どんなクルマ?
text:Hiromune Sano(佐野弘宗)
【画像】DS 3クロスバック、ホンダe、新型フィアット500【コンパクトなEV】 全171枚
photo:Masanobu Ikenohira(池之平昌信)
欧州では厳しい排ガス規制によって、次々と量産電気自動車(EV)が登場しているが、EV化の波がさほど急激ではない日本市場には、今のところその一部が上陸しているにすぎない。
そんななかで、このDS 3クロスバックEテンスを筆頭にプジョーe208、同じくプジョーe2008といったグループPSAが手がけるEVは、いま日本で手に入るもっともコンパクトで手頃なEVの1つといえる。
これらのEVにおいて、グループPSAは“パワー・オブ・チョイス”というキーワードを掲げる。そのココロは「EVはニーズや生活スタイルに応じて、ガソリンやディーゼルと平等に、そして自由に普通に選ばれる存在であるべき」というものだ。
そんな思想に沿って開発されたDS 3クロスバック、208、そして2008の3車種は、日本国内でもガソリン仕様とEV仕様が普通に並列ラインナップする。しかも、このEテンスにも1.2Lガソリンターボと同じく、“ソーシック”と“グランシック”という装備グレードが用意される。ただし、安価なソーシックは注文生産あつかいだ。
そんなDS 3クロスバックの基本骨格となるのは、208や2008同様にB~Cセグメントを想定した“CMP(コモン・モジュラー・プラットフォーム)”であり、そのCMPはEV版である“eCMP”というバリエーションと同時開発された。
エンジンを積むCMPとEV仕様のeCMPは混流生産が可能で、その生産比率は需要に応じて柔軟に変更できるのが大きな売りとなっている。
見た目、ほぼ同じ 車内は?
Eテンスといっても、見た目も基本的にはガソリン版のDS 3クロスバックそのまま……なのがパワー・オブ・チョイスの意図的な特徴なのだが、今回の試乗車のクリスタルパールを含めたいくつかの専用ボディ色や、繊細なサテンクローム仕上げの外装メッキ部品、そしてホイールやエンブレム類もEテンス専用デザインとなる。
こうした工夫から、Eテンスならではのオーラもなんとなくただよう。
ダッシュボードにあしらわれた白いソフトクッションが“らしい”インテリアだが、システム起動ボタンにはガソリン版と同じ「ENGINE START/STOP」と表示されるのは、ちょっと笑った。
確かに、こういう部分で専用部品を起こすのは意外にコストがかかるものだ。
ただ、クルマ本体としての使い勝手にはeCMPの効能が明らかだ。合計50kWhという日産リーフに匹敵(40~62kWh)する大容リチウムイオン電池は、前後シート下に巧妙に分散搭載されており、目に見える部分のフロア高はガソリン版と変わりない。
細かく意地悪に観察すれば、フロントシート下に盛り上がりがあって前席で足を引くと当たってしまったり、荷室床下のスぺタイヤ収納空間がなくなっているといった、ガソリン版とのちがいはある。しかし、日常的に使う部分の実用性や使い勝手はガソリン版とほぼ同じだ。
加速/静粛性の評価
いっぽうで、その走りはEVの利点を分かりやすく表現したものだ。
パワートレインに起因するノイズが車内でほとんど聞こえないのは当然としても、ロードノイズその他の外部ノイズも気にならないのは、eCMPの骨格段階での静粛対策によるところも大きそうだ。フロアにはアクリル系の素材も使っているという。
動力性能はかなり強力だ。
Eテンスでは、エコ、ノーマル、スポーツという3種類の走行モードが選べるほか、従来のシフトレバーにはDレンジと回生ブレーキが強まるBレンジが用意される。
というわけで、スポーツモードに設定したうえで、レバーをBレンジにして走ると、DS 3クロスバックEテンスとしては文句なしに小気味いい走りを披露する。
スロットルオフでの荷重移動も鋭くなるが、他社でいう“ワンペダル・ドライブ”といったところまではアクセルペダルだけで完全停止するまでは踏み込んでいない。
ガソリン版との重量差
気になるEテンスの車両重量は、ガソリン版のDS 3クロスバックに対して約300kg重い。
Bセグメントサイズで300kgとは決して小さくない重量差だが、少なくとも市街地と都市高速にかぎられた今回の試乗では、この重量増はメリットに感じる場面が多かった。
Eテンスのリアサスペンションには重量増に合わせて専用パナールロッドが追加されるなど、さすがEVに特化したプラットフォーム設計となっている。
その重量をしっかり、かつしっとりと受け止めながら走る乗り心地は、素直に優秀で快適といってよく、ステアリング反応も正確である。
そのフワリと柔らかな肌ざわりは、いにしえのハイドロニューマティックを思い出すほどだった。
「買い」か?
今回試乗したEテンス(装備グレードは上級のグランシック)の本体価格は534万円。
2020年12月21日に発表された2020年度補正予算による新制度では、このクルマには国から39.6万円の購入補助金が出る。
また、追加の補助金を出す自治体も多く(東京都だと30万円、さらに追加の補助金を出す区もある)、そこに自動車税や重量税の減免税、充電設備工事の補助金などをうまく組み合わせると、いまEテンスを買えば、50~100万円以上の経済的補助が受けられる。
ちなみに、ガソリン版のDS 3クロスバックのグランシックは426万円。
今ある補助金をすべてうまく活用できれば、Eテンスの本体価格はガソリン版と実質的に変わりなくなる……という計算も成り立つし、さらに走行に必要な電気代はガソリンより圧倒的に安い。
ひとまずリセールや自分の生活における利便性を横に置いて、クルマ自体と維持費における純粋なコスパという意味なら、現状はイーテンスのほうが安い……と表現することは可能だ。
DS 3クロスバックEテンス スペック
DS 3クロスバックEテンス・グランシック
価格:534万円
全長:4120mm
全幅:1790mm
全高:1550mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
航続可能距離:398km(JC08)/320km(欧州WLTP)
急速充電:50kW 50分(80%)
車両重量:1580kg
最高出力:136ps/5500rpm
最大トルク:26.5kg-m/300-3674rpm
乗車定員:5人
タイヤサイズ:215/55ZR18
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みんなのコメント
価格は何倍にもなるんだろうが。