内燃エンジンの極致 大排気量NA V12
内燃エンジンの極致といえる、大排気量で自然吸気のV型12気筒。500馬力と300km/hという王代を実現する切り札だ。圧倒的な動力性能だけでなく、極めて繊細な質感も、それ以外のエンジンでは叶えることが難しい。
【画像】V型12気筒の高性能モデル ヴァンキッシュ Sに575 M マラネロ、ムルシエラゴ 全49枚
内燃エンジンは、1つの時代を終えようとしている。ランボルギーニ・ムルシエラゴにフェラーリ575 M マラネロ、アストン マーティン・ヴァンキッシュ Sの登場から、20年ほどが過ぎた。今ここで、その傑作たちを振り返ってみようと思う。
ロンドンの北、150kmほど離れたラトランド州に、カー・アイコニクス社というディーラーがある。フェラーリやアストン マーティンを中心とする高性能モデルが専門で、V型12気筒エンジンの2台を快く提供してくれた。
イエローのランボルギーニ・ムルシエラゴは、英国在住のジョセフ・ウィーラー氏のクルマ。彼も、今回の企画のために時間を割いてくれた。お礼を申し上げたい。
取材場所へ英国編集部が到着した時、ムルシエラゴのシザーズドアは威勢よく空へ立ち上がっていた。6.2Lのエンジンが、威圧的にハミングしながら。
鍵を借りる前に、運転で気をつけるべきことや、避けて欲しいことを訪ねる。ウィーラーは、「クルマを信じて、楽しんでください」と笑顔で答える。
均整の取れた典型的なくさび型
マルチェロ・ガンディーニ氏にかわって、フォルクスワーゲン・グループ傘下となった新生ランボルギーニのデザインを手掛けたのは、ルク・ドンカーヴォルケ氏。ステルス戦闘機のように三角形が組み合わされたスタイリングは、先代以上に均整が取れている。
サイドシルエットは、キャブフォワードの典型的なくさび型。サンターガタのスーパーカーの伝統として、巨大なV型12気筒エンジンをミドシップし、その前方にトランスミッションを組むレイアウトを見事に包み込んでいる。
ドアを避けるように頭をかがめ、サイドシルをまたいで、サイドサポートの高いドライバーズシートへ腰を下ろす。ムルシエラゴのインテリアは、意外なほどシンプルだ。
大きく弧を描くメーターパネルが載るダッシュボードは中央付近で立ち上がり、助手席側のグラブハンドルと一体につながる。2時と10時の位置で握りやすいように、小径のステアリングホイールを3本のスポークが支えている。
メーターの文字盤は、余計な装飾がなく書体も見やすい。じっくり観察すると、フォルクスワーゲンの部品も流用されているようだ。
インテリアの基調色はネイビー・ブルー。背の高いセンターコンソールに切られた美しいゲートから、スチール製のシフトレバーが伸びる。MTを操るスティックというより、オスカー像のような風格すらある。
ランボルギーニのフラッグシップ・スーパーカーとして、ムルシエラゴはディアブロの後継モデルに当たる。高張力鋼とカーボンファイバーの基礎骨格に、V12エンジンが中央へレイアウトされる四輪駆動だ。
四輪駆動システムが与える安心感
ディアブロの進化版とも捉えられるが、先代の不備は一掃してある。フロント・サスペンションは車両前方へ移動。トランスミッションはシフトリンケージを改良し、ダブルコーンとトリプルコーン・シンクロを採用することで強度も高められている。
乗降性を改善するため、サイドシルの上面はディアブロより25mm低く、ドアは5度大きく開く。全幅は2045mm。攻撃的なプロポーションで、後方視界は想像通り良くない。長方形のサイドミラーが、少し助けてくれるが。
見た目だけでなく、エンジンも攻撃力は壮大。だが、運転するのに圧倒されるほどではない。
乗り心地はしなやか。ステアリングホイールも軽くはないが、無意味には重すぎない。見通しの良い郊外の道なら、思いの外短時間でリズミカルに運転できるようになった。
クラッチペダルの重さは妥当で、つながりも漸進的。右ハンドル車のペダルレイアウトは左側へ寄っているが、ブレーキペダルを少し踏み込むと、アクセルペダルと高さが揃う。シフトダウン時のヒール&トウに丁度良い。
そんな細かな設計も、モンスターを高速域で操るのには重要な鍵となる。シフトレバーの操作も一興。メカニカルな精度を味わいながら、ノブを握り肘から腕を動かし、次のギアを選ぶ。V12エンジンと同等の、ドライビング体験の要素になっている。
ギア比は1速と2速がかなりロング。6.2Lエンジンの甚大なパワーを、実際に楽しめる。四輪駆動システムが、安心感を与えてくれる。手足を思い切り動かすことを、ムルシエラゴは快く受け入れてくれる。
扱いやすくドラマチックなV12
発売は2001年だが、最高出力580ps/7500rpm、最大トルク66.1kg-m/5400rpmを発揮するから、現在でもパフォーマンスは絶大。しかも日常的な速度域でも滑らかで粘り強い。バランスの良さを感じさせる。
出力は回転数とともに上昇。トルクは中回転域に山がある、なだらかなカーブを描く。その扱いやすさを実現しているのが、可変インテークパイプの採用だ。
トルク不足とは無縁で、4500rpmで勢いが高まり、ドラマチックさに拍車がかかる。7500rpmまで一気呵成に吹け上がり、レブリミット付近で若干息苦しそうな素振りを見せる。
シフトアップし、再びトルクの山に乗る。ランボルギーニ・ムルシエラゴは今回の3台で最も軽く、最もパワフル。実際にそれを体験できる。
ディアブロから大きな進化を得ているが、カーブの続く道の処理では、現代的なモデルにまでは及ばない。トラクションは巨大。反応が鈍いものの、トラクションコントロールが付いている。
ステアリングは切り始めで重く、アンダーステアが明確。ドライサンプの採用で、エンジンの搭載位置はディアブロより50mm低いが、前後の重量配分は42:58とリア寄り。
適切なタイミングでアクセルペダルを踏まないと、高い速度域ではクラッシュが待っている。高速コーナーをアクセルオフで抜けると、リアの重さがヒシヒシと伝わってくる。
エンジンは驚くほど扱いやすく、サウンドが興奮を誘う。英国郊外の制限速度、97km/h以上の速さへの欲求を抑えることが難しい。何日間、運転免許を取り消すことなく過ごせるだろうか。
この続きは中編にて。
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