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スバルWRXファイナル・エディションに試乗 歴史や今後に思い馳せる

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スバルWRXファイナル・エディションに試乗 歴史や今後に思い馳せる

もくじ

ー ひとつの時代の終わりがきた
ー 英国でのインプレッサの物語
ー 古典的に感じさせるところ
ー アナログ的な機械とのつながり
ー 「愚かにもそれを見過ごしてきた」
ー WRX復活、希望はあるか
ー スバルWRXファイナル・エディションのスペック

ランサー・エボVI トミ・マキネン・エディション vs インプレッサ22B STi 前編

ひとつの時代の終わりがきた

見納め。かつてスバルや三菱の屋台骨を支えたラリーレプリカもこれで最後になる。WRX STiファイナルエディションは、かつてインプレッサとして知られたこのクルマの最後を飾る合計150台の最終モデルである。この後に続くものはない。

ここまで長くかかったというべきだろう。2011年に三菱はエボXが最終モデルになると言い、結局は本当にそれがスバルWRXと三菱エボの終わりの始まりだった。

スバルはWRXの存在意義であり、その車名の由来ともなった世界ラリー選手権から既に撤退している。つまり、ロードカーのホモロゲーションが不要になった以上、この日が来るのは決まっていたのだろう。

われわれはこの四半世紀でラリーレプリカ・モデルの誕生と成長、そしてその終焉を目撃したことになる。

もちろん、このWRX STiスポーツセダンと同じくらい、もしくはもっとパワフルなクルマとなれば依然として無視することなどできないが、それでもWRXには何か特別なものがあるのだ。

だからこそ、われわれはスコットランドまでやって来た。スコットランドの道は空いていて広く、さらに挑戦し甲斐があって、まさにスバルのための道のようだ。ここでこの最終モデルを試してみれば、われわれが何を失い、そして何を惜しむことになるのかがわかるだろう。

英国でのインプレッサの物語

英国でのインプレッサの物語は、それ以前から既に数多くの並行輸入車が上陸していたものの、ターボ2000が正規輸入を開始した1994年に始まったといえる。

当時のターボ2000は水平対向4気筒のボクサーエンジンを積み、シンメトリカル4WDを備えた全長4.3mのセダン・モデルだった。インテリアは決して褒められた出来ではなかったが、パフォーマンスは素晴らしく、その211psのパワーは、手ごろな価格のスーパーカーが持つ限界をすぐに塗り替えることになった。

この24年の間に、数え切れないほどのモデルや高性能バージョン、さらには特別仕様が登場したが、もし目隠しされたままで初期モデルから、この最新のWRX STiに乗り換えたとしても、初代インプレッサに乗ったままだといい意味で勘違いするかも知れない。

これは、最新モデルもボクサー・ターボを積んだセダンであり、時代に合わせてその車体は長く、幅広く、そして重くなり、いまやその出力は300psに達してはいるものの、依然としてシンメトリカル4WDを搭載しているからだろう。

個人的にはあまり関心がないが、もし2地点間をより速く移動できるクルマが欲しければ、3万3995ポンド(516万円)のプライスタグを掲げたWRX STiは、同等のパワーを持つライバルたちよりも優れた存在だといえる。今や多くのホットハッチでさえ、さらに大きなパワーを備えている時代だが、この事実は変わらない。

ともあれ、走りだそう。

古典的に感じさせるところ

もし、しばらくの間スバルに乗っていなければ、このファイナルエディションで驚かされるのは、その現代風のインテリアだろう。

依然としてやや古臭い感じはするが、メーターの間にはデジタルパネルが収まり、ダッシュボード上には感覚的なGメーターとでもいうべきパフォーマンス・メーターが設置され、センターコンソールの低い位置にはタッチスクリーンまで設けられている。ここまでは他のライバルたちにもひけはとらない。

組立品質と仕上げも素晴らしいが、残念ながら、そのデザインと使われているマテリアルの質感については依然改善の余地ありといわざるを得ない。

しかし、このクルマを古典的に感じさせるのはインテリアではない。それはブレーキ、クラッチやギアシフトの重さである。特にクルマが十分温まっていない状態では操作がしにくく、ステアリングも重くて、ロードノイズは盛大だ。このクルマは驚くほどうるさい。

おそらく、その理由の一端は標準よりも1インチ大径となるオプションの19インチホイールによるものだろう。この大径ホイールを収めるためにストロークを縮められたダンパーと強化されたブレーキ、そしてリアのビスカス式センターデフがこの最終モデルのメカニカルな部分での変更点となる。

ホットハッチや、スポーツセダン、さらにはスーパーカーと比べても、WRXにはよりクルマとの一体感を感じさせるダイレクトさと、荒々しいまでの力強さが備わっている。重いステアリングは高速道路上での安定性につながってはいるが、その6速ギアでのクルージングはいまでは珍しいほどの高回転であり、燃費は8.8km/ℓだった。

もちろんオーディオの音量を上げても良いが、キャビンでの会話は常に囁くというよりは叫ぶというほうがふさわしい。しかし、クルーズコントロールは装備されており、見た目はそれほどアグレッシブには見えないシートもホールド性は素晴らしい。

アクセル、ブレーキとクラッチの各ペダル間隔も十分で、適切なドライビング・ポジションをとることが可能だ。その古臭いフィールにもかかわらず、エルゴノミクス的には素晴らしい環境である。

それでも、これがWRXの真の姿ではない。

アナログ的な機械とのつながり

このクルマの真骨頂とは、他のクルマではグリップやトラクションを失ってしまうような厳しいコンディションでこそ発揮され、基本的にその性能はこういった条件で最も速く2地点間を移動するためにある。結局、こういった性能こそがラリーカーのホモロゲーション・モデルに求められるものだったのだ。

だからこそ、英国の中でスコットランドほどこういった種類の速いクルマを求めるひとびとが多くいる場所はない。スコットランドでは天気が簡単に悪化するために、こうしたクルマへの需要が常にあり、さらにドライバーの運転スキルも非常に高い。ここのひとびとはエンジンが多少うるさくても、それを気にしたり、文句をいったりするようなことはしないのだ。

WRXのエンジンはいつものように回転数を上げていく。いまでは2.5ℓまで排気量を拡大したこのエンジンは、最近のスーパーハッチのようなサウンドのチューニングやオーバーレブの自動警告などはしてくれない。

このエンジンはドライバーの求めに応じて必要なだけ空気を吸い込み、大げさなほど急激なパワーの盛り上がりを伴って7000rpmのレッドゾーンまで回転を上げていく。かつてに比べればフラット4が奏でるサウンドも整ったとは言え、依然として独特で非常に魅力的だ。

確かに古典的ではある。しかしこのエンジンは、排ガス規制(WRXのCO2排出量は252g/kmだ)を満足させるよりも、真剣なドライバーの求めに応じて長年にわたり磨き上げてられてきたギア比にマッチすることを優先しており、そこには本物の技巧とエネルギー、そしてどんなレベルのドライバーにとってもWRXを運転することの喜びが存在する。

硬いが安定して抑制のきいたその乗り心地と相まって、多くが経験したことのある、このやみつきになるような、アナログ的とも言える機械とのつながりこそ、スポーツカーを運転することの根源的な楽しみだろう。もちろん、これは非常に身体的な感覚だが、ではこれ以外にやるべきことなどあるだろうか?

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