■ライバルの人気ぶりに対抗し満を持して登場した2代目「シエンタ」
コンパクトミニバンのジャンルは、2大勢力のホンダ「フリード」とトヨタ「シエンタ」が販売台数を争っています。
デビューから7年を迎え、フルモデルチェンジの噂も絶えないシエンタを中心に、コンパクトミニバンの動向を改めて振り返ってみましょう。
2015年7月、トヨタはミニバンの2代目シエンタを発表しました。
2003年に登場しロングセラーとなった初代シエンタから、約12年ぶりのフルモデルチェンジでした。
2代目(現行型)シエンタは、全長4260mm×全幅1695mm×全高1675mmと、3列シートレイアウトのミニバンとしては非常にコンパクトなサイズが特徴です。
同じトヨタでミディアムクラスのミニバン「ノア/ヴォクシー」が全長4695mm×全幅1730mm×全高1895mmですから、シエンタは全長で435mm、全幅35mm、全高220mm小さいことになります。
2022年6月末現在のシエンタの販売価格は、181万8500円から258万円です(価格は消費税込み、以下同)。
前出のノアが267万円から389万円ですから、価格の面でもグッと抑えられた設定だということがわかります。
搭載されるパワートレインは、1.5リッターガソリンエンジン車と、同1.5リッターハイブリッド車の2タイプで、ガソリン車にのみ4WDの設定があります。
後席左右にはスライドドアが備わり、コンパクトながら必要にして十分な室内空間を確保したことで、若いファミリー層を中心に支持を集めました。
※ ※ ※
2代目シエンタが登場した背景には、ライバル車の存在が大きく関係します。
実は初代シエンタは2010年に一度、販売を終了していました。
2008年12月に、トヨタから実質的な後継車となるコンパクトミニバン「パッソセッテ」が登場していたからですが、当初の目論見ほど販売台数が振るわず、2012年には早々に販売を終了してしまいました。
初代シエンタは後席スライドドアを備えていましたが、パッソセッテの後席は通常のヒンジドアのままで、こうした使い勝手の悪さが嫌われたことが大きな要因とされています。
そんな混乱期のさなかにコンパクトミニバン界で大ヒット作となっていたのは、2008年5月に登場したホンダ「フリード」(初代)でした。
2008年下期にミニバンの販売ランキングで1位を記録するなど、好調なセールスを記録していたのです。
そのためトヨタは、いちど販売を終えていた初代シエンタを2011年5月にマイナーチェンジのうえで再発売するという、過去にもあまりない異例の復活を遂げ、急ごしらえでフリード対抗策に出たのです。
ただし翌年2012年の販売台数を振り返ってみても、フリードが年間10万6316台売ったのに対し、シエンタは2万9926台と圧倒的な差をつけられています。
そこで2015年7月、ようやく満を持してフルモデルチェンジしたという訳です。
翌2016年の販売台数では、ライバルのフリードが年間5万2202台だったのに対し、シエンタが年間販売台数12万5832台を記録。トヨタが圧倒的な勝利を収めました。
※ ※ ※
ただし王者ホンダも黙ってはいません。2016年9月にフルモデルチェンジを実施し、2代目へシフトしています。
翌2017年の年間販売状況も、フリードが10万4405台を記録し、シエンタの9万6847台に逆転勝利しています。
ただし2018年にはフリード8万4121台、シエンタ9万4048台と再び逆転させるなど、熾烈な戦いが続きます。
同2018年9月にはシエンタがマイナーチェンジを実施。同時に2列シート車「FUNBASE(ファンベース)」を追加設定しました。
これは、フリードに設定され一定数の販売シェアを保っていた2列シート車「フリード+(プラス)」に対抗した格好です。
10月にはダメ押しとばかりに、アウトドア仕様の特別仕様車「GLAMPER(グランパー)」を設定しています。
翌2019年の年間販売台数は、フリードの8万5596台に対し、シエンタ11万880台と、マイナーチェンジ効果を存分に発揮しています。
ただしテコ入れ効果も長くは続かず、2020年はフリード7万6283台、シエンタ7万2689台と接戦に。翌2021年はフリード6万9577台に対し、シエンタは5万7802台と差がつけられている状況です。
※ ※ ※
そして2022年、現行型シエンタはデビューから丸7年を迎えようとしています。
ライバルのフリードは2022年6月に一部改良を実施し、商品力の維持に余念がありません。
対するトヨタからの正式発表はありませんが、フルモデルチェンジ時期もそう遠くはないのかもしれません。
まだ見ぬ3代目の新型シエンタ登場が期待されます。
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