舌を巻く貪欲的な速さ 乗り心地や操縦性も進化
これまで、アウディRS6 アバントに積まれていたV8ツインターボ・エンジンは、アグレッシブな響きだったものの、聞き惚れるほどではなかった。BMW M5やメルセデスAMG E 63Sのように。
【画像】歴代高速ワゴンで最も際立つ RS6 アバント・パフォーマンス 競合クラスの高性能モデルはコレ 全131枚
しかし、「パフォーマンス」は違う。パワーアップしただけでなく、音響的な強化も図られている。意欲的に回転する特性で、快音を引き出しやすくなってもいる。
排気音だけでなく、燃焼音を車内へ多く導くべく、防音材の一部を削ったそうだ。高回転域まで引っ張ると、リアルな重奏が充満する。同時に、人工的な印象は抑えられた。
乾燥した路面では、RS6 アバント・パフォーマンスの貪欲的な速さに舌を巻く。タイヤが温まった状態なら、驚愕の勢いでスタートダッシュ。後方へ荷重が移動し、フロントタイヤが悶える様子が伝わり、その後、猛烈な速度上昇が始まる。
実際のところ、過剰なほど。とはいえ、感動的だ。
8速ATの仕事ぶりも見事。加速時に若干ぎこちない仕草もあるが、シームレスにギアを切り替える。カーボンセラミック・ブレーキは低速域でギクシャクしがちながら、本域で走行中の制動力に、疑う余地はない。
乗り心地や操縦性は、目覚ましい進化を遂げている。ステアリングが正確なだけでなく、四輪駆動システムとシャシーバランスを融合させた、漸進的な動的能力を身に着けている。アクセルオン時の積極的な身のこなしにも、唸らされる。
例えるなら、日産GT-Rのステーションワゴン。シャシーには揺るぎない落ち着きがあり、確かな感触をドライバーへ伝える。RS4のように、鋭く速い。
アンダーステアは皆無 グリップ力も圧巻
M5やAMG E 63Sとは異なり、後輪駆動状態にはならない。一体感という点では及ばないかもしれないが、発売当初のC8型RS6には備わらなかった、エッジの効いた動的な個性が与えられている。
大きく速いアウディの弱点といえた、コーナーを攻め込んだ時に広がるアンダーステアは皆無。アクティブ・リアデフの効果で、侵入時からタイトにラインを保持し、出口に向けてニュートラルに加速していける。しかも、尋常ではない速度域で。
もちろん、真価を確かめるにはサーキットが必要。だが、一般道を速めに流すだけでも、この振る舞いは体感できる。ただし、存分に振り回して楽しめるわけではない。
後輪操舵システムの制御も素晴らしい。挙動を予想しやすい、自然な操舵を叶えたメーカーは非常に少ない。ステアリングホイールには適度な重みがあり、正確に回すだけで、コーナーの頂点目がけて大きなボディが旋回していく。
同時に、高速道路では安定性を高めてくれる。スタッドレスタイヤを履いていても、その効果は明らかだった。
サマータイヤでのグリップ力も圧巻。サーキットで連続するカーブを通過すると、車重を意識するものの、姿勢制御は一貫して安定している。息を呑む速度でのコーナリングを叶えているが、ボディサイズを強く意識することはなかった。
落ち着いた乗り心地 燃費は優れない
鍛造ホイールとカーボンセラミック・ブレーキが組まれた試乗車の場合、バネ下重量が減り、乗り心地で有利といえた。ダイナミックライド・コントロール(DRC)も実装され、ドライブモードを問わず、一般道で落ち着きを大きく失うことは稀有だろう。
ドライバーがサスペンションの硬さを登録できる、RS1やRS2モードも備わる。お好みで、しなやかな乗り心地を保ったまま、パワートレインのアグレッシブな反応を味わうことも可能だ。
V8ツインターボ・エンジン自体が洗練され静かなことに加え、高音質なオーディオと相まって、外界との隔離性は高い。このクラスでは、突出して普段使いしやすい1台ではないだろうか。
燃費は、マイルド・ハイブリッド化されていても優れない。今回の試乗では、平均で7.8km/Lに留まった。積極的に運転すれば、大きく悪化する。2100kgの車重と、630psの最高出力を考えれば、不思議ではないが。
装備は非常に充実している。先述の多彩なシャシー技術に加えて、マトリックスLEDヘッドライトやプライバシーガラスなどが標準。DRCサスペンションとアクティブ・エグゾースト、ヘッドアップ・ディスプレイなどは、フォアシュプルングで標準になる。
英国価格は11万2285ポンド(約2088万円)からで、RS6 アバント・パフォーマンスがお手頃とはいえない。それでも、圧倒的な速さや、他を寄せ付けないほど主張の強い容姿が、秀でた訴求力を生んでいる。
歴代の高速ワゴンで最も際立つ仕上がり
天候を問わない怒涛の動的能力を知ると、RS6 アバントには畏敬の念すら湧いてくる。甘美なサウンドを獲得したことで、アウディが過去に提供してきた高速ステーションワゴンの中で、最も際立つ内容へ仕上がったといっていい。
ライバルはM5やAMG E 63Sになるが、BMWはステーションワゴンを提供していない。ラグジュアリーでソリッドなインテリアや、硬めながら納得できる乗り心地、全体的な洗練性、普段使いしやすい実用性などを踏まえると、孤高といえる仕上がりだ。
お値段はスーパーカー級かもしれない。だが、RS6 アバント・パフォーマンスの魅力を否定することは難しい。
◯:歴史に刻まれるべきパフォーマンス 全天候型の動的能力 ラグジュアリーでスポーティなインテリア
△:ライバルに並ぶ敏捷性や興奮は得られない 穏やかに運転しても燃費は伸びない
アウディRS6 アバント・パフォーマンス(英国仕様)のスペック
英国価格:11万2285ポンド(約2088万円)
全長:4995mm
全幅:1951mm
全高:1497mm
最高速度:280km/h
0-100km/h加速:3.4秒
燃費:7.9km/L
CO2排出量:285g/km
車両重量:2100kg
パワートレイン:V型8気筒3996ccツイン・ターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:630ps/6000rpm
最大トルク:86.5kg-m/2300-4500rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)
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