■刷新されたヒョンデが体験できる!
2022年2月8日に約12年ぶりの日本市場再参入を発表したヒョンデ。販売店を持たないオンライン販売のため、ヒョンデはユーザーが商品に触れる機会を積極的に設ける方針である。その第一弾となるポップアップスペース「Hyundai House Harajuku(ヒョンデ・ハウス・原宿)」が、2月19日に東京のJR原宿駅前にあるJing(ジング)原宿に、5月28日(土)までの期間限定でオープンした。
●原宿駅を出てすぐの交差点にある施設で、期間限定の体験スペースがオープン
新生ヒョンデ発進! ZEVのみ、オンライン販売のみで5月にオーダースタート
ここでは、ヒョンデが提案する新たなライフスタイル“LIFE MOVES”をテーマに、ギャラリースペースでは「働く・遊ぶ・纏う・食べる・住まう」の各分野で活躍する5人のクリエイターとヒョンデによる共創プロジェクト「“LIFE MOVES”People」の特別展示が行われるほか、BEV(電気自動車)のアイオニック 5とFCEV(燃料電池者)のネッソという、ヒョンデのZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)の世界や先進技術を体感出来るインスタレーション、”サステナブル“をテーマにしたさまざまなコンテンツなどが楽しめる。
●最初の展示スペースから進んだ先にある、第2の展示エリア。リビングルームや庭をイメージした空間が広がる
2階にはドリンクバー併設のラウンジやコンシェルジュカウンターもあり、ヒョンデのスペシャリストによる詳細な説明や、購入相談などにも対応している。また試乗車も用意されている。当日でも空いていれば試乗出来るが、ヒョンデのウェブサイトから予約できるので、事前に試乗予約しておくのがオススメだ。
●建物2階には、開放的なスペースを生かしたカフェを併設
■ヒュンダイではなくヒョンデのわけ
ところでヒョンデは、09年末まで日本では「ヒュンダイ」と呼ばれていた韓国の自動車メーカー「現代自動車」である。今回12年ぶりの再上陸を機に、日本での呼称を本国での発音に近い「ヒョンデ」に変更した。また日本法人の会社名も、従来の「現代自動車ジャパン株式会社」から「Hyundai Mobility Japan株式会社」へ変更している。そこにはどんな意味があるのか、ヒョンデの乗用車事業室マネージングダイレクターの加藤成昭氏に聞いてみた。
●Hyundaiと書いて、ヒョンデと読む。これが新しいブランドネーム
じつはブランドの呼称を「ヒョンデ」とする活動は、グローバルでは3年ほど前から行っているという。だがアルファベットを使う欧米諸国では、それぞれの言語特有の発音に引っ張られてしまうので、なかなか統一できずにいるというのが現状だそうだ。その点、日本語には「カタカナ」という外国語の発音を表現するのにうってつけの表音文字があるので、スムーズに変更できたというわけだ。
今回の日本再上陸がZEVのみの展開で、販売方法もオンラインに限るという、かつてのヒュンダイ時代とビジネスモデルが大きく変わることから、日本だけブランド呼称を「ヒョンデ」に変更したわけではない。韓国本社の主導で行っているグローバルでの呼称統一の一環である。
●サステナブルは最新のクルマに求められる要素のひとつ。ヒョンデでは、再利用素材や天然由来の素材など積極的に活用している
ちなみにヒョンデ本社が、日本市場への再参入を決定したのは、今から3年ほど前の19年夏で、当初は以前のように販売店を設置する計画だったという。だが、09年末の撤退に至った背景に「顧客一人ひとりの声を聞いていなかった」という反省があり、「オンライン販売であれば顧客の声をダイレクトに聞くことができる」と判断し、オンライン販売のみに変更したそうだ。
また、当初の予定では21年秋に東京モーターショーで再参入を発表し、同年末には発売する計画だったが、東京モーターショーはコロナ禍で中止となり、加えて世界的な半導体不足で、日本導入モデルの生産計画が後ろ倒しとなったことから、22年2月に発表し、5月に受注開始、7月にデリバリー開始というスケジュールになった。
■ターゲットは若い世代
果たしてヒョンデは日本で成功するのか? とても気になるところだが、加藤氏は「日本市場に根付くまで、少なくとも10年はかかると考えています」と語る。現在の日本と韓国が、政治的に最悪の状況であることはヒョンデも承知のうえで、再参入を決断している。また日本には、とくに特定の年齢層から上の世代に嫌韓意識が根強く残っている。
●入ってすぐのスペースには、ヒッチトレーラーを取り付けたアイオニック5が展示される。建築家らしい奇抜でオシャレなデザインのトレーラーだ
だがヒョンデがターゲットとするのは、環境意識が高く、韓国に対してとくにネガティブなイメージを持っていない人である。今の日本には韓国製のスマホやテレビを所有し、韓国のエンターテインメントやファッション、コスメなどを日常的に消費する人も多い。特に若い世代の多くは、商品が韓国製であることを特に気にしない。
●デザインコンセプトのピクセルをイメージした、雑貨がオモチャも展示。これらは参考出品の1点モノだが、商品にしてもおかしくない完成度
それがそのままクルマに当てはまるとは言わないが、少なくとも12年前までと状況は同じではない。顧客の声にしっかりと耳を傾けて、地に足の着いたビジネスを根気よく続ければ、ユーザーは着いてくるはずだ。
そして何よりも重要なのはプロダクトの良し悪しだが、それを確かめるためにも、ぜひヒョンデ・ハウス・原宿に足を運んでみてほしい。誰もが最新のヒョンデZEVの実力に驚くはずだ。
<文と写真=竹花寿実>
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みんなのコメント
昔のイメージを払拭したいんでしょ
でも「ゲンダイ」が一番すっきりする。