レースやサーキット走行の世界ではクロスミッションが使われることがある。クロスミッションとは何がクロスでどんな効果を発揮するのか。
◆パワーバンドを使いこなすチューニングで至高の加速力をGET
マニュアルミッションで行なわれるクロスミッション化は、内部のギアを変えるチューニング。例えば、通常なら2速6000回転で3速にシフトアップしたときに4000回転になるところを、4500回転になるようにしてエンジンのパワーバンドから外れないようにするチューニング。常にエンジンのパワーバンドから外れずに加速できるので、加速力がアップするのだ。
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とくに2速から3速と4速の間のつながりがよくなると、途切れずに加速できるのでサーキットでのタイムアップも期待できる。街乗りやワインディングではとくにエンジンをレッドゾーンまで回してシフトアップすることはまずないはず。そうなると2速3500回転でシフトアップして3速1700回転などになると、完全にエンジンの美味しい回転域から外れてしまう。それがクロスミッションで3速2500回転につながれば、繋いだ瞬間から気持ち良い加速が得られる。絶対的な速さだけではなく、走り気持ちよさをアップできるチューニングなのだ。
弊害としてはクロスになった分、どこかでギアが離れる箇所ができること。例えば、3速のギア比を下げれば2速~3速のつながりがよくなる代わりに、3速~4速にシフトアップしたときはギア比が離れているので、エンジン回転数はドロップしてしまう。
3速と4速をクロスミッションにすれば、4速~5速にシフトアップしたときに回転がドロップしてしまう。どこかでギア比が離れる場所はできてしまうのだ。
もっと手軽にギア比チューニングをしたいとか、全域で良くなるようにしたいというならファイナルギア交換という手もある。フィアナルギアとはその名の通り最終減速比のことで、すべてのギア比が変わるギアのこと。
リア駆動車ならリアデフ内にあるリングギアを変えることでファイナルが変わる。比較的簡単なのでリア駆動車では交換する場合も多い。FF車の場合はミッションを降ろして交換となるのでクロスミッション導入と手間は変わらない。
◆ファイナルギア交換はギア比がキモとなる
例えば、トヨタ『86』/スバル『BRZ』の場合、前期型は4.1が基本だったがAT車は3.7があった。この数字が小さいほど同じ速度でのエンジン回転数は下がる。加速力アップを狙うなら数字の大きなファイナルギアにする。
86/BRZでは後期型が4.3ファイナルに変更され加速力が強化された。そのため前期型に後期型用の4.3ファイナル流用は定番チューンとなった。ほかにも社外パーツとして4.5、4.8、5.1ファイナルなどが発売されている。
ファイナルギアがショートになるとその分、タイヤに伝わる駆動力は強くなる。加速力はアップするのだが、その分速くなるとも言い切れない。街乗りでの加速では明らかに力強くなるが、シフトチェンジは頻繁になる。
サーキットやレースではギアをバンバン変えながら加速していくショートファイナル仕様と、シフト回数を抑えたロングファイナル仕様では意外とタイムが変わらなかったりもする。
あるコーナーの立ち上がってから次の直線を2速~3速~4速で走るファイナルと、ロングファイナルで2速~3速のみで走り切る方法だと、シフトチェンジが1回減る分ロングファイナル仕様の方が速かったりもするのだ。
とはいえ、街乗りだと明確にパワーアップしたように感じるのでショートファイナル化は有効である。
弊害としてはすべてのギアがショートになるので、高速巡航時のエンジン回転数も上がってしまう。ラリー仕様のスーパーショートファイナルにしたら高速道路で120km/hでエンジンが5000回転以上も回ってしまい、燃費が悪いなどというのはよくある話だ。
クロスミッションはそういった弊害は起きないのが魅力だが、車種によってクロスミッションが発売されている車種が限られる。取り付けがミッションを外して分解しなければならないので工賃もかさむ。
対するファイナルギアはリア駆動車なら比較的交換しやすいので工賃が控えめというメリットもある。しかし、高速巡航がつらくなることもある。そのあたりを見極めて導入してもらいたい。
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みんなのコメント
「2速3500回転でシフトアップして3速1700回転などになると」ということは、ステップアップ比が2を超えるわけですね。いつの時代のトランスミッションですか?
「クロスになった分、どこかでギアが離れる箇所ができる」も意味不明。ふつうのアフター品は全体的に詰まった(当然、トップはかなりローギアード)ものばかりでしょう。
ストリートではクロスにする意味は無いと思います。1速がロングになり、クラッチに負担がかかり、トップでは扱えないスピードになったりと日常的に不満しか出てこない。楽しいはずがない。