2030年の全車EV化を撤回、ハイブリッドに再注力
スウェーデンのボルボは9月4日、大型SUV「XC90」のマイナーチェンジを発表した。新しいデザインや新機能の導入など、多くの「根本的な変更」が行われた。
【画像】北欧らしいモダンな「大型高級SUV」へ進化!【改良型ボルボXC90を写真で見る】 全22枚
現行世代のXC90は2014年に登場し、グローバルで累計100万台近く販売されている。改良型の生産は今年後半に開始される予定で、一部の市場では年内の納車開始が見込まれる。価格はまだ発表されていない。
今回発表された改良型XC90は、従来と同じSPA1プラットフォームを使用し、プラグインハイブリッド(PHEV)とマイルドハイブリッド(MHEV)の各種パワートレインを維持しながら大きく発展を遂げた。
電気自動車(EV)への移行を進める中、ボルボは方針を転換し、ハイブリッド車に力を入れる。
ボルボは以前、2030年以降のすべての新車販売をEVのみにすると約束していたが、EV市場の成長が鈍化していることから計画を修正。引き続き一部のハイブリッド車を販売する可能性を示唆した。
ジム・ローワン最高経営責任者(CEO)は4日、「当社は2030年の目標について固執しているわけではない。最も重要なのは、お客様が望む製品を提供することだ。この10年で完全電動化の準備を整えるつもりだが、市場のインフラやお客様の受け入れ態勢がまだ十分でない場合は、あと数年かけることもできる」と述べた。
「電動化への移行は直線的なものではない。お客様と市場はそれぞれ異なるスピードで動いている。そのため、当社はハイブリッド車への投資を続け、EVへの移行のどの段階においても、お客様のニーズや状況に合ったボルボ車を提供できるようにしていく」
ローワンCEOはさらに、大型EVのEX90の納車開始とXC90のマイナーチェンジによって、「完全電動化への移行を続ける中でバランスの取れたポートフォリオ」を実現すると同時に、「お客様に最も適した選択肢を提供する」とした。
燃費性能、乗り心地、静粛性を向上
改良型XC90の最上位グレードとして設定されているのが「T8」だ。最高出力310psの2.0L 4気筒ターボガソリンエンジンと最高出力145psの永久磁石同期電気モーターを組み合わせたPHEVモデルで、14.7kWhのバッテリーを搭載し、電気のみの航続距離は最長70kmとされる。バッテリーはAC充電器により約3時間でフル充電できる。
一方、MHEVモデルは2.0L 4気筒ターボガソリンエンジンにISG(統合スタータージェネレーター)を組み合せたもので、エントリーグレードの「B5」は最高出力250ps、「B6」はeスーパーチャージャーにより最高出力300psを発生する。
ボルボによると、MHEVではエンジンにミラーサイクル技術を採用し、燃費向上を図ったという。欧州WLTPテストによるB5の公称燃費は14.1km/l、B6は13.4km/lである。
XC90では遮音材を追加して静粛性を高めたほか、標準装備のサスペンションを見直し、フロントにダブルウィッシュボーン、リアにインテグラルリンク、周波数選択式ダンピング・システムを採用した。
ボルボは、この新しいレイアウトにより乗り心地が向上し、安定性も増したとしている。電子制御エアサスペンションも引き続きオプションとして用意され、1秒間に500回路面をスキャンできる。
環境に配慮した高品質のインテリアへ
エクステリアデザインは、EVのEX90に近いものへと変更された。新しいフロントグリル、「トールハンマー」型のヘッドライト、新しいアルミホイール(20~22インチ)、リアライトなどが特徴だ。
インテリアもまた、EX90にインスパイアされ、水平基調の新しいデザインを採用。「責任を持って生産された」というノルディコ(Nordico)素材とヘリンボーン織りのシートなど、より質感の高い仕上りとなった。
センターコンソールが改良され、「2+1」カップホルダー(スリムなドリンク缶を追加できるスペースがある)と新しいワイヤレスのスマートフォン充電器が装備されている。
インテリアの最大の変更点は、タッチスクリーンが9インチから11.2インチに大画面化したことだ。解像度が高く、EX90と同じグーグルベースのソフトウェアを使用しているため、無線アップデートが可能だ。
また、オペレーティング・システム(OS)を一新し、主要な機能にアクセスするために必要な操作数が減ったという。
乗車定員は引き続き、5人乗り、6人乗り、7人乗りの3パターンを用意する。
トランク容量は5人乗りのMHEVモデルで680L、PHEVモデルで640L。7人乗りでは、それぞれ302Lと262Lとなる。
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