雰囲気はオールドスクールなマッスルカー
BMW M3用の4.4L V8エンジンを搭載したオレサを、開発者のスミット兄弟は45万ドル(約5850万円)で売りたいと考えている。Z4の直列6気筒エンジンなら、35万ドル(約4550万円)になるそうだ。
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このクルマの印象がどんなものか、パシフィックコースト・ハイウェイを一緒にドライブして欲しいと、スミット兄弟が提案してくれた。もちろん、断る理由などない。
着座位置は低い。ドライビングポジションは若干オフセットしているように感じたが、座って1分も経てば忘れてしまう。ステアリングホイールの調整域は大きく、シフトレバーはドライバーに近い。3枚のペダルの踏みごたえは重めで、典型的なBMWのもの。
ミラーの位置を調整して、V8エンジンを目覚めさせる。ボンネットが前方に伸び、リアアスクルのそばに座っているような印象は、Z4のそれに近い。オールドスクールなマッスルカーや、グランドツアラーのような雰囲気がある。
シャシーのチューニングは、まだ最終的な詰めまでは完了していない。サスペンションのブッシュも仮のもので、ステアリングホイールへはキックバックが伝わってきていた。調整式のKW社製サスペンションも、ちょっと硬すぎるかもしれない。
ステアリングはもっと重くしたいと、2人は説明していた。同時に、サーキットに主軸をおいたモデルではなく、今日のような公道を楽しめるクーペにしたいとも話す。
ドライビング体験を輝かせるV8エンジン
スミット兄弟は、クルマの改善点をリストアップして欲しいと、筆者に尋ねてくる。やり残している仕事を改めて確認することで、自信が持てるという。
乗り心地が硬めなこと、ステアリングホイールが軽めなこと、キックバックが感取されることを、彼らと共有する。そして、アメリカ人がキャニオン・ロードと呼ぶワインディングへ入る。
勾配のあるカーブが続く環境で、オレサの印象は見違えて良くなる。美しいスタイリングを除いて、ドライビング体験を輝かせているのが、自然吸気のV8エンジン。意欲的で多面的な正確を持ち合わせている。
優しくアクセルペダルを倒し、低回転域を使って運転している限り、オレサは穏やかなクルーザーのようにアスファルトを流せる。ちょっと、低音が大きめだが。
そこから右足へ力を込めると、マッスルカーのようにパワーとサウンドが溢れ出る。中回転域でもたくましく、鋭く反応し、回転数を調整しながらのシフトダウンもしやすい。
さらに高回転域では、レーシングカーのようにややサウンドが抑えられ、レブリミットめがけて鋭さが増していく。並外れたキャラクターの持ち主だ。
ヘアピンカーブが連続する区間では、ステアリングの軽さも気にならなくなった。90度曲がるようなキツめのS字コーナーでは、むしろ丁度いい。乗り心地が硬めだとも感じない。シャシーバランスも良く、フロントヘビーなところもない。
見事に仕上がった美しいスタイリング
着座位置は確かにリアアスクルに近いものの、コーナーの出口でアクセルペダルを煽れば、穏やかなテールスライドを直に感じ取れる。派手なドリフトを楽しもうとも考えたが、貴重なプロトタイプのカーボンファイバー製ボディだから、気持ちを抑えた。
試乗したオレサには、シンプルな金属製のシフトノブが付いていた。しかし、夏は熱くなり、冬は冷たい。手に汗をかくと滑る。BMW製のレザー巻きのものが良いだろう。ちなみに、カーボンファイバーやアルミホイールは、英国製だそうだ。
運転の楽しいクルマへ仕上げる以上に、適切な品質とコストでプロジェクトを仕上げることの方が、遥かに難しいらしい。会社の拠点も、カリフォルニア州から経営に都合の良いテネシー州ナッシュビルへ、試乗の翌週には移す予定だと話していた。
スミット兄弟は、裕福なターゲット層を捕まえるために、まだやるべき事が多くあると理解している。彼らはオレサを数10台を生産したいと考えている。もしオリジナル度の濃い1台を望めば、それも可能だという。
その頃には、ステアリングやサスペンションなども調整が済んでいることだろう。少なくとも既に、とても美しいクーペのスタイリングは見事に仕上がっている。
スミット・ヴィークル・エンジニアリング・オレサ(北米仕様)のスペック
英国価格:45万ドル(約5850万円)
全長:4350mm
全幅:1850mm
全高:−
最高速度:289km/h(予想)
0-100km/h加速:4.5秒(予想)
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:1450kg
パワートレイン:V型8気筒4361cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:454ps/8200rpm
最大トルク:47.0kg-m/3600rpm
ギアボックス:6速マニュアル
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みんなのコメント
Z8のセンターメーターやパイプスポークステアリングなど特徴的な綺麗な内装ではない気がします