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地元戦もクプラ勢が強し。エクストロームが電動戦初の“King of Weekend”に/ETCR第2戦

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地元戦もクプラ勢が強し。エクストロームが電動戦初の“King of Weekend”に/ETCR第2戦

 TCR規定採用の電動ツーリングカー選手権『PURE ETCR(ピュアETCR)』第2戦がスペインのモーターランド・アラゴンで開催され、ゼングー・モータースポーツXクプラから参戦する“電動アンバサダー”ことマティアス・エクストローム(セアト・クプラ e-Racer)がスーパーファイナルB組を制し、自身初の週末最多得点者“King of the Weekend”を獲得した。

 初年度開催に向け度重なるプレテストの舞台ともなってきたイタリア・ヴァレルンガでの開幕戦は、クプラ・レーシング勢が席巻し、ミケル・アズコナ(セアト・クプラ e-Racer)が初代勝者の称号を獲得。ハンガリーのM1RAを実働部隊とするロメオフェラーリ陣営の『アルファロメオ・ジュリアETCR』と、ファクトリーチームであるヒュンダイ・モータースポーツNの『ヒュンダイ・ヴェロスターN ETCR』は、WTCR世界ツーリングカー・カップ併催のスペイン戦で巻き返しを期すこととなった。

WTCR第3戦を前にホンダ、ヒュンダイは増量、アウディ、クプラは軽減。4車種のBoPを再調整

 このフルEVツーリングカーによる世界初のチャンピオンシップは、各陣営2台のマシンを組み分けされた4名のドライバーでシェアし、A、Bの各プールから3台ずつのバトル、デュエル方式の直接対決、1台でのタイムアタックを経たドライバーが、日曜6台で争うスーパーファイナルのグリッドを確定する独創的フォーマットを採用する。

 ただし、この第2戦に向けシリーズオーガナイザーは最大500kW(約680PS)を発生する後輪駆動マシンのラウンドごとの出力トリムを見直し、3台ずつで争うラウンド1で採用していた常用300kW(約408PS)設定で2番手以降で利用可能な500kWブーストを、2台のデュエル方式によるラウンド2に適用することを決定。開幕戦のラウンド2では定格出力450kW(約610PS)としていた勝負に40秒間のパワーアップ措置を加えることで、戦略性とオーバーテイク促進の意図を込めた。

 前戦同様、12名のドライバーたちは公式練習を経て金曜夜の“ザ・ドロー”でプールAとプールBの計6名ずつに組分けされると、早速A組のラウンド1は「打倒クプラ」を掲げるライバル勢が先手を打ち、ブラジルの新鋭ロドリゴ・バプティスタ(アルファロメオ・ジュリアETCR)が、同じくB組ではジョン・フィリピ(ヒュンダイ・ヴェロスターN ETCR)が勝利。しかし、それぞれクプラ勢もA組でアズコナが、B組でエクストロームが勝ち上がるなど、エース格が他陣営からの勝負を受けて立つ構えを見せた。

 すると午後に争われた直接対決のラウンド2では、A組アズコナがバプティスタを、B組エクストロームがジョン・フィリピを下し、ふたたびセアト・クプラ e-Racerの優位性を見せつけると、日曜午前のタイムトライアルではアズコナが最速タイムを記録。そのまま2戦連続で午後のスーパーファイナルAも制する勢いを披露した。

 しかし、ここで立ちはだかったのがアズコナとフロントロウを共有していたアウグスト・ファーフス(ヒュンダイ・ヴェロスターN ETCR)で、両者はオープニングラップから40秒間だけ使用可能な500kWのエクストラパワーを活用して抜きつ抜かれつのバトルを展開する。

 4周目にもサイド・バイ・サイドのアタックをしのいだアズコナだったが、直後のターン4で再びインサイドに並んだファーフスに対し、行き場を失ったアズコナがグラベルへとコースオフ。「彼は僕に必要なスペースさえ残さなかった(アズコナ)」「すでにブーストで並んでいた僕をウォールへ押しやった(ファーフス)」と両者一歩も譲らない状況で、現在も審議中の勝負はファーフス暫定勝利の結末となった。

■エクストローム「誰かが“ラリークロス”をしたいなら大賛成だ、いつでも受けて立つよ」

 一方、午前のタイムトライアルでジャン-カール・ベルネイ(ヒュンダイ・ヴェロスターN ETCR)がポールポジョションを確保したプールBは、同じく最前列に並ぶエクストロームと一騎打ちの様相に。

 スタートでホールショットを奪ったベルネイだったが、後方からエクストラパワーを使用して迫るエクストロームを抑えることができず、そこから7周で3秒のマージンを稼ぎ出したクプラが安全圏での逃げ切りを達成。これで週末77点を獲得したエクストロームが初の“King of the Weekend”となった。

「僕らはバレルンガでも非常に競争力があることを証明したが、それはこのアラゴンでも続いていたね」とご満悦のエクストローム。「予選では僕のペースが足りずやられてしまったが、レース自体は自分で支配したいと思っていたから、前に出た判断は正しかったと思う」

「ターン1でのジャン-カール(・ベルネイ)はとてもクレバーだった。彼は僕に『眠っている』かのように思わせておいて、僕が仕掛けるとすぐに反応を示した。彼はとても頭が良く、とても公平で、これから何度も勝負することになるだろうし、本当に楽しみだよ」

 プールAで僚友の身に起きたアクシデントを案じつつ、エクストロームは思わぬ“本音”を打ち明けるとともに、将来的にこのEVシリーズに「多くのマニュファクチャラーが集うことを願っている」と期待を寄せる。

「ミケル(・アズコナ)とアウグスト(・ファーフス)は非常に激しいファイトを展開していたね。悪いことじゃないし、できる限りクリーンでフェアな勝負をするつもりだが、仮に誰かが“ラリークロス”をしたいなら大賛成だ、いつでも受けて立つよ」と、ジョークを飛ばした元WorldRX世界ラリー選手権チャンピオン。

「正直に言うと、このシリーズに参加する前はピュアETCRに対して懐疑的だった。でもこのEVマシンの扱いには繊細さが要求され、ドライブする度にますます魅了され“中毒”になってきているよ」と、元DTMドイツ・ツーリングカー選手権王者として数々のハイパワー後輪駆動マシンを経験してきたエクストローム。

「500kWのパワー、プッシュ・トゥ・パス、そして独創的なフォーマットの組み合わせはとても相性が良いね。(同じく高出力の)ラリークロスでは追い抜きが難しいが、こちらのトラックはとてもワイドでよりオーバーテイクが楽しめる」

「今後はBMWやメルセデス、アウディ、リンク&コー、ホンダやニッサンなど、多くのマニュファクチャラーが参戦することを願っている。彼らが参加してくれればうれしいし、絶対にバトルを楽しんでくれると思うよ」

 この第2戦の週末には、TCRの権利所有者であるWSCグループが来季FIA選手権化が予定されているピュアETCRを、従来のTCRのようにグローバル展開するとアナウンス。ヨーロッパを皮切りにアメリカ、アフリカの両大陸にもシリーズ展開する計画を発表するなど、来季2022年はさらなる拡大が見込まれる。

 そんなピュアETCR初年度の第3戦は、8月6~8日の週末にTCRデンマークとの併催により、コペンハーゲン市街地コースを使用した『コペンハーゲン・グランプリ』戦が予定されている。

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