Ferrari 812 Superfast × Lamborghini Huracan EVO RWD Spyder × Porsche 718 Cayman GT4
フェラーリ 812スーパーファスト × ランボルギーニ ウラカン EVO RWD スパイダー × ポルシェ718ケイマンGT4
改良新型のポルシェ マカン、試乗を通じて「無印」と「S」の価格差約160万円を検証する【Playback GENROQ 2019】
絶滅危惧種のNA多気筒・大排気量車を渡辺敏史が鋭く語る
より速く、より力強く。スーパースポーツモデルの自然吸気(NA)エンジンの進化は、多気筒・大排気量化を施策としてきた。しかし時代の趨勢は、燃費性能と持続可能性に優れた過給機付きエンジンへとシフトしている。NAの多気筒・大排気量車は今や絶滅危惧種とも呼ばれ、世のエンスージアストはやきもきしていることだろう。
果たしてNA多気筒・大排気量車の行く末はどうなるのか? 『GENROQ』にて対談コラム「KAZ BAR」を連載する清水和夫と渡辺敏史の両モータージャーナリストが、フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェを代表するNA多気筒・大排気量車を箱根で試乗。野外出張版の「KAZ BAR」をGENROQ Webにて展開する。(清水和夫編/渡辺敏史編)
「スポーツカーは、効率性よりも官能性が優先されることもある」
限られた排気量で確実にパワーアップを果たせる手段としてターボユニットが普及した1980年代。それでも自然吸気ユニットには出力特性やスロットルレスポンスなどの利があったわけだ。
が、1990年代に欧州メーカーが乗用コモンレールディーゼルエンジンの開発を通して得た知見をガソリンエンジンにも展開。2000年代に生まれたターボユニットは、小排気量でもしっかり低回転域からトルクが立ち上がり、ターボラグの少ないフラットな特性を実現した。ここに伝達効率の高い多段ミッションを組み合わせることで、小さなエンジンで大きな車体を動かすというダウンサイジングコンセプトを完成させた。
パワーコントロールのしやすさという点でも、ターボは優れたソリューションといえる。すなわち自動車メーカーとしては商品をグレード分けする上で、馬力での差異をつけやすいといったメリットがあるだろう。自然吸気では30psを持ち上げるにも結構な労力を要するが、ターボであれば50psの上下幅くらいはブーストコントロールで引き出せる。
モード燃費、商品性、そしてパワー・・・と、好都合なことが多いターボユニットに対すれば、自然吸気ユニットの肩身はいよいよ狭くなるわけで、今や数的劣勢から絶滅危惧種とも目されるほどだ。が、そこに勝ち目はないかといえばそんなことはない。こと趣味性の高いスポーツカーのカテゴリーに至っては、効率性よりも官能性が優先されることもあるからだ。
「ストリートモデルに搭載される内燃機の究極と称しても大袈裟ではない」
その最たるところにいる自然吸気ユニットといえば、フェラーリの12気筒だろう。21世紀に登場した最初のスペチアーレ、エンツォ用に開発されたF140系エンジンは、599以降の全ての12気筒モデルに搭載されている。バンク角は伝統の65度。この812スーパーファストに合わせて6.5リッターに拡大されたF140GA型は初めてストローク側が伸ばされたが、それでもボア×ストロークは94mm×78mmと、今日びの感覚でいえば相当なショートストローク設計だ。今日び必携のおびただしい補機類を背負いつつ、マニホールドを等長化しながら触媒まで出来るだけ短く纏める、知恵の輪のようなデザインに開発環境のデジタル化の貢献ぶりを垣間見る。
812スーパーファストの最高出力は800ps。それを8500rpmで発する。その速さは言わずもがな、0-100km/h加速2.9秒、最高速340km/h以上と世界の一線級だ。でも812スーパーファストの本当の魅力はそれらのアウトプットだけでは語れない。むしろそこに至るまでの行間に大きな意味がある。
9000rpmのレッドゾーン寸前まで続く激烈なパワーの伸びと底知れない加速、それに呼応して突き抜けるサウンドは、ストリートモデルに搭載される内燃機の究極と称しても大袈裟ではないものだろう。スロットルワークに間髪入れず応答するエンジンのレスポンスも然り、もちろん力強く正確で、でも蹴り出しはじわっと柔らかい後輪の蹴り出し感は自然吸気の12気筒だからこそ味わえるものだ。フェラーリは昔からGT的コンセプトを大事にしたハイエンドモデルを多く世に出してきたが、それを叶えるための必然として12気筒を大切にしているのだろう。
「エンジンを回すほどに振動が霧散して爆発の粒感が揃っていく」
