現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 中国車が世界を席巻する理由:老舗メーカーによる新ブランド戦略 中国車の優位性(2)

ここから本文です

中国車が世界を席巻する理由:老舗メーカーによる新ブランド戦略 中国車の優位性(2)

掲載 更新 22
中国車が世界を席巻する理由:老舗メーカーによる新ブランド戦略 中国車の優位性(2)

加藤ヒロト氏による「中国車の優位性」を考える2回シリーズ。前回は装備品の先進性を軸に考察した。今回はメーカー内の別ブランド戦略について考える。

なぜ、中国の老舗メーカーはやたらとEV向けの新ブランドを立ち上げるのか?

中国車が世界を席巻する理由:何をもって「先進」か? 中国車の優位性を考える(1)

クルマの装備だけではない。自動車ブランドという存在にも「先進性」が求められており、昔からある中国メーカーは古臭いイメージを払拭させるべく幾多もの新しいブランドを立ち上げている。

例えばジーリー(吉利汽車)なんかは傘下に収めたボルボやロータス以外にも、自主ブランドをここ数年の間に8つほどローンチさせている。

2010年代後半以降に誕生したNIO(蔚来)やシャオペン(小鵬)、理想といった“新興メーカー”は、元から新鮮なイメージが持たれているため、新たなブランドを設立する必要がない。

一方でグレートウォール(長城汽車)やジーリー、広州汽車、上海汽車、北京汽車など、20世紀から存在する旧来の老舗メーカーでは新ブランドの立ち上げが顕著だ。

これらのメーカーは今までの「粗末な中国車」イメージを作り上げてきた張本人でもあり、今日ではそのクオリティが日本車や欧州車と遜色ないものに成長していたとしても、消費者からは昔のイメージのまま評価されてしまう面がある。こういった事情もあり、老舗メーカーたちは新ブランド立ち上げに躍起になっているのだ。

では、中国メーカーのように簡単に新たなブランドを立ち上げるわけにはいかない諸外国のメーカーはどうするべきなのか。

その鍵となるのが中国メーカーとの提携の強化だ。最近ではフォルクスワーゲンがシャオペンやリープモーター(領跑)といった新興メーカーとの提携を発表して大きな話題を呼んだ。

シャオペンに対して700万ドル以上の資金で株式の6.85%を取得しただけでなく、シャオペンの大型SUV「G9」のプラットフォームや搭載技術も買収したとしている。これを用い、2026年までに2車種のBEVを中国で投入する計画だ。

先進国のメーカーも頼る中国車の最新技術

一方でリープモーターとの提携では、フォルクスワーゲンの中国向けブランド「ジェッタ」に対してリープモーターのプラットフォームや電動化技術がライセンス提供される見込みだ。

ジェッタは2019年より展開されている若者向け廉価ブランドで、元はフォルクスワーゲンのいち車種「ジェッタ」から派生した経緯を持つ。

だが、ジェッタのモデルはどれもフォルクスワーゲングループですでに展開されている車種を安っぽく仕立て上げたものであり、商品力の面で言えば他のブランドより大幅に劣っている。

新モデルの投入スピードも遅く、起死回生の策としてリープモーターと提携することを選んだと考えられる。リープモーターは車体の設計・製造だけでなく、搭載ソフトウェアや自動運転技術、根幹のエレクトロニクスも一貫して自社内で研究開発をおこなっており、そこにフォルクスワーゲンは目をつけたのだろう。

また、アウディも上海汽車との連携をより密にすると発表している。フォルクスワーゲングループでは以前より上海汽車との合弁会社「上汽フォルクスワーゲン」を設立していたが、両者の関係はフォルクスワーゲンやアウディ、シュコダ車の現地生産と販売にとどまっていた。

それが、今回の新たな提携では開発設計段階より上海汽車が関与し、上海汽車の電動ブランド「IM」が開発した新世代の電動プラットフォームを採用したアウディのBEVが投入される見込みだ。

今までの外国メーカーと中国メーカーの提携では単なる現地生産と販売を担うパターンが一般的だった。

だが、これからはフォルクスワーゲンのように技術開発や設計の部分でも中国メーカーに助けを求める外国メーカーが増えていくかもしれない。そう考えると、2019年にBYDと共同で中国向けBEV開発をおこなうと発表したトヨタはやはり、なかなか先見の明があると言える。

「クルマの高速消費」がものすごいスピードで進行する中国市場において、外国メーカーが生き残るためには中国メーカーとの提携がカギとなってくるだろう。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

