2.0L 4気筒ディーゼルに48VのISG
text:Simon Davis(サイモン・デイビス)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
50年近い歴史を持つ、BMW 5シリーズ。優れた内容で世界中の自動車メーカーの注目を集め、競争心を掻き立ててきた。
7代目となる現行のG20型5シリーズが登場したのは、2017年。運転する楽しさに上質な設え、高いエネルギー効率と動的性能を備え、クラストップの座を射止めるのに不足ない仕上がりだった。2020年の今でも、その評価は維持できていると思う。
アウディA6やメルセデス・ベンツEクラスなど、フェイスリフトが相次ぐ中で、そんな5シリーズも負けじとリフレッシュ。優位さを保ちたい、と考えても当然だ。
見た目での変更は、ヘッドライトやフロントグリルのデザイン程度。それ以上に、4気筒と6気筒エンジンのすべてに電圧48Vのマイルド・ハイブリッドが導入され、プラグイン・ハイブリッドの選択肢が増えたことの方が、重要な変更点だといえる。
今回試乗する520dの場合は、一足先に昨年スターター・ジェネレーター(ISG)を獲得している。今回は英国で、フェイスリフトを受けたツーリングを試乗してみたい。
B47型2.0L 4気筒ディーゼルエンジン自体は、3年前の登場時と大きな違いはない。189psと40.7kg-mの最高出力と最大トルクも、8速ATで後輪駆動となることもそのままだ。
そのエンジンへ、電圧48VによるISGが組み合わさり、11psを加算。加速レスポンスを高めるのに一役買う。多くのマイルド・ハイブリッド車のように、惰性走行中はエンジンを自動的に停止。燃費消費も抑えてくれる。
シャープさを増したエンジンに滑らかなAT
その結果、BMW 520dは厳しい環境基準のRDE2に適合。英国ではディーゼルエンジンに適用される追加の現物給付税が免除される。プラグイン・ハイブリッドに適用される、大幅な免税には及ばないが。
大きめのボディを持つファミリー層向けのエステートとして、5シリーズの魅力は高い。シンプルな520dツーリングを運転して、ガッカリするということはないだろう。
アクセルレスポンスは、ISGの恩恵で若干シャープさを増した。そもそも、以前から良かったものが、さらに良くなった、といった方が正しい。
8速ATは、常に最適な段数を自動的に選んでくれる。右足の踏み込み量にあわせて、シルクのように滑らかに変速を繰り返してくれる。意図しない変速をするような場面は、極めて少ない。
2.0Lのディーゼルエンジンは、必要充分なスピードを与えてくれる。中回転域のたくましさにも不足なく、空いた道では速めのペースでドライバーを楽しませてくれる。
0-100km/h加速は7.6秒だから、ライバルに並ぶ活発さはあるが、猛烈に速いわけではない。そのかわりエネルギー効率は優秀。洗練度も非常に高い。
試乗車には、車高の下がるMスポーツ・サスペンションと、20インチのアルミホイールを装備していた。ダンパーはアダプティブではない、通常のものだ。それでも、乗り心地やハンドリングは、驚くほどに良い。
速度域が上がっても、ボディのロールや上下動をうまく抑えながら、アスファルトをタイヤが掴み続ける。そして素早くシャープに、コーナーを抜けていく。
正確なステアリングと柔軟なサスペンション
路面の波打ちやうねりは、柔軟なサスペンションが見事に処理。深いワダチや隆起部分では、さすがに小さな衝撃が車内に届いてしまう。それでも、Mスポーツの選択を悩むほど、ひどいものではない。
520dで、アダプティブ・ダンパーと小径ホイールの組み合わせを試してみたい。おそらく、より上質な乗り心地になるはず。
ステアリングホイールの操舵感には、アウディA6のようなどっしりとした重さはない。自然な敏捷性を引き出すような軽めの設定で、正確性に優れ、同様に安心感は高い。
グリップ力も素晴らしい。自然なスタンスのまま、コーナー出口に向かっていける。
BMW 520dツーリング Mスポーツの英国価格は、4万6050ポンド(621万円)から。同等の4気筒エンジンを積むアウディA6やメルセデス・ベンツEクラスとの価格差は、ほとんどない。
しかし運転の楽しさは、3台の中でベスト。インテリアの設えも良く、日常的な利用で困らないほど大きな荷室も備わっている。BMW 5シリーズが、クラス有力モデルであることは間違いないだろう。
BMW 5シリーズ 520dツーリング Mスポーツ(欧州仕様)のスペック
価格:4万6050ポンド(621万円)
全長:4963mm
全幅:1868mm
全高:1498mm
最高速度:220km/h
0-100km/h加速:7.6秒
燃費:18.5-19.6km/L
CO2排出量:146g/km
乾燥重量:1720kg(予想)
パワートレイン:直列4気筒1998ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:189ps/4000rpm
最大トルク:40.7kg-m/1750-2500rpm
ギアボックス:8速オートマティック
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みんなのコメント
BMWもとりあえず48V、Mハイブリッドに移行していくのだろう,