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父はフェルスタッペンを支える敏腕マネジャー。「兄のような」マックスから薫陶受け、GT3で奮闘する20歳の素顔

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父はフェルスタッペンを支える敏腕マネジャー。「兄のような」マックスから薫陶受け、GT3で奮闘する20歳の素顔

 フェラーリ296 GT3を駆り、スイスのエミル・フレイ・レーシングからGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ/スプリント・カップとDTMドイツ・ツーリングカー選手権にシリーズ参戦する若きルーキードライバー、ティエリー・フェルミューレン。

 彼の父はF1ワールドチャンピオン、マックス・フェルスタッペンの敏腕マネージャー、レイモンド・フェルミューレンだ。ティエリー自身も、フェルスタッペンが経営する『Verstappen.com Racing』に所属している。

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 この世界、“父がレーシングドライバー”という2世は珍しくないが、“父がF1世界王者の右腕”というドライバーは、そうはいないだろう。いったい彼は、なぜモータースポーツの世界を志すようになったのだろうか。

 ティエリーに、彼自身のこと、そして父やマックスとの関係について聞いた。

■カートもフォーミュラも経験なし。GT4でレースの世界へ

──まずは、あなたのことについて教えてください。

ティエリー・フェルミューレン(以下、TV):僕はオランダ出身で現在はモナコ在住の20歳だ。僕のレースキャリアは2020年にポルシェ・カレラカップ・ベネルクス(ベルギー・オランダ・ルクセンブルグの三カ国共同)と一緒に開催されているポルシェ・スプリントチャレンジ・ベネルクスに、ケイマンGT4で参戦することから始まった。

 初めてレースに参戦した年だったが、予想に反してGT4のシリーズチャンピオンを獲得できたこともあり、そのシーズンの終わりに僕の父、マックスとヨス(・フェルスタッペン)と4人で集まり、今後の僕についての話し合いが持たれたんだ。

──あなたのその後の進路はどういった方向へ?

TV:僕はプロのレーシングドライバーへ進むことを望み、この4名でのミーティングでは次のステップとしてポルシェ・カレラカップへ参戦することを決めた。2021年のシーズンはカレラカップ・ベネルクスへシリーズ参戦し、カレラカップのドイツへのゲスト参戦にもチャレンジした。厳しくも難しいシーズンになり、自分なりにもプロへの道の厳しさを痛感した一方で、カレラカップを通して数多くのことを学び、さらなるチャレンジをしてみたいと強く思ったんだ。

──カレラカップの後、次に選んだのはGT3なのですね。

TV:マックス、ヨス、僕の父らと話し合う中で、GT3のフィールドは世界中で非常に強く、トップドライバーらも多く活躍するカテゴリーで将来性もあると判断し、次はGT3へチャレンジすると決心した。

 そこで、カー・コレクションのアウディR8 GT3 LMSで、2022年のADAC GTマスターズへシリーズ参戦をしたんだ。カレラカップと同様にとても難しいシーズンとなり、ルーキーにとって甘いものではなかった。レースを通して多くを学ぶことに集中したよ。

──そして、今季はかなりビッグなチャレンジとなったわけですね。

TV:そのとおり。今季はGTワールドチャレンジ・ヨーロッパのスプリントと、DTMの両シリーズにエミル・フレイ・レーシングからフェラーリでフル参戦した。

 数多くのドキドキとワクワクがあったが、世界トップクラスの先輩ドライバーらとともに戦うフィールドは、僕のようなルーキーには簡単ではなかったし、難しいシーズンだったけど、とても刺激的で良いシーズンだった。

 DTMではジャック・エイトケン、GTワールドチャレンジではアルベルト・コスタという大ベテランの先輩とチームメイトになれたことで、彼らからさざままなことを学ばせてもらった。

──『Verstappen Racing.com』プロジェクトのメンバーですが、実際にマックスとはどのような関係なのでしょうか?

TV:父がマックスのマネジャーである関係で、僕も幼少期からフェルスタッペン家とは深い交流があり、まるで弟のように接してくれている。もちろん、マックスはF1やさまざまなイベントでとても多忙な日々を送ってるけど、それでも必ず僕のために時間を割き、レーシングドライバーに必要なことをさまざまな点からサポートし、アドバイスをしてもらっている。

 レースウイークの合間にはどんなトレーニングをすべきで、次のレースのためにはどんな準備をしなければいけなか、マックスのアドバイスには大変助けられている。互いにモナコに居る際には一緒にシミュレーターをドライブしながら、アドバイスを受けることもある。レースウイーク中にも相談したいことがあれば直接電話をする。マックスはまるで兄のようでもあり、僕のために一生懸命サポートしてくれるので、とても感謝している。


──ところで、突如ヨーロッパのレース界であなたの名前を見掛けることになったわけですが、GT4に参戦する前には、カートやフォーミュラの経験はあるのでしょうか?