TCD、モータースポーツ事業を承継する新会社『TGR-D』を2024年12月に設立へ
TCD、モータースポーツ事業を承継する新会社『TGR-D』を2024年12月に設立へ
AUTOSPORT web
ウイリアムズとアメリカの電池メーカー『デュラセル』がパートナーシップを複数年延長
ウイリアムズとアメリカの電池メーカー『デュラセル』がパートナーシップを複数年延長
AUTOSPORT web
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
くるまのニュース
フェラーリ育成のシュワルツマンが陣営を離脱。2025年はプレマからインディカーに挑戦
フェラーリ育成のシュワルツマンが陣営を離脱。2025年はプレマからインディカーに挑戦
AUTOSPORT web
スバルBRZに新たな命を吹き込む 退役軍人のセカンドキャリアを支援する英国慈善団体
スバルBRZに新たな命を吹き込む 退役軍人のセカンドキャリアを支援する英国慈善団体
AUTOCAR JAPAN
オープンカー世界最速はブガッティ!「ヴェイロン」より45キロも速い「453.91km/h」を樹立した「W16ミストラル ワールドレコードカー」とは?
オープンカー世界最速はブガッティ!「ヴェイロン」より45キロも速い「453.91km/h」を樹立した「W16ミストラル ワールドレコードカー」とは?
Auto Messe Web
『ローラT92/10(1992年)』“賃貸住宅ニュース”で強いインパクトを残した新規定グループCカー【忘れがたき銘車たち】
『ローラT92/10(1992年)』“賃貸住宅ニュース”で強いインパクトを残した新規定グループCカー【忘れがたき銘車たち】
AUTOSPORT web
リバティ・メディアCEOマッフェイの退任、背景にあるのはアンドレッティとのトラブルか
リバティ・メディアCEOマッフェイの退任、背景にあるのはアンドレッティとのトラブルか
AUTOSPORT web
約10年ぶりに“メイド・イン・イングランド”に!? 新型「ミニ・コンバーチブル」が“ミニの聖地”で生産開始
約10年ぶりに“メイド・イン・イングランド”に!? 新型「ミニ・コンバーチブル」が“ミニの聖地”で生産開始
VAGUE
【クルマら部】「ポルシェ911」クルマ愛クイズ!全4問・解答編
【クルマら部】「ポルシェ911」クルマ愛クイズ!全4問・解答編
レスポンス
昭和の香り残す街に130台のクラシックカー…青梅宿懐古自動車同窓会2024
昭和の香り残す街に130台のクラシックカー…青梅宿懐古自動車同窓会2024
レスポンス
三菱「新型SUVミニバン」公開! 全長4.5m級ボディדジムニー超え”最低地上高採用! タフ仕様の「エクスパンダークロス アウトドアE」比国に登場
三菱「新型SUVミニバン」公開! 全長4.5m級ボディדジムニー超え”最低地上高採用! タフ仕様の「エクスパンダークロス アウトドアE」比国に登場
くるまのニュース
新型フォルクスワーゲン・ティグアン発売。7年ぶり全面刷新、2Lディーゼルと1.5Lハイブリッドを展開
新型フォルクスワーゲン・ティグアン発売。7年ぶり全面刷新、2Lディーゼルと1.5Lハイブリッドを展開
AUTOSPORT web
【第2回】サイトウサトシのタイヤノハナシ:スタッドレスタイヤはなぜ効く?
【第2回】サイトウサトシのタイヤノハナシ:スタッドレスタイヤはなぜ効く?
AUTOCAR JAPAN
巨大GTウイングに赤黒の「トミカスカイライン」カラー! リバティウォークはトラック相手でも容赦なしの圧巻カスタム!!
巨大GTウイングに赤黒の「トミカスカイライン」カラー! リバティウォークはトラック相手でも容赦なしの圧巻カスタム!!
WEB CARTOP
ガスリー、ご近所さんになった角田裕毅とカラオケ熱唱「声枯れるほど歌った。楽しい夜だった」思い出アデルの曲も再び
ガスリー、ご近所さんになった角田裕毅とカラオケ熱唱「声枯れるほど歌った。楽しい夜だった」思い出アデルの曲も再び
motorsport.com 日本版
Jujuが人気ドライバー部門首位「暖かい声援が何よりも活力に」。2024年のSFgoアワードはTGMが“2冠”
Jujuが人気ドライバー部門首位「暖かい声援が何よりも活力に」。2024年のSFgoアワードはTGMが“2冠”
AUTOSPORT web
ラリーカーが空を飛ぶ! WRCラリージャパン堂々幕開け。Rally1ではM-スポーツ・フォードのフルモーSSS1最速。勝田貴元3番手
ラリーカーが空を飛ぶ! WRCラリージャパン堂々幕開け。Rally1ではM-スポーツ・フォードのフルモーSSS1最速。勝田貴元3番手
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

22件
  • たまちゃん
    EV車の欠点を全部解決してくれる車を探すと、ガソリン車になるんだぜ。知ってた?
  • ********
    メーカーオプションナビにBluetooth接続したら、スマホ内にある個人情報やインターネットバンキングの情報をごっそり抜かれるんだろうな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

306.0380.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

28.8128.0万円

中古車を検索
ジェッタの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

306.0380.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

28.8128.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村