灼熱地獄なのに冷たい風が出てこない? 夏本番直前に押さえたいカーエアコンが冷えない時の対処法とは?
年々厳しくなる夏の暑さ。気象庁によると、最近30年間(1991~2020年)猛暑日の平均年間日数(約2.5日)は、1910~1939 年の平均年間日数(約0.8日)と比べて約3.1倍に増加しているという。それだけに車の移動では欠かせないエアコンだが、いざ夏本番となった時に「冷たい風が出てこない」という状況は避けたいところ。
そこで、カーエアコンが冷えない時の対処法・原因を、よくある3つのパターンごとに解説。もし、似たような状況に出くわした時の参考にしてほしい。
文/諸星陽一
写真/Adobe Stock
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【ケース1】エアコンのガス不足
エアコンの効きが悪くなり、やがて吹き出し口から熱風が出てきた場合、エアコンガスの不足を疑おう。整備工場、ディーラーや大型カー用品店でエアコンガスの補充ができる(写真:JJ-GouinーStock.Adobe.com)
昨年の夏、家族で出かけた際のことです。なんとなく車内が暑くなってきたなあ……と感じていたら、あれよあれよという間にエアコンの効きが悪くなってきて、やがて吹き出し口から出てくるのは熱風となってしまいました。
私はとっさにエアコンガス不足を疑って、通りすがりの自動車整備工場に駆け込んでエアコンガスを注入してもらい事なきを得ました。これが整備工場やディーラーが一斉に休んでしまうお盆の時期だったらと思うとゾッとしました。(とはいえ、エアコンガスの補充は大型カー用品店などでも行ってもらえます)。
このときはちょっと運が悪かったらしく、使ったエアコンガスが2本だったにもかかわらず2万5000円程度の料金となってしまいましたが、多くの場合は点検と充填工賃で5000円~1万円、エアコンガスが1本1500円~3000円程度(ガスの種類によっては高騰していて非常に高いものもある)と言われています。
ガスは抜けた量によりますが、軽自動車やコンパクトカーで1~3本、ミニバンだと5本くらい使うこともあります。
私の周囲でエアコンの具合が悪くなったという事例はほとんどがこのエアコンガス不足です。エアコンの仕組みは、エアコンガス(冷媒)の気化熱を利用したもので、エアコンガスが不足するとこの気化熱が発生しないのでエアコンが効かなくなるのです。
エアコンガスが不足しているかどうか? は2つの方法で確かめることができます。
ひとつはエンジンルーム内のエアコンラインにある「サイドグラス」と呼ばれる部品での確認です。サイドグラスは、エアコンガスがライン内でどのような状態なのかを目視で確認できる部分です。
エアコン作動直後はサイドグラス内を通過するエアコンガスが泡だらけで白く見えますが、正常ならば次第に泡が収まり透明な液体のなかに数個の泡を確認できる程度に落ちつきます。いつまでも泡が大量に発生しているようならばエアコンガス不足、まったく泡が見えなければエアコンガスがない状態と判断します。
サイドグラスがないクルマの場合はマニホールドゲージと言われる装置をつないで計測しなければなりませんので業者に依頼しましょう。
最近はマニホールドゲージも3000円程度から販売されているのでDIYも可能ですが、ガスを入れすぎるなどしてエアコンを壊すとアッセンブリーで30万円程度の出費となるので、ここはやはり熟練した業者にまかせるのが得策です。エアコンガス補充時には、オイル(1500円~2000円程度)の同時注入も行ったほうがいいでしょう。
【ケース2】エアコン系統のヒューズ切れ
風が出てくるもののエアコンのパイロットランプが点かない場合は、エアコンの電磁クラッチ系統のヒューズ切れが予想される。また風が出てこない場合はブロアファンのヒューズ切れが考えられる(写真:Filippo-Carlot-Stock.Adobe.com)
もっとも単純な故障はエアコン系統のヒューズ切れでしょう。ファンのスイッチをオンにしても風がまったく出てこない場合は、ブロアファンのヒューズ切れが考えられます。
また、風は出てくるもののエアコンのスイッチを押してもエアコンのパイロットランプが点かない場合は、エアコンの電磁クラッチ系統のヒューズ切れが予想できます。
それぞれのヒューズがどこにあるか? は取り扱い説明書に記載されています。ヒューズはスペアが搭載されていることもあるので、切れていた場合はスペアと交換しましょう。
スペアヒューズを使った場合は補充を忘れないようにしましょう。また、ヒューズ交換後にすぐまたヒューズが切れる場合は、どこがで短絡(ショート)が起きている可能性がありますので、この場合も業者にまかせるのが正解です。
また、ヒューズが切れないのにもかかわらず、ファンが回らない、エアコンのパイロットランプが点かない場合は、リレーの不良が考えられます。
エアコンリレーは、エアコンコンプレッサーのマグネットクラッチを動かすためのものなので、MGC、MG/Cなどと表記されていることが多く、またエアコンリレー、A/Cリレーなどと表記されることもあります。
リレーの位置がわかれば、スイッチをオンにした状態でリレーボックスをドライバーの柄でコンコンと軽く叩いてみます。運がよければこれで復活します。それでもダメな場合はなにか問題のなさそうなリレーと入れ替えてみましょう。
たとえばワイパーやホーンのリレーならとりあえずのチェックには問題がありません。それでエアコンが動くなら、不良の原因はリレーです。叩いて直った場合もリレーは寿命なので、交換しておいたほうがいいでしょう。
【ケース3】コンプレッサーの故障
エアコンを作動させると、エンジンルームからガラガラと音がする場合はコンプレッサーの故障が疑われる。その場合はエアコンのスイッチをオフにして業者に点検を依頼しましょう(写真:Filippo-Carlot-Stock.Adobe.com)
エアコンを作動させるとエンジンルームからガラガラと音がする場合は残念ながら重症が予想されます。ガラガラ音が出ている場合はコンプレッサーが故障した状態であることが多いのです。
もしガラガラ音が出ていたら、エアコンのファンスイッチをオフにしてすぐに業者に点検に出しましょう。
コンプレッサーが故障した際、コンプレッサー内の部品がバラバラになってしまったときは一般的にアッセンブリー交換となります。これはコンプレッサー内の部品が冷媒ライン内に入り込んでしまうと、どんなにクリーニングしても完全に除去することが難しく、修理してもすぐにトラブルを起こす可能性があるからです。
コンプレッサーに不具合が起きても、それが冷媒ライン内に影響を及ぼさない部位ならばコンプレッサー交換だけで済む可能性もわずかながらにあります。ですので、コンプレッサー不良の兆しがあったときはすぐにエアコンの使用を中止するべきなのです。
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みんなのコメント
根本的な原因を見極めないとガス補充に無駄金を使うことになりますよ。
エバポレーターや配管等の継ぎ目からガスが漏れていた場合、補充してもまた徐々にガスが抜けていきますね。
旅行先など『応急処置』としてガス補充するのは「あり」ですが、それでもガスが抜けていく場合は本格的な修理が必要です。
特に初年度登録から10年以上経過した車、週末しか乗っていない車などは、普段からエアコンの効きに注意して乗って下さいね。