イギリスの自動車メーカー、ケータハムが発表した「プロジェクトV」が話題を集めているが、そのワケとは? イギリス車に造詣の深い武田公実が考えた!
ケーターハム史上初のデザイン
7月13日、英国ウェストサセックス州チチェスター近郊で開催された、世界有数のカーイベントである「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(FoS)2023」にて発表された電動コンセプトカー、ケータハム・プロジェクトVが、今、大きな話題を呼んでいる。
プロジェクトVは、ケータハムの創立50周年記念車として開発された、記念すべきコンセプトカーだ。
プロジェクトVにおいて、まず注目したいのは、これまでのケータハム製ロードカーとは一線を画した、ポジションにある。
1973年に創業したケータハムは、ロータス社から譲り受けた「スーパーセブン」用の生産設備を活用し、まずはスーパーセブン・シリーズ4の継続生産から着手した。
そののち、よりクラシックなセブン・シリーズ3の再生産へと移行し、それは50年後の現在に至るまでに大規模・小規模の改良を次々と施しつつ、続く。
また1994年には、同社の創業21年記念事業として、21世紀を見据えたフルエンベローブ(タイヤが露出していない)ロードスターの「C21」も開発したものの、きわめて少数の生産に終わっている。すなわち、モダンスーパーカー的なスタイリングを持つケータハムは、実質的にはプロジェクトVが史上初となる。
ボディデザインを担当したのは、ケータハム社CEOであるボブ・レイシェリーに見出された、フランス人スタイリストのアンソニー・ジャナレリ。かつてアラブ首長国連邦のWモーターズ社に請われ、販売価格340万ドルのハイパーカー「ライカン・スーパースポーツ」のデザインワークにも携わった人物という。
彼の描いたラインは、日産の現行「NISSAN GT-R」をもとにした「GT-R50 byイタルデザイン」とおなじくイタルデザイン社によって具現化。今回出走したプロトタイプの製作も、イタリア・トリノ近郊のイタルデザイン工房でおこなわれた。
ケータハムらしいスペックふたつ目の注目ポイントは、ケータハムの名にふさわしい軽量・高性能を達成しているか否か? だろう。
ケータハム・ファンの多い日本市場では、アンダー500kgの車両重量を謳う「170」がケータハム全体のイメージリーダーとなっていることもあって、“軽量であることが最大の魅力”と言う人も多い。
いっぽう、開発の初期段階から純バッテリーEV専用モデルとして設計されたプロジェクトVは、リヤアクスル側に搭載された最高出力200kW(272psに相当)のシングルモーターを動力源とするバッテリー式電気パワートレーンを採用。さらにメーカーが「先進的な熱マネジメントを備えた」と、謳う、55kWhのUSOCリチウムイオンバッテリーパックが組み合わされるという。
シャシーの設計思想では、これまでのセブンシリーズとおなじく、軽量化を目指す。カーボンファイバーとアルミニウムの複合シャシーを採用し、車両重量1190kgを目標にするそうだ。
1190kgは、これまでのガソリンエンジン搭載のライトウェイトスポーツカーと比較すれば、決して軽いとはいえない数値だ。しかし容量55kWhという、このクラスのスポーツカーとしては比較的大容量のリチウムイオンバッテリーを積むことを考えれば、実はかなり軽量である。
実際、想定しているスペックでは0km/hから100km/hまでの加速タイムは4.5秒未満、推定最高速度230km/h、と、パフォーマンスはケータハムの名に恥じぬ相当なものだ。そして満充電時のWLTP航続距離は400kmとし、150kWのDC急速充電器を使うことによって15分間で20~80%の充電が可能という。
日本上陸の可能性も高い!新型プロジェクトVはが単なるプロポーザルには留まらず、ごく近い将来の市販を意識したコンセプトカーであるのも見逃せない。
2025年後半~2026年前半に投入予定とし、英国市場での目標最低価格は8万ポンド(約1440万円)未満としている。
英本国に次ぐ大市場となった日本は、多くのケータハムファンを有する。今回の意欲的なEVコンセプトカーに興味を持つ人も多いはずだ。
さらに言えば、現在ケータハム社の実質的オーナーとなっているのは、日本国内に本拠を持つVTホールディング社である。ゆえに、生産モデルとなったプロジェクトVが日本への上陸を果たす可能性は高いはず。
今後もこのEVスーパーカーへの関心が薄れることはないだろう。
文・武田公実 編集・稲垣邦康(GQ)
1ポンド=180円で計算(編集部調べ)
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みんなのコメント
今回のアルファードも個人で5台、法人で10台抑えてある。
個人では1台しか必要ないので、残りの4台は乗らずに即売却。
やはりお金というのは持っている人の所に集まるようにできている。
これが世の常なのだよ。