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【実際に購入レポート】ポルシェ・タイカンの長期テスト(9) 充電事情の現状と将来を考える

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【実際に購入レポート】ポルシェ・タイカンの長期テスト(9) 充電事情の現状と将来を考える

充電インフラは良くなる?

10月13日にようやく、ポルシェ・ジャパンとアウディ・ジャパンの2社によるプレミアム・チャージング・アライアンスがスタートの運びとなった。

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これでアウディのEV各車の充電も、かなり可能性の幅が広がったと思う。

特にeトロンGTの場合は、93kWhのバッテリーに対して、普通充電の8kWh、急速充電の90-150kWhでの対応ができるようになったため、充電環境はかなり良くなる期待が持てそうだ。

しかし、それ以外の、例えば、BMWやメルセデスの場合は、最近発売のiXやEQSで110kWhものサイズのバッテリーを搭載して、600-700kmの航続距離をカタログで謳い上げるが、メーカーが推奨する充電器は自宅でも6kWhに過ぎず、インフラに対しての対応はとても十分とはいえないと思う。

実際、フル充電をすると仮定すれば、ポルシェの場合は、93÷8=11.6時間となり、メルセデスの場合は、110÷6=18.3時間で、その差は大きいと言わざるを得ない。この辺りは、何とかならないものかと思う。

一般的な急速充電でも、現状で最も多く設置されている40-50kWhのチャージャーでは、30分でその半分しか充電できず、100km+αレベルの走行可能距離の増加にとどまるのが不便だ。やはり最低90kWh、できれば150kWhが欲しいところである。

EVはまだ不安? 充電設備普及は急務

さて、このレポートの第6回で旅館・ホテルの充電設備の現状について記してみたが、実は、EVの購入に踏み切れないひと達の1番の問題は、長距離を走る際の充電環境への不安だと思われる。

わたしが偶々、旅館の経営もやっているので良く分かるのだが、今まで、気にも留めなかった燃料の問題を考えなければならない、という時点で多くの人がストレスを感じ、EVを拒否するのは自然だと思う。

しかし、世の中の趨勢としては、EV時代を迎えざるを得ず、その為の対策は講じていかなければければならないのも現実である。

旅行など非日常の長距離移動の際の充電という条件では、高速道路の急速充電は勿論として、実は、宿泊施設での夜間の充電環境の充実がカギになってくる。

EVにおけるインフラ整備はとても重要で、度々わたしも主張しているように、その整備は急務だが、全国に数万件ある宿泊施設の充電設備の充実は、社会インフラの一環といってもよいぐらい大切だと思う。

仮に、遠方から長距離を走って来て観光地(ビジネスでも同様)を巡り、そして旅館に泊まり、翌日も観光をして帰宅する、という旅程を考えると、旅館に泊まった夜の時間帯に充電をするのが1番現実的で、現にまだ少数だが、EVを使用しているお客さまは皆そうしている。

普及のカギは「夜間充電」 でも……

この状況で、さらにEVが普及すれば、充電器の数が足りなくなるのは明白である。

かといって、急速充電器を導入するには、90kWhのもので1基6000~7000万円もし、ディーラーなどならともかく、一旅館が投資をする費用としてはとてもじゃないが無理である。

EVの台数が増えてくれば、部屋の予約とともに、充電器の予約も増えてくるので充電器の管理も必要となり、現状の多くの旅館のように施設側はノータッチで勝手に使ってくれ、という訳もいかない。

そもそも、10~20部屋の小規模旅館ならまだしも、50~200室ぐらいの大型の旅館・ホテルでは、それぞれのお客さまの充電希望のすべてに対応するのはほぼ不可能だ。

都市型の大型ホテルのように資本力のある所では急速充電器の装備が可能であろうが、それ以外の施設では可能な限り普通充電器を増やすことしか手が無い。

とすれば、将来を見据えた現状でのベストの方法は、家庭で据え付けると同様のシンプルな6kWhの充電器を備え付け、宿側で管理をして、使用するには、1000円とか2000円とかで時間を区切って使い放題にするのとともに、対応できないお客さまには、高速道路などやデイーラーなどの急速充電器の数を90-150kWhで増やすことを併用してゆくしかないだろうと思う。

こと充電に関する限り、旅館ホテルは極めて特殊な状況であり、今から、普及が進んだ将来を見据えて、全国レベルで省庁も一体となって、充電ノウハウの解決方法を見出していかなければ、と思っている。

現在、マンションなどの充電器の設置を巡り、アプリを使ったシステムを導入する動きができてきているが、マンションなどの場合は、使用する人がある程度特定されているのでコミュニティ内での同意がなされれば問題はないだろうが、宿泊施設の場合は、不特定多数となるので、各施設ごとのアプリの乱立は避けなければならないと思う。

10月11日から全国旅行支援が始まり、宿泊施設は多くの観光客で賑わっているが、これが、全部EV使用になったらと思うと、いささか寒気がする。

一刻も早く、旅館・ホテルの充電レギュレーションができれば、と思うこの頃である。

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みんなのコメント

10件
  • イートロンとタイカンは先行して出したのに初めから思い切った仕様だったからね。
    ミッションに800V対応で高速充電と人柱覚悟で全部のせ。
    それに比較すると他社は後発なのにラインナップ拡大しただけで中身のサプライズがかなり乏しい。
    BMWに至ってはカタログ値ばかりで走行性能が低い。
    EVは差別化が難しくなってくるから、優劣も明白。
  • 俺は死ぬまでガソリンエンジンしゃぶり尽くすで。
    電気自動車なんか税金3倍でも乗らん。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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