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出火トラブルを乗り越えたHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3がデビューウイン【スーパー耐久第1戦富士24時間】

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出火トラブルを乗り越えたHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3がデビューウイン【スーパー耐久第1戦富士24時間】

 ピレリ・スーパー耐久シリーズ2020第1戦『NAPAC 富士 SUPER TEC 24時間レース』が、9月5日から6日にかけて富士スピードウェイにおいて開催され、ST-XクラスのHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3(山脇大輔/高木真一/ショウン・トン/根本悠生組)がピットで出火するトラブルを乗り越えてトップチェッカーを受け、総合優勝を飾った。

 スーパー耐久のシリーズ戦として2018年から復活開催されている富士24時間レース。2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、予定の6月開催から3ヵ月遅れの9月開催、そして2020年のスーパー耐久のシリーズの開幕戦として開催された。

富士24時間:感染防止対策をとりコロナ禍のなか『ピットビューイング』を実施

 今年は全8クラスに計45台がエントリー。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で昨年からは3台減少したものの、元F1ドライバーミカ・サロの参戦やGRヤリスやGRスープラなどの新マシンの登場もあり注目を集めるなかでの開催となった。

 気温30度、路面温度46度、湿度は57.8%というコンディションのなか、9月5日15時に大きな混乱もなく決勝レースはスタート。全45台の過酷な戦いが開始された。

 10周目、ポールポジションスタートのD’station Vantage GT3の藤井誠暢が周回遅れの車両に引っかかったところを、MP Racing GT-Rの松田次生が隙をついてオーバーテイクし、レース開始早々にトップが入れ替わる。

 スタートから1時間が経過した16時ごろ、富士スピードウェイに雨粒が落ち始め、16時32分にはコース全体が大雨となりFCY(フルコースイエロー)が掲示され各車はスピードダウン、その6分後にはセーフティカーへと変わる慌ただしい状況が続く。

 レース再開後の76周目、総合トップを走行していたD’station Vantage GT3の右リヤのハブが折れ、タイヤがホイールごと脱落しまう。脱落したタイヤは第13コーナーのコース上に転がったため、回収に伴い再びFCYが導入された。

 日没を迎え、さらに視界も悪くなる大雨のなか、各車ルーティーンのピットを済ませる。そのなかでピットに入ったST-XクラスのHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3が出火し、サーキットに緊張が走る。原因は給油システムを支えるホースの接合部分が外れ、噴出した燃料がエギゾーストに触れたためであった。

 火は即座に消火され怪我人も出なかったが、HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3はガレージでの車両の確認作業に入り、レギュレーションで全車に義務付けられている10分間のメンテナンスタイムを消化することを選択した。

 雨が強まるたびにセーフティカーが導入され、雨が収まればレース再開という流れが続くなか、日没も過ぎた18時7分、猛烈な大雨となり赤旗が掲示されレースは中断。

 約4時間半の中断ののち、22時30分に総合トップのDAISHIN GT3 GT-Rが92周目に差し掛かったところからセーフティカー先導でレースは再開。この時点での総合2番手にMP Racing GT-RのJOE SHINDOが続く。出火のアクシデントでピットに入ったHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3は山脇大輔から根本悠生にドライバー交代を済ませ、5周遅れとなる総合8番手、クラス4番手でレースに復帰。

 右リヤのハブの修復が終わったD’station Vantage GT3だったが、フロントハブにも修復が必要な状況と判明。レース再開後もピットで修復を続け、日付が変わった1時33分にトップから75周遅れでコースに復帰。しかしピットアウトから約10分後、TGRコーナーでふたたびタイヤが外れコースサイドにストップ。そのままリタイアとなった。

 D’station Vantage GT3がストップした直後、雨脚が強まったことでFCYが導入され、そのままセーフティカー先導でレースは続く。そんななかMP Racing GT-Rがタイヤバーストによってドライブシャフトを損傷、修復のため約1時間ピットで修復作業に入ってしまう。

 赤旗中断時、トップから5周遅れとなっていたHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3は、ST-Xクラス全車がメンテナンスタイム消化した3時20分時点で総合2位までポジションを上げ、首位DAISHIN GT3 GT-Rを1周遅れで追う形となった。

 そんな状況の中、首位DAISHIN GT3 GT-Rがピットロードでの速度違反により60秒ストップのペナルティを課せられた。これにより、一時は5周遅れとなったHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3が総合トップへ浮上。

 追う立場となったDAISHIN GT3 GT-RだったがST-5クラスの車両と接触し、右リヤの足回りを損傷。ガレージでの修復を余儀なくされ、コースに復帰したものの首位とのギャップは12周まで拡大。

 日の出を迎え、コンディションは完全ドライとなってからもHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3は総合2位のDENSO LEXUS RC F GT3に3周のギャップを築く盤石の走りを見せる。

 レースも残り3時間となった12時ごろ、雨脚が強まるつつある状況を見て、ルーティーンのピットを準備していたHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3がレインタイヤへ交換。ほぼ同時に2番手DENSO LEXUS RC F GT3もピットに入り、レインタイヤを装着した。

 DENSO LEXUS RC F GT3から9周遅れで総合3位のDAISHIN GT3 GT-Rはドライタイヤのままコースにステイ。12時30分に雨が上がり、路面も乾き始めたころにはトップ2台により3秒近く速い1分52秒台で周回を重ねるも、ポジションをあげるにはギャップが大きすぎた。

 HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3は終盤3スティントを担当した根本悠生の手によりトップチェッカーを受け、4時間半の赤旗中断、10回のセーフティカー、5回のFCYと荒れたNAPAC 富士 SUPER TEC 24時間レースをデビューウインで飾った。

 総合2位はDENSO LEXUS RC F GT3が、総合3位はDAISHIN GT3 GT-Rが獲得している。

■デビューウインの多いクラス優勝の7台

 7台で争われたST-Zクラスは2019年のST-ZクラスチャンピオンのENDLESS AMG GT4(内田優大/山内英輝/高橋翼/山田真之亮/富田⻯一郎組)が優勝。

 4台がエントリーしたST-TCRクラスは、レース終盤までトップ争いが加熱したなか、首位ポジションを守ったWAIMARAMA KIZUNA Audi RS3 LMS(キズナ/千代勝正/安田裕信/大草りき/山野直也/吉田寿博組)がクラス優勝を獲得。

 3台で争われたST-1クラスは終盤にペースアップし、残り40分のところで首位に躍り出たROOKIE Racing GR SUPRA(蒲生尚弥/豊田大輔/小倉康宏/河野駿佑/矢吹久/大嶋和也組)が優勝。

 全5台のST-2クラスは、ROOKIE Racing GR YARIS(井口卓人/佐々木雅弘/MORIZO/勝田範彦/石浦宏明組)がデビューウイン。ST-1クラスと合わせてROOKIE Racingは2クラスで優勝を遂げた。

 全4台のST-3クラスは、埼玉トヨペットGBクラウンRS(服部尚貴/吉⽥広樹/川合孝汰/平沼貴之組)がデビューウインを達成。

 5台がエントリーしたST-4クラスは、GRGarage⽔⼾インターGR86(久保凜太郎/細川慎弥/坪井翔/松井宏太組)が、最も多い12台が参戦したST-5クラスでは、DXLワコーズNOPROデミオSKY-D(井尻薫/吉岡一成/関豊/上松淳一/加藤芳皓)がクラス優勝を果たした。

 富士での過酷な開幕戦を終えた2020年のピレリスーパー耐久シリーズ。次戦は、10月10日~11日にスポーツランドSUGOにて3時間レースが開催される。

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