唯一無二のフィーリングという点においては、ウラカンに搭載される5.2リッターのV10ユニットも負けてはいない。そのボア×ストロークは84.5×92.8mmのロングストローク型で、低回転域からぎっちりと身の詰まったトルクを発しつつ、8000rpmオーバーまで軽々と回る回転フィールとパワーの伸びを両立させている。
出力特性は見た目のイメージとは違ってフラットでどの域でも扱いやすいが、低回転域では若干の振動を感じるところがある。エンジンを回すほどにこの振動が霧散して爆発の粒感が揃っていく感覚が気持ちいい。そして何より、突き抜けるように響くというよりは気持ち苦味の利いたV10独特のビートが、フェラーリとはまた違った高揚をドライバーに与えてくれる。いずれにせよ、高圧縮のエンジンをカーンと回して鳴らす音的快感が自然吸気ユニットの醍醐味であることは間違いない。
「内燃機らしいザラ味を感じさせる回転フィールはGT3より好ましい」
ボクスタースパイダー&ケイマンGT4に載る自然吸気の4.0リッターフラット6は、911GT3の派生ではなく、現行911カレラ系に搭載されるターボの3.0リッターフラット6をベースに作られた新しいエンジンだ。許容回転域はGT3に劣るが8000rpmまできっちり回せてパワーも乗ってくるとあらばまったく不満はない。吹け上がりもバイク同然のGT3ほどではないが、存分にシャープさを感じさせてくれる。若干内燃機らしいザラ味を感じさせる回転フィールなどは、個人的にはGT3よりむしろ好ましいと思うほどだ。
このフラット6が開発された経緯のひとつには、より現実的なトラフィックに近づいたモード燃費計測に対する対応があったという。ゴー&ストップの多い都市部での燃費性能に優る自然吸気ユニットの特性に再びフォーカスしたというわけだ。ポルシェのエンジン開発担当エンジニアはもちろんそれについて言及しなかったが、この新しいフラット6が911カレラに搭載される可能性もゼロではないと個人的には思っている。速い遅いだけではないスポーツカーの価値軸を求めるほどに、自然吸気ユニットの存在は尊いものになっていくだろう。
REPORT/渡辺敏史(Toshifumi WATANABE)
PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)
【SPECIFICATIONS】
フェラーリ812スーパーファスト
ボディサイズ:全長4657×全幅1971×全高1276mm
ホイールベース:2720mm
車両乾燥重量:1575kg
エンジン:V型12気筒DOHC48バルブ
総排気量:6496cc
最高出力:588kW(800ps)/8500rpm
最大トルク:718Nm(73.2kgm)/7000rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前275/35ZR20(10J) 後315/35ZR20(11.5J)
最高速度:340km/h
0-100km/h加速:2.9秒
車両本体価格(税込):4128万円
ランボルギーニ ウラカン EVO RWD スパイダー
ボディサイズ:全長4520 全幅1933 全高1180mm
ホイールベース:2620mm
車両乾燥重量:1509kg
エンジン:V型10気筒DOHC
総排気量:5204cc
最高出力:449kW(610ps)/8000rpm
最大トルク:560Nm(57.1kgm)/6500rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション:前後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前245/35ZR19 後305/35ZR19
最高速度:324km/h
0-100km/h加速:3.5秒
車両本体価格(税込):2919万3599円
【SPECIFICATIONS】
ポルシェ718ケイマンGT4
ボディサイズ:全長4456 全幅1801 全高1269mm
ホイールベース:2484mm
車両重量:1495kg
エンジン:水平対向6気筒DOHC
総排気量:3995cc
最高出力:309kW(420ps)/7600rpm
最大トルク:420Nm(42.8kgm)/5000-6800rpm
トランスミッション:6速MT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後マクファーソンストラット
タイヤサイズ(リム径):前245/35ZR20(8.5J)後295/30ZR20(11J)
最高速度:304km/h
0-100km/h加速:4.4秒
車両本体価格(税込):1293万円
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