TV:カートもフォーミュラもまったく経験はない。2020年のGT4からレースを始めて、いまはレース歴が3年だ。父の職業柄、僕も幼少期からF1やDTM等、モータースポーツには大きな興味は持っていたけど、実際に僕自身がステアリングを握ることになったのは2020年、17歳の時だった。

──キャリア4年目でDTMやGTWCに参戦するとは、ドライバーとしての経験値が圧倒的に少ない分、かなり大変だったのではないでしょうか。

TV:そうだね。他のドライバーは幼少の頃からカート、そこからジュニアフォーミュラ等でしっかりとレースの基礎を学んでからGTレースへ参戦しているけど、僕にはそれらのキャリアは一切ない。レースを始めてちょうど3年、そしてGT3でのレースはまだ2年目だ。

 レースウイークやテストではサーキットで、その準備や復習は自宅で学ぶ日々の繰り返しだが、僕にとってはとても貴重で充実した毎日だ。一般的なドライバーとは違うルートでプロを目指すからには、その分努力をしなければいけない。来年には今季の経験を下に、よりよいスタートが切れるよう、そしてひとつでも前のポジションを狙えるよう、いまからしっかりと準備を重ねたい。

■ゼッケンを『33』から変更した理由

──レース経験の少ないルーキードライバーではありますが、GTWCのスプリント・カップでは、ベテラン勢を押さえてドライバーズランキング総合7位でシーズンを終えるなど、大健闘でしたね。

TV:アルベルト・コスタと組んで挑んだ初めてのGTWCスプリントのシーズンだった。フェラーリ296 GT3は新車ということで、シーズン序盤には数多くのトラブルが発生して悔しい思いもしたが、チーム一丸となってハードワークをこなしてポディウムに四度立つことができ、本当に嬉しかった。

──DTMは1ドライバー、GTWCは2ドライバーで戦いますが、どちらのフォーマットが好みですか?

TV:DTMのフォーマットの方が好き。セットアップやドライビングスタイルは自分ひとりに合わせられるし、ストラテジーも含めすべてが自分専用に用意されるから、他のシリーズのように他のドライバーとの妥協点を考える必要がない。自身のパフォーマンスを試されるレースだと感じているし、自らの責任と判断のもとでレースを組み立てる必要があるから、その分プレッシャーもある。

──ところで昨年ADAC GTマスターズでは、マックスと同じゼッケン『33』で参戦していましたが、今年『69』なのはなぜですか?

TV:本当は尊敬するマックスのナンバーと同じ33を今年も使用したかったんだけど、SROでもDTMでもすでに33は抑えられていたんだ。DTMではレネ・ラストが33を使用しているけど、、もしも彼がWEC等でDTMに参戦できないようだったら、すぐに33を抑えたいと思っている(笑)。

 69はGT4へ参戦していた際につけていて、シリーズチャンピオンになれたので縁起がいいナンバーかなと思ったのと、友人らと話していた際に、「もしクラッシュしてマシンがひっくり返ったとしてもナンバーが分かりやすいのでは?」という冗談から出た数字でもあるんだ(笑)。

──なるほど(笑)。まだお若いですが、レース活動以外では学生なのですか? それともお父様のお仕事をお手伝いなさっているのでしょうか?

TV:去年はまだレースのスケジュールがさほど多くなかったので、ロンドンの大学でビジネスマネジメントを学んでいた。大学で学んだことは非常に興味深く、学生生活を謳歌していたが、今季はGTWCとDTMにシリーズ参戦し、ドバイ24時間レースやガルフ12時間レースなど、他にも数多くのレースにもチャレンジしている。それらに付随してテスト等もあるので、以前のように大学に通うことは難しく、一旦休学をしているんだ。

──忙しかった2023年のシーズンも終了しますが、来年の予定は決まっていますか?

TV:まだ正式には決定していないが、エミル・フレイのチームの雰囲気をとても気に入っているし、僕としては今季同様にDTMとGTWCヨーロッパのスプリント・カップに参戦して、さらに自分自身を磨き、上位を目指したいと願っている。

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