居心地が良い格別の室内空間 走行性能や先進装備も好印象
軽のスーパーハイトワゴンでは標準とカスタムをラインナップするのが定番だが、三菱のeKスペースはカスタムではなく、外観にSUVテイストのデザインを採用した、eKクロススペースを用意している。eKクロススペースのフロントマスクは三菱SUVのデザイン手法と同じ、ダイナミックシールドを採用。前後のバンパーにスキッドプレート風のデザインを施し、SUVテイストが強調された堅牢なスタイリングは、ミニバンのデリカD:5を彷彿とさせる力強さがある。
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エクステリア
3グレードが設定されるうち、上級の「G」と「T」には前後バンパーのシルバーアクセントが備わり、15インチのアルミホイールも標準装備。ボディカラーには6種類のツートーンも設定されている。最小回転半径はグレードにより4.5m~4.8m。インテリアの基本デザインはeKスペースや兄弟車となる日産のルークスと共通。日産が主体で開発しただけあり、インテリアの質感の高さは軽自動車ナンバーワンと言っても過言ではない。シートもクッションが厚く、座り心地が良好。頭上空間に余裕があり、プラズマクラスター付きのリヤサーキュレーターも用意されているため、ライバルのスーパーハイトワゴンと比べても車内の居心地が良い。
乗降性
前席後席ステップ高が低くて、フロアとの段差もない乗り降りしやすい開口部を実現。ホイールベースの長さを活かし、後席スライドドアの開口幅もかなり広く取られている。後席の乗降アシストグリップも大きくて便利だ。さらにeKクロススペースの上位モデルにオプション設定されているプレミアムインテリアパ ッケージを選べば、シートやインパネがブラウン基調となり、軽自動車とは思えぬ上質なインテリアとなる。シートアレンジや荷室には目立った工夫はないが、後席のシートスライド量が320mmと大きいので、荷物の量に応じて柔軟に後席の足元の広さを調整することができる。
インストルメントパネル
オプションの後席パッケージのBもしくはDを選択すると、ブラック&ブラウンの内装色となる。販売店オプションとして9インチの大画面ナビゲーションも設定されている。先代のeKスペースはロールの大きいフットワークやトルクの細いエンジンが弱点ではあったが、現行型はメカニズムに関する部分も日産が開発に携わったことで大幅に進化した。エンジンは自然吸気とターボを設定。車重が重いから自然吸気では市街地の追い越しでも力不足を感じることもあるが、信号待ちからの加速時などは、エンジン回転の上昇に応じてスムーズに速度を乗せてくれる。ターボなら発進時から高速域まで軽快な加速を見せるだけではなく、日常的に使用するエンジン回転数も下がるから静粛性も高い。ターボ車にはパドルシフトも装備されるため、山道などではエンジンブレーキが使いやすくなり、高回転を維持してキビキビとした走りを楽しめる。
居住性
後席前席標準のシート表皮はファブリックだが、後席パッケージのBかDを選択すると合成皮革&ファブリックに変更され、上質感がさらに高まる。後席も視界が開けた抜群に開放的な空間を実現。シートのスライド機能により膝前クリアランスは約80~410mmの間隔で調整できる。フットワークは乗り心地を重視したソフトな設定のため、少しロールは大きめだが、傾きながらも安定しているので安心感は高い。ステアリングの応答性も適度にマイルドに仕上がっているので、高速道路でもリラックスして走ることができる。さらにオプションのマイパイロットを選択すれば、ステアリング制御付きのACCや電動パーキングブレーキが装備されるため、より長距離ドライブの疲労度が軽減される。このマイパイロットも日産で入念に開発されているので、軽自動車のACCの中では最も信頼性が高く感じられる。
うれいい装備
「G 」と「T 」に設定されるオプションの後席パッケージには、助手席シートバックテーブルが含まれ、後席の利便性をアップ。ドリンクホルダーやコンビニフックも装備されており、ちょっとした休憩タイムに重宝する。手がふさがっていてドアハンドルを操作できなくても、足の動きで開閉できるハン ズフリーオートスライドドアを一部に採用。運転席側は後席パッケージに設定。後席パッケージにはプラズマクラスター付きリヤサーキュレーターも設定。後席に送風して室温を一定に保つ効果を発揮。助手席のシートバックに上下 2 ヵ所のポケットを装備。充電用のUSBも備わり、後席の乗員も気楽にスマホを充電できる。「G 」と「T 」には高速道路の運転支援機能であるマイパイロットをオプション設定。速度や車間距離は手元で調節できる。カメラで捉えた後方の映像を表示するデジタルルームミラーをオプション設定。左端にはマルチアラウンドモニターも備わる。月間登録台数 932台 eKスペースを含む (21年8月~22年1月平均値)現行型発表 20年2月(一部改良 20年12月)WLTCモード燃費 20.8km/l ※自然吸気のFF車
ラゲッジルーム
通常時後列格納時オプションの後席パッケージ装着車は樹脂ラゲッジボードとPVC後席シートバックが備わり、汚れをサッと拭き取れる。シートを前方にスライドさせると奥行きは約660mmまで拡大。足まわりや4WDのドライブトレーンに悪路走破性を高めるメカニズムは採用されていないが、eKクロススペースには坂道で低速を維持しながら下ることができる、ヒルディセントコントロールが装備されるのが特徴。ワイルドで個性的なスタイルの軽スーパーハイトワゴンに乗りたい人にはイチオシのモデルだ。
※本稿は、モーターファン別冊ニューモデル速報統括シリーズVol.140「2022年軽自動車のすべて」の再録です。
http://motorfan-newmodel.com/integration/140/
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