地方ではJPNタクシーの価格がネックになっているという
東京都内のタクシーは、トヨタのJPNタクシーが目立つようになった。しかし、東京のような状況は全国的に稀なケースといえるし、その東京都内ですらJPNタクシー以外のタクシーも多数走っている。このような状況になったのにはさまざまな要因はあるものの、一番はJPNタクシーの割高に見えてしまう価格設定が大きいようだ。
ガソリンや軽油よりも安いのになぜ? タクシーに採用されるLPガス車が乗用車に広まらないワケ
そもそも、全国的に見ればクラウンコンフォートでさえ、新車で入れ替えることができなかったタクシー事業者が目立っていたのに、そのクラウンフォートよりさらに価格設定のアップしたJPNタクシーを、ホイホイと新車で導入できる事業者は限られているのが現状となっている(お試し程度で数台入れている事業者は多い)。
JPNタクシーより、全国の事業者から熱い視線を浴びているのがシエンタベースのタクシーである。多くの事業者は2列シートのシエンタを購入し、LPガスも使えるバイフューエル仕様に改造するのだが、ハイブリッドのシエンタをバイフューエルに改造しても、JPNタクシーを買った場合と比べて、かなりの“お釣り”がくるほど割安で導入することができる。
しかも、LPガスがなくなればガソリンで走行できるという“オマケ”までついてくるのである。都内大手のタクシー事業者が100台のシエンタタクシー導入を進めているのは、業界をよく知るひとの間ではトピックとなっている。
また、JPNタクシーがLPガスハイブリッドエンジンを搭載していることから、従来のクラウンコンフォートやY31セドリックに比べ、飛躍的に燃費性能が改善。それはいいのだが、その影響で全国的にLPガススタンドの廃業に歯止めがかからなくなっていることも、JPNタクシー以外のタクシーを増やしている。
地方ではLPガススタンド空白地帯も珍しくなく、大都市ほど走行距離も伸びないので、シエンタも含め、プリウスなどのガソリンハイブリッド車をそのまま使っている地域も増える一方である。ガソリンスタンド自体も全国的には廃業が相次いでいるので、今後中国メーカーの進出などが顕著となり、地方からタクシーの“EV(純電気自動車)化”が進むのではないかともいわれている。
東京都内では準大手とされる、いわゆる“無線系”タクシー事業者などの間では、カムリタクシーが目立っている。ある事情通は、「カムリのエントリーモデルは348.5万円です。つまりJPNタクシーの上級モデルより価格が安いのです。LPガスも使えるバイフューエル仕様に改造しているケースは少ないようですので、あとは自動ドアを装着するだけなので、『セダン型でJPNタクシーより見栄えはいいし割安感が高い』ということになっているようです」と語る。
バリアフリータクシーとして導入されたJPNタクシーは、車いすを使うひとなど、身体の不自由なひとの移動への負担を軽くするためには普及してほしいものであるが、やはり価格の高さがネックとなっているのは否定できない。さらに車いすでそのまま乗車できたり、スライドドアを採用し、背が高いぐらい以外は、乗客の定員が4名であることや、ラゲッジルームの使い勝手もクラウンコンフォートと変わらないので、「それならセダン型でもいいのでは?」ということになっても不思議ではない。
プリウスNGなど日本ではセダンの「格」を重視する傾向も
都内でも最近は、地方で人気の高いプレミオ&アリオンのタクシーまで目立ってきた。プレミオのエントリーモデルは199万円なので、LPガスバイフューエルと自動ドアへの改造を行っても、JPNタクシーの廉価モデルよりも、60万円ほど安く済んでしまうという試算もある。
以前、プリウスタクシーが増えたころ、おもに接待が終わったあとの配車要請だとされているが、「プリウスはよこさないでくれ」というオーダーが多く、配車の際にプリウスを外す、“隠しコード”のようなものを作った業者もあった。JPNタクシーも新しいスタイルのタクシーなので、プリウスでのトラウマを意識する事業者も存在するようだ。実際そのようなユーザーの動きもあるようで、馴染みのあるセダン型タクシーがいまだに根強く導入されているという見方もできるだろう。
黒タク(外装色が黒くグレードの高いタクシー)の普及もあり、地域によっては行灯が脱着式となり、貸切などで行灯をはずし、ハイヤーのように利用するニーズもあったりするので、セダン型タクシーをまったくなくすのも難しいようである。
地方に関しては、東京でJPNタクシーへの入れ替えペースが早かったこともあり、程度の良いクラウンセダンやコンフォートのタクシーが中古車として多く流通するようになった。クラウンコンフォートから、中古のクラウンセダンタクシーに入れ替える動きも目立っているので、東京ほど際立ってJPNタクシーが増えることなく、当分はセダン型タクシーが幅を利かせ続けそうである。
現行クラウンが登場したときは、銀行の支店長車など法人ユーザーの入れ替えが進み、先代モデルのハイブリッドの中古車が安く出まわり、ある地域では駅前のタクシーの多くがロイヤルサルーン(ハイブリッド)になったこともあった。また、ハイヤー部門を持っている事業者は、ハイヤーとして一定期間使用した黒塗りのセダンをタクシー車両として二次使用するという動きもある。
つまり、積極的に「セダンでなければ……」ということ以外で、なかなか新車へ入れ替えができない事業者は、タクシーだけでなく、ハイヤー上がりなどの中古車を購入。さらに、新車への入れ替えができるぐらいの体力のある事業者でも、「JPNタクシーはちょっと高いなあ」と考えていると、シエンタだけでなく、カムリやプレミオ&アリオンなどのセダン型の割安感が目に入ってくるといった感じで、いまだにセダン型タクシーが街なかで目立っているともいえるのである。
燃費の良いJPNタクシーの登場もあり、LPガススタンドの相次ぐ廃業が、LPガス仕様にこだわらずにタクシー車両を選ぶ流れを加速させたというのも後押ししているといえるだろう。
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