ターボ+スーパーチャージャー並みの加速力を見せる!
昨年国内へ導入され、日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたボルボXC60。並み居る国産輸入車の競合モデルを押しのけ、輸入車としては2013~14年度のVWゴルフに次ぐ2例目となる本賞獲得となった。受賞の結果も後押しをしてか販売は好調で、今オーダーしても納車までは数カ月を要する人気を示しているという。
昨年の登場時にはガソリンモデルのみが用意され、試乗記事もガソリンモデルをベースに展開したが、そのときからディーゼルモデルのラインアップもアナウンスされており試乗機会を待っていた。なかには試乗なしにディーゼルモデルをオーダーしたオーナーも多いと聞く。まずは顧客への展開を急ぎつつ、ようやくわれわれにも試乗機会が訪れたというわけだ。
今回試乗したのは高級グレードの「インスクリプション」。XC60のラインアップはエンジン系列別にT8ツインエンジン(2リッター直4ガソリンターボチャージャー/スーパーチャージャー(318馬力)+電動モーター(87馬力)、T6(2リッター直4ガソリンターボチャージャー/スーパーチャージャー(320馬力)、T5(2リッター直4ガソリンターボ(254馬力)という3タイプのガソリンエンジン搭載モデルおよびPHVが用意されており、これにD4(2リッター直4ディーゼルターボチャージャー(190馬力)が加わっている。
それぞれに高級モデルの「インスクリプション」、スポーティグレードの「R-デザイン」、ベーシックな「モーメンタム」の3グレードが展開されているわけだ。全車モデルAWDとして設定され、D4/T5のインスクリプションおよびモーメンタムはガソリンモデルとディーゼルが同一価格となっているのも特徴だ。
では早速D4インスクリプションに乗り込み試乗に出かけよう。
XC60は外装も内装もハイセンスで、乗り込むたびに新鮮な印象を受ける。今回インスクリプションも後席まで広がる大型のガラスサンルーフを備え、本革の電動シートやステアリング、シフトレバーにいたる細部にまでデザインセンスが注ぎ込まれていて好印象を受ける。
エンジンを始動するとディーゼルとわかる音質ながらやかましさはなく、アイドリングでは室内は至って静かだ。駐車スペースから発進し一般道に向かうが、そのスペースが極めて狭い。通常2~3回の切り返し操作が求められるのだが、意外にも1回でターンし出られてしまった。AWDでありながら最小回転半径は相当小さく、メルセデス・ベンツ並みの小回り性能が確保されているようだ。カタログ値では最小回転半径5.7m。これは同クラスの競合車であるメルセデス・ベンツGLCと同じ数値。BMW X3の5.8mより優れた数値だ。
走り始めてアクセルを踏み込むと、ディーゼルらしいトルクフルで力強い加速が得られ頼もしい。最大トルクは400N・mとT6やT8と同じ数値を発揮し、しかも1750rpmとT6、T8より低い領域から発生できるので実用域ではとても扱いやすく力強いと感じるわけだ。時速100kmまでの加速はストレスフリーで素早く、100km/h巡航を1500~1600回転前後でこなすハイギヤードさも手伝って高速燃費は相当に伸びそう。
直進走行時は安定性も高く、サスペンションやシャシーの質感も相変わらず高い。昨年ガソリンモデルを試乗した際に感じていた、バネ上が左右に細かく振られるような微動も収まっていて走りの印象が代わった。コーナーではライントレース性も正確に高まり、狙ったラインを自然にトレースできる。
足まわりに何か改良が施されたのかと思い、下まわりを除き込むとエアサスペンションが組み込まれていることが分かった。XC60には本来新世代のリーフスプリングを横置きしたリヤアクスルが搭載されるが、オプションでこのエアサスペンションも選択できる。
昨年試乗したのはリーフスプリング仕様であり、車体の触れはリーフスプリング仕様の特性といえそうだ。リーフスプリング自体は問題ないはずだが、後輪左右を結んでいるので片輪への外力が反対側へも影響を与えると考えられる。だがセダンのS90ではこうした事象は認められなかったので、同じシャシーで車高を高めたことで感じられてしまうのかもしれないと考えている。エアサスペンション車では乗り心地、質感、ハンドリングのバランスがよく完成度が高いことがわかった。
走行時もディーゼルユニットは静かでスムース。細かなスロットルコントロールでトルクを操るのはやや難しいと感じたが、今後改善されていくだろう。エンジン騒音はほとんど気にならず、むしろロードノイズのほうが大きく感じてしまう。メルセデス・ベンツと同等の遮音性能も今後求められるだろう。山岳路の試乗コースだったので燃費は10km/L程度だったが、機会があれば長距離含めて実用燃費を探ってみたい
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