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生まれるクルマあれば去るクルマあり 2020年に消えたクルマたち 19選

掲載 更新 3
生まれるクルマあれば去るクルマあり  2020年に消えたクルマたち 19選

 ブランニューカーとして新たに生まれるクルマがあるいっぽう、諸々の理由により消滅するクルマもある。まさに諸行無常である。

 2020年も多くのクルマが消えていった。自動車評論家 伊達軍曹が送り人となり、物故車を追悼する。

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※本稿は2020年12月のものです。本企画で取り上げた車種は、2020年中に生産中止または販売終了となったクルマです。消滅時期は生産終了と販売終了が混在しております。また在庫状況によっては、2021年になってもメーカーのホームページに掲載されていたり、購入できる場合があります。なお2020年の累計販売台数は1~11月、キャストの台数はスタイルも含みます
文/伊達軍曹、写真/トヨタ、日産、ホンダ、スバル、スズキ、ダイハツ、レクサス
初出:『ベストカー』 2021年1月26日号

■消滅する理由はクルマによってさまざま

 2020年中に物故された各車様のご葬儀にあたり、ご霊前に弔辞を捧げます。

 本企画で取り上げる計19モデル様は本年、それぞれの生涯を閉じられました。クルマ様が物故されるということは、基本的には「売れなくなったから」という理由に尽きます。

 例えばトヨタポルテ様ならびにスペイド様、またダイハツキャスト アクティバ様ならびにスポーツ様などは、それが理由により物故されたと聞いております。

 しかし一例としてホンダ グレイス様などは、「売れなかったから」というのが事実であるにせよ、日本における人気ジャンルの変移すなわちセダン人気の衰退こそが真の理由であって、グレイス様ご自身に非はなかったのです。

 また本年はトヨタ自動車様の販社統合により、販売面では極めて優秀だったトヨタ タンク様が、ルーミー様に吸収され物故されるという、これまでの常識では考えられないことが起こった点におきましても、記憶に残る年となりました。

トヨタ ルーミー。タンクとの統合は、トヨタが種統合・整理を進めるなかでの大きなトピックのひとつとなった

 しかしそれ以上に、皆さまが物故された真の理由であるとわたくしが思うのは、我が日本国の「国力低下」です。

 もしも国力が万全であったなら、日産キューブ様も、ホンダ N-BOXスラッシュ様もフルモデルチェンジが行えたでしょうし、日産ジューク様なども、海外では人気の2代目を国内に投入できたはずです。そこが、わたくしは残念でなりません。

 しかしそれでも皆々様は、それぞれの持ち場で奮闘されました。ここに哀悼の意を表しますとともに、心からのお悔やみを申し上げます。

●ホンダ N-BOXスラッシュ(2020年2月没/デビュー:2014年12月/歴史:1代限り/2020年販売台数:297台)

ホンダ N-BOXスラッシュ

 初代N-BOXのルーフを下げたデザイン、そして内装も素敵でした。しかし製造元は新型N-BOX登場後も君をフルチェンジさせなかった。悔しいですね。

●日産 キューブ(2020年3月没/デビュー:2008年11月/歴史:3世代(初代は1998年)/2020年販売台数:248台)

日産 キューブ

 キューブくん。あえて「くん」と呼ばせてください。君は偉大な小型車だった。ちゃんとした改良をやる体力と意向が製造元にあれば……。本当に残念です。

●ダイハツ キャストアクティバ/スポーツ(2020年3月没/デビュー:2015年9月(アクティバ)/歴史:1代限り/2020年販売台数:1万9286台)

ダイハツ キャストアクティバ/スポーツ

 2015年に「スタイル」「アクティバ」「スポーツ」というコンセプトの異なる3兄弟でお生まれになった軽SUVですが、次男と三男は早逝。さようなら。

●スバル ディアスワゴン 2020年3月没(デビュー:2016年11月/歴史:2世代(初代は1999年)/2020年販売台数:103台)

スバル ディアスワゴン

 そういえば貴方……いらっしゃいましたね。ええとダイハツさんのアトレーワゴンさんの、OEM供給版でしたっけ? ですよね? ……さようなら。

●トヨタ レジアスエース(2020年4月没/デビュー:2012年7月/歴史:1代限り/2020年販売台数:6980台)

トヨタ レジアスエース

「ハイエースとの違いはエンブレムだけ」なのに、逆によくぞここまで生き延びました。販社統合でさすがに物故されましたが、「お疲れさま」と言いたいです。

●トヨタ サクシード(2020年5月没/デビュー:2012年7月/歴史:1代限り/2020年販売台数:8646台)

トヨタ サクシード

 当初のあなたはプロボックスより長くて積める「兄貴分」でしたが、2014年以降はエンブレムが違うだけのクルマでした。そして販社統合によりご逝去。南無。

●日産 ジューク(2020年6月没/デビュー:2010年6月/歴史:1代限り(欧州:2019年2代目)/2020年販売台数:429台)

日産 ジューク

 キックスさんへの「選択と集中」の犠牲となって物故されましたが、SUVとしては貴殿のほうが“粋”であり、2代目もカッコいいです。残念でなりません!

