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D1グランプリに参戦する異端児「R35GT-R」に迫る【GReddy 35RX SPEC-D】

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D1グランプリに参戦する異端児「R35GT-R」に迫る【GReddy 35RX SPEC-D】

「6速MT+FR駆動」で得た戦闘力 R35GT-Rの良さを活かす怪物とは

モータースポーツというカテゴリーの中で、ドリフトは異彩を放った存在である。しかし今やFIA公認の大会まで開催されるほど発展してきた。 ここに、速さだけではない、特殊な世界で活躍する2台のR35GT-Rがある。「TOYO TIRES GLION TRUST RACING」から出場する『GReddy 35RX SPEC-D』とは一体どんなマシンなのか!?

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スーパーGTやスーパー耐久で目覚ましい活躍をみせる「R35 GT-R(以下R35)」。 じつは日本発祥のモータースポーツ、ドリフトの最高峰シリーズ「D1グランプリ」でも好成績を上げている。年間7戦で戦う「D1グランプリ」おいて、第3戦”TSUKUBA DRIFT”では「TOYO TIRE GLION TRUST RACING」のエースドライバー・川畑真人選手が2年振りの優勝。さらに第4戦の”GLION OSAKA DRIFT”では、チームメイトの末永正雄選手が優勝。翌日のエキシビションレースでも前日のクラッシュから復活した川畑選手が栄冠を勝ち取った。 ドリフトといえばリアタイヤを空転させ、速さよりも魅せることに重きを置いている印象が強い。しかし、戦うマシンたちはそのイメージとはかけ離れ、限界に挑戦している。もはや、かつての「遊び」のジャンルではなく「本気の戦い」が繰り広げられているのだ。

こうした新しいモータースポーツの中で戦うR35とは、一体どんなクルマに仕上がっているのだろうか。マシンを製作した「トラスト」の中上信吾チーム監督は、川畑選手が駆る2号機と末永選手の1号機では、まったく別物だと語る。 「簡単に言えば、最初に作った1号機はチューニングカーであり、2号機はレーシングカーということ。1号機を手がけて3年、やりたいと思ったことを投入して戦闘力を上げた進化版が2号機です。一番の違いは車重。1号機が1380kgなのに対して、2号機は1260kg。同じように見えますが、アプローチの仕方がまったく違いますね」。

エンジンはどちらも4リッター化。ボアは耐久性に影響するため、ストロークアップのみとした。 また、1号機は試作のTD-06SH 22Gタービンを使い、エンジンは圧縮を低めにブーストを掛けて1058psのパワーを発揮。対して2号機は、スタートダッシュやピックアップの良さを考慮し、市販と同じTD-06SH 20Gに変更。圧縮比を高め、ブースト圧は低めに設定して低回転域を重視した。 1号機はボディが重い分、エンジン出力は高めだが、2号機は900ps程度に抑えられている。

ミッションも同じ6速MT仕様。ただし、1号機はRB26DETT用のOS技研「OS-88」を使用するが、2号機は「ホリンジャー」と、仕様はまったく異なる。 また、クラッチは1号機がトリプルで2号機は4枚のディスクを使用。

純正を基準としたペダル位置。R35にマニュアルミッションというのが新鮮だ。 2号機は、ペダル位置を変更したため”オルガンペダル”となる。

そしてGTマシンよりもワイドな全幅2mを越える足まわりにも作り方に違いがある。 1号機はフロント60mm、リア85mmのスペーサーを使ってワイドトレッド化。しかし、それでは本来の動きはフルに発揮できないため、2号機はアーム自体を延長している。R35純正のアームがアルミということもあり、スペアを考慮した策を含めて”ノーマル加工”という道を選んだ。 トレッドを広げることで、フロントはハンドルの切れ角を取りやすくなり、リアも踏ん張りが利くのでドリフトには有利。そのトレッド幅は、前後2,014mmほど。

エンジンや足まわりに圧倒された反面、逆の意味で驚くのがブレーキシステム。 どちらも「エンドレス」製というのは変わらないが、1号機のフロントはZ33フェアレディ用の4ポット、2号機に至っては軽自動車用のキャリパーを使用する。 「選手たちは“掻き止め”と言いますが、アクセルを踏み込んでタイヤを空転させることで車速を落としてしまう。よって極端な話、ブレーキは必要ない。リアはサイドブレーキを使うのでそれなりのキャパが必要ですが、フロントは軽量化のために小さく、ローターも薄くしているんです」。

ドライバーたちの仕事場となるコクピット。 1号機は運転席、ペダル位置などは動かさずクラッチのみ追加している。2号機は重心を後ろに下げるため、限界までシートを下げ、そこからペダル位置を決定。川畑選手専用のマシンセッティングとなった。

レーシングカーを意識して、1号機にはエアジャッキも搭載される。参戦当初は前後ともに装着していたが、軽量化のため現在はリアのみ。

ちなみに、1号機は2014年からの参戦以来、メタルとピストンリングしか交換されていない。 常にレブリミットに当たった状態が続く過酷な競技において、「VR38DETT」の持つ耐久性の高さも特筆すべきなのかもしれない。

(レポート:GT-Rマガジン編集部)

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