2019年から創設される南半球初のTCR国内選手権、TCRオーストラリアがオフィシャルラウンチとなる『メディア&コンペティターズ・デイ』を開催。シドニー・モータースポーツパークには参戦予定チームやドライバーが数多く集結し、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーにも参戦する2014年バサースト1000ウイナーのチャズ・モスタートらが初めてTCRマシンのステアリングを握った。
この日はすでにオーストラリア大陸に上陸を果たしている4台のTCR車両、アウディRS3 LMS、ヒュンダイi30 N TCR、FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR、そしてフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRがサーキットに持ち込まれた。
新規創設のTCRオーストラリア、初年度カレンダーは全7戦。豪州SC併催はならず
これらのマシンをサンプリングしたドライバー勢には、ティックフォード・レーシングのエースとして2014年のバサースト1000も制しているモスタートを筆頭に、かつてニッサン・アルティマをドライブし、GRM(ギャリー・ロジャース・モータースポーツ)ではボルボの開発も担ったジェームス・モファット、同じく現GRM所属の大ベテラン、ガース・タンダーの妻であるリアン・タンダーやトニー・ダルベルト、BJRの御曹司、24歳のマコーレー・ジョーンズらが名を連ねた。
また、パドックにはオーストラリアのモータースポーツ界を牽引してきたトップチーム、GRMのギャリー・ロジャースやBJRのブラッド・ジョーンズ、昨季限りでVASCのフルタイムドライバーからは退いたジェイソン・ブライトらも姿を見せた。
そのモスタートはHMOカスタマー・レーシングのヒュンダイで初のTCRマシンを経験。モファットはシビックを、タンダーやジョーンズがアウディをドライブし、今季VASCのエンデューロ・カップ登録でファビアン・クルサードと組み、DJRチーム・ペンスキーのフォード・ファルコンFG-Xを走らせたトニー・ダルベルトはゴルフGTIのシートに収まった。
今季VASC最終戦を前に、初のTCR規定ツーリングカーをドライブしたモスタートは「前輪駆動ツーリングカーの経験はあまり多くないけれど、かなり冷静にドライブすることができた」と、そのファーストコンタクトを振り返った。
「市販車のいわゆる“ホットハッチ”みたいな感触もあるし、ある部分では“前輪駆動のGT3カー”という表現も可能だと思う。ハンドリングは最高で、どんなコーナーでもスピードを乗せたままマシンを操ることができる。レーシングカーとして本当にエキサイティングだ」
「マシンの性質やドライバーの満足度の面から見ても、GT3にかなり近いクオリティを感じる。TCRはとてもクールで、この新シリーズには本当に多くの可能性があると思うよ」
TCRオーストラリアはラウンチから3年間はミシュランタイヤのワンメイクに
一方、今季VASCではモスタートとペアを組んでの耐久カップ参戦となったモファットも「ホンダのドライブは本当に楽しかった」と好感触を得たようだ。
「僕もこれがTCR初体験だったけど、このカテゴリーは本当にエキサイティングだね。多くのマニュファクチャラーがこうして参入する魅力があることを再認識できたよ」とモファット。
「世界中のTCRシリーズを見渡せば、どれほど多くのメーカーがマシンを供給しているか、それは驚くほどだ。ここオーストラリアでも数多くの異なるメーカーによるマシンが見られるのが今から本当に楽しみだよ」
またTCRオーストラリアはこの公式ラウンチイベントで、オフィシャルタイヤサプライヤーとしてミシュランとの3年契約を締結したことを発表。さらに暫定カレンダー全7戦のレースフォーマットを、週末3ヒートのスプリント形式とすることもアナウンスした。
ミシュランはTCR黎明期からトップシリーズとして運営されていたTCRインターナショナル・シリーズに3年間のタイヤ供給実績を持っており、現在もいくつかのローカル選手権にタイヤ供給を行なっている。
ミシュランのアジア太平洋地域モータースポーツディレクターを務めるパトリック・ディアスは「TCRオーストラリアとそこに参戦するチームやマニュファクチャラーのパートナーに指名されたことをとても光栄に感じている」とコメントした。
「我々は当然、タイヤ開発のための実験室としてモータースポーツを活用している。レース中に収集されたデータを使用することで、エンジニアは新技術を開発してロードタイヤにフィードバックすることが使命であり、TCRはその意味で最高のカテゴリーでもあるんだ」
シーズン初年度はスプリントレース形式を採用するTCRオーストラリアだが、このフォーマットは“暫定”とされ、2020年度以降は長時間の耐久形式イベントの開催も引き続き検討していく、としている。
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