分で刈り取るしかない:マーク・マン-ブライアンズ
少々乱暴な言い方をすれば、レッドブルは自分たちで作ったマシンに合うドライバーを見つけるしかない。
問題は、そのマシンを手懐けられるのがマックス・フェルスタッペン以外には誰もいないという点だ。RB21はこれまでの何世代にもわたるレッドブルのマシンと同様、フェルスタッペンだけのために設計されている。
レッドブルはその事実を受け入れるべきだ。F1のルールでは、各チームは2台のマシンとふたりのドライバーを構える必要があるが、もしその規則がなければ、クリスチャン・ホーナー代表はフェルスタッペンひとりでチーム運営を済ませる方が時間もコストも節約できると考えるだろう。
チームは有望なルーキー(そしてセルジオ・ペレス)を次から次へと試し続け、フェルスタッペンに対抗できる存在を見つけようと苦戦してきた。4度の世界王者であるフェルスタッペンを相手にするのはただでさえ難しい挑戦にもかかわらず、これほどフェルスタッペンに最適化されたマシンではさらに難しくなる。
昨シーズン、フェルスタッペンが4度目のドライバーズタイトルを獲得した一方で、ペレスはレッドブルという“荒波”に飲まれてしまった。リアム・ローソンもすでに浮き輪が必要な状況だが、仮に角田裕毅、アイザック・ハジャー、アービッド・リンドブラッドに交代したとしても、同じ状況が繰り返されるだけだろう。
だからこそ、レッドブルは全ての卵がフェルスタッペンのカゴの中にあるということを認めるべき。他のドライバーたちにF1史上最強のドライバーとマシンのパッケージを相手にさせ、キャリアを賭けたチキンレースをさせるのは酷である。
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みんなのコメント
チームをフォードに価値あるうちに売却するか二つに一つですね。
適性があるかどうかを度外視でドライバーを選択してるからこうなる。