●トヨタ ライトエース(2020年6月没/デビュー:2012年7月/歴史:1代限り/2020年販売台数:2800台 ※内訳はバン2040台、トラックが760台)

トヨタ ライトエース

タウンエースとはエンブレム(シール)が違うだけの姉妹車と思っていましたが、元々は別のクルマで、登場は貴方のほうが先だったのですね。お疲れさまでした。

●ホンダ グレイス(2020年7月没/デビュー:2014年12月/歴史:1代限り/2020年販売台数:3121台)

ホンダ グレイス

 海外向けの4代目シティにフィット譲りのパワートレーンを積んだ、貴重な5ナンバーセダン。ジジ臭いと言われましたが、私は好きでした。さようなら。

●ホンダ ジェイド(2020年7月没/デビュー:2015年2月/歴史:1代限り/2020年販売台数:1067台)

ホンダ ジェイド

 スライドドアを持つ背高ミニバン全盛期に、ヒンジドアを持つロールーフ3列車(&2列車)として奮闘しました。敗れましたが、競合より貴方が好きでした。

●スバル レガシィB4(2020年7月没/デビュー:2014年10月/歴史:5世代(海外では6代目を販売)/2020年販売台数:838台)

スバル レガシィB4

 セダン人気が激烈低下するなか、モデルチェンジされない屈辱を受けながらよく頑張りました。北米B4と次期型WRX S4に後は任せ、安らかな眠りを!

●日産 ティアナ(2020年7月没/「デビュー:2014年1月/歴史:3世代(初代は2003年)/2020年販売台数:393台)

日産 ティアナ

 セダン凋落に伴ってお亡くなりになりましたが、貴方が確立した「北欧モダンリビング」の概念はしっかり根付きました。ありがとう。そして、さようなら。

●スズキ バレーノ(2020年7月没/デビュー:2016年3月/歴史:1代限り/2020年販売台数:424台)

スズキ バレーノ

 インド生産のBセグ車として2016年に上陸。悪いクルマではなく、インドでは人気車になったそうですが、日本ではほぼお見かけしませんでした。さようなら。

●ホンダ シビックセダン(2020年8月没/デビュー:2017年7月/歴史:10世代(海外では販売継続)/2020年販売台数:972台)

ホンダ シビックセダン

 本年1月にマイチェン版が登場したのに、あっさり生産終了。でもそれは貴方のせいではなく、セダンに乗らない日本人のせい。海外で頑張ってください!

●レクサスGS(2020年8月没/デビュー:2012年1月/歴史:4世代(初代は1993年)/2020年販売台数:758台)

レクサスGS

 セダンというジャンルそのものの凋落に加え、同門のFFセダンであるESにも押され、さぞや大変だったかと思います。輪廻転生後のご活躍を祈ります!

●トヨタ タンク(2020年9月没/デビュー:2016年11月/歴史:1代限り/2020年販売台数:3万5569台)

トヨタ タンク

 トヨタ販社統合の影響で、販売好調だったにもかかわらず消滅。無念だったでしょうが、遺志はルーミー カスタムが継ぎました。安心してご成仏ください!

●トヨタ スペイド(2020年9月没/デビュー:2012年7月/歴史:1代限り/2020年販売台数:1824台)

トヨタ スペイド

 ポルテさんの姉妹車だったスペイドさん。よりわかりやすい作りのルーミーさんに駆逐されてしまいましたが、貴方の顔、嫌いじゃありませんでした!

●トヨタ ポルテ(2020年9月没/デビュー:2012年7月/歴史:2世代(初代は2004年)/2020年販売台数:3610台)

トヨタ ポルテ

 小さな身体の左側面を1枚のスライドドアとし、右側面には2枚の通常ヒンジドアを付ける。そのチャレンジはあまりウケませんでしたが、私は忘れません!

●日産 シルフィ(2020年9月没/デビュー:2012年12月/歴史:3世代(中国では4代目を販売)/2020年販売台数:921台)

日産 シルフィ

 厳密には違うのですがブルーバードの熱き血潮を(いちおう)引き継ぎ、近年は高齢者の足として孤軍奮闘しましたね。長い間本当にお疲れさまでした!

【番外コラム】既にアナウンス済 2021年消えるクルマ

 消滅が公表されている4モデルについては、「まぁ順当でしょう」というのがその印象。

 プリウスαは、トヨタが進めている「国内ラインナップを半減する」という方針に基づいてカローラツーリングに道を譲る形であり、プレミオ/アリオンは、国内のセダン人気低迷(特に5ナンバー)を考えると、経営判断としては妥当。

 2020年11月の中国・広州モーターショーで新型アリオンが発表されたが、こちらは日本導入の予定はなし。

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 またホンダ アクティトラックも、ホンダの軽トラ市場からの撤退という経営判断ゆえ、仕方のない話だ。

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みんなのコメント

3件
  • こんなにもやる気がなく、好きなクルマとそうでない場合の差別がはっきりと文章に現れている記事、久しぶりに読んだなあ。
  • 自動車雑誌だってこの先どうなるかな?

    心にも無い忖度、日本で売っていない海外モデルを
    無理矢理ねじ込んだネタ作り、そして部数稼ぎの
    ガセネタと先は真っ暗だろ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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