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名車のなかの異端児! 伝統を打ち破った名門車たち

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名車のなかの異端児! 伝統を打ち破った名門車たち

 60年以上の歴史を持つトヨタ クラウンが間もなくフルモデルチェンジし、通算15代目となる新型が登場する。長い伝統を誇る車は“革新”より“継承”を美徳とするもの。高級セダンとして不動のポジションを確立しているクラウンも、その例に漏れない。

 クラウンに限らず、伝統を持つ名門車には“らしさ”が求められ、手堅い設計をすることが多い。しかし、時々、変化球を投げる異端児も登場する。そんな革新的なモデルが、伝統ある車に転機をもたらし、新しい歴史の一ページを開いてきたのだ。

「モデル長寿化」の功罪 フルモデルチェンジ周期が長くなってきた 

文:片岡英明
写真:編集部、NISSAN、HONDA

高級車の歴史を変えた「ゼロ・クラウン」

12代目“ゼロ・クラウン”(2003-2008年)

 1971年にデビューした4代目クラウンは、スピンドルシェイプの大胆なデザインが話題をまいた。また、1987年に登場した8代目クラウンも、3ナンバー専用ボディを採用し、世界初のCDインフォメーションと後席液晶カラーテレビ、日本初のトラクションコントロールなど、革新的だった。

 そして、21世紀になって衝撃のデビューを飾ったのが、2003年12月に産声をあげた12代目クラウンである。「静から躍動への変革」を掲げ、すべてを原点から発想する車作りに取り組んだ。デザインだけでなくコンセプトもメカニズムも変えている。

 キャッチフレーズは「ゼロ・クラウン」だ。

 プラットフォームやサスペンションなどを新設計とし、パワーユニットもストイキ直噴の新しいV型6気筒DOHCエンジンを搭載した。

 このD4エンジンは、ロッカーローラーアーム式のバルブシステムを採用し、燃焼室直接噴射方式を採用するなど、進歩的な設計だ。

 これに連続可変バルブタイミング機構の「VVT-i」を組み合わせている。トランスミッションも5速ATに加え、シーケンシャルシフト付きの6速ATを設定した。

 クラウン初の電動パワーステアリングの採用も注目を集めた。安全性能と環境性能も世界トップレベルだ。軽量化を徹底し、ボンネットやサスペンション、エンジンなどにはアルミ素材を多用していることも見逃せない。高級車の歴史を変えたのが、12代目のゼロ・クラウンだ。

スカイライン史に残る衝撃のメカニズム

7代目スカイライン R31型(1985-1989)。写真は4ドアハードトップの「GT Passage Twincam 24V」

 スカイラインはスポーツセダンの代名詞といわれるだけあり、時代に先駆けて先進的な装備を積極的に採用している。

 なかでも衝撃のメカニズムを満載していたのが、1985年夏に登場した7代目のR31系スカイラインだ。パワーユニットだけでなくステアリング形式も一新し、サスペンションにも新機構を導入した。ハンドリング性能は、先代のR30系から飛躍的に高められている。

 心臓は新設計の直列6気筒DOHC4バルブのRB20DE型とDOHCターボが主役だ。

 ハイドロリックバルブリフターや電子制御可変インテークのNICS、ダイレクトイグニッションのNDISなど、独創的なメカニズムを積極的に採用したが、初期型は完成度が低かった。だが、後期型は軽快な吹き上がりと鋭いパンチ力を実現している。

 また、ラック&ピニオン式のステアリングギアと4輪操舵のハイキャス(HICAS)を採用したことによりシャープなハンドリングを身につけ、意のままに操ることができた。

 スカイライン史上初めて4ドアハードトップを設定したこともニュースのひとつだ。

革新の大胆フォルムで登場した「ワンダーシビック」

3代目“ワンダーシビック”(1983-1987年)

 FF、2ボックスの先駆車であり、世界で最初にマスキー法にパスしたクリーンエンジンを積んだのがホンダのシビックだ。

 1983年9月に2度目のモデルチェンジを実施した。3代目のニックネームは「ワンダーシビック」だ。

 衝撃だったのはデザインで、ロングルーフのリアエンドを大胆にカットしたスタイリッシュな2ボックスフォルムに生まれ変わった。グリルレスの若々しいフロントマスクも、それまでのシビックにはなかったものだ。

 エンジンは1.3Lと1.5Lの直列4気筒SOHCだが、ユニークな3バルブ方式である。1984年11月には1.6LのZC型直列4気筒DOHC4バルブエンジンも送り込んだ。7000回転まで気持ちよく回るだけでなく実用域のトルクも厚みがある。

 コンパクトカークラスに、ロックアップ機構付き4速ATを持ち込み、普及させたのもシビックの偉業のひとつだ。シャトルには4WDも設定した。

レガシィを世界基準に押し上げた4代目

4代目レガシィ(2003-2009年)。写真はマイナーチェンジで内外装に改良が加えられた後期型

 低重心の水平対向エンジンと4輪駆動のシンメトリカルAWDにこだわり続け、安全で楽しい走りを実現しているのがレガシィだ。

 歴代のなかで衝撃を与えたのが2003年5月に登場した4代目のレガシィである。世界基準のグランドツーリングカーを目指して開発され、初めて3ナンバーのワイドボディを採用した。その結果、運動性能を飛躍的に高めることに成功した。

 EJ系の水平対向4気筒エンジンには電子制御スロットルや等長等爆エキゾーストシステムを採用し、さらに気持ちいい回転フィールを手に入れている。

 また、最終モデルではADA(アクティブ・ドライビング・アシスト)を発展させた運転支援システムのアイサイトを実用化し、今につながる安全装備の価値を不動のものとした。

◆  ◆  ◆

 自動車に限らず、伝統があるモノは革新を嫌ったり、変えることを躊躇う。

 が、何代もキープコンセプトだと、飽きられてしまうし、新たなファンを開拓できない。特に自動車は日進月歩の世界だから、古い慣習に固執したり、古い価値観に縛られすぎると販売は大きく落ち込む。

 若いデザイナーやエンジニアを育てるためにも革新は必要だ。また、衝撃を与えた車は、時を経ても人々の記憶に残っているものである。

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