スーパーフォーミュラでは今季から、ドライバーとチームの無線交信をレース中継やアプリ『SFgo』を通して聞けるようになり、それによってレースの裏側や様々な人間ドラマが映し出されるようになっている。今回はオートポリスで行なわれた第4戦を振り返りつつ、その中でいくつか印象的な無線交信をピックアップして紹介する。
■近付くピットウインドウオープン。各車の反応は?
■「なんでこうなるの!」「日本は甘くねえぞ!」男たちのアツい想いが爆発した鈴鹿決戦|無線で振り返るスーパーフォーミュラ
決勝レース序盤は、坪井翔、阪口晴南のP.MU/CERUMO・INGING勢をリアム・ローソン(TEAM MUGEN)、宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)らが追い上げる展開。オートポリスはオーバーテイクが容易なサーキットではないため各車こう着状態となったが、前方のマシンに引っかかることを嫌って早めのピットインをするか、それとも終盤までピットインを遅らせるか……タイヤ交換義務が消化できるようになる10周目の前後には、各陣営が戦略に頭を悩ませていた。
3番手を走るローソンは当初、トラフィックへの懸念からミニマム(最小周回)でのピットインを行なわず、走行を続けていた。しかしミニマムで入った車両のペースがかなり速いことを踏まえ、13周終了時でのピットインを決断するのであった。
7周目~13周目 ローソン
ローソン「プランはどう?」
チーム「プランBを考えてるところだけど、セルモの2台次第だね」
ローソン「了解」
チーム「ピットウインドウオープンになったけど、アンダーカットを狙うとトラフィックにかかる」
ローソン「了解、そのまま行けばいいね?」
チーム「うん、晴南の逆をつこう」
チーム「BOX、BOX、アンダーカットした組が相当速いから、ピット入らないと。アンダーカットを狙おう」
ローソン「BOX了解」
一方、中団を走るTCS NAKAJIMA RACINGも作戦に悩んでいた。まず山本尚貴をミニマムで入れ、佐藤は引っ張らせる方向性だったが、ライバルの状況も鑑みて佐藤も早めのピットインに方針転換した。
8周目~11周目 山本、佐藤
チーム「関口邪魔になってる?」
佐藤「あと1秒速く走れる」
チーム「了解、蓋されてるね、了解」
山本「内圧は悪くないんですけど、もうタイヤはしんどい」
チーム「山本先入りたい? 蓮は今考え中」
山本「正直どのタイミングで入っても、ちょっと僕はしんどいと思ってますけど」
チーム「蓮くんここで蓋されてるなら、ミニマムやっちゃうけど、どう思う?」
佐藤「いや~……」
チーム「じゃあ予定通り引っ張るか。コース上で頑張って抜いて」
佐藤「了解」
チーム「一応蓮は引っ張ります」
山本「入っちゃいます?中途半端だったら」
チーム「入っても大丈夫。任せるよ」
チーム「入った組が少ないから、入れちゃうこともできる」
佐藤「入れようか、入れよう!」
チーム「了解、じゃあピットやろう。BOX」
■“池田作戦”か、“上城作戦”か
1周目に14番グリッドから8番手まで順位を上げた大湯都史樹(TGM Grand Prix)には、上位入賞のチャンスが出てきていた。どのタイミングでピットに入るのか? チームと大湯は“池田作戦”と“上城作戦”のどちらを採用するかで議論していた。ちなみに“池田”は池田和広チーム代表、“上城”は大湯担当の上城直也エンジニアを指していると思われ、それぞれが推奨した戦略だと推察される。
14周目~18周目 大湯
チーム「タイヤ的に池田作戦はいけそう?」
大湯「上城作戦がいいと思う!」
チーム「了解。検討する」
チーム「上城作戦は検討してるけど、池田作戦も捨てられない。池田作戦も頭に入れといて」
大湯「Copy(了解)」
チーム「雰囲気的に、上城作戦が良いかな。どう?」
大湯「上城(で行こう)! けっこうキツい」
大湯「フルプッシュして、もう無理ってなったらBOX」
■大湯に言って?
粘りの走りを見せる大湯のすぐ後ろを走行していたのが、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)。彼はレース終盤までピットインを遅らせる戦略をとっていたが、大湯のペースに付き合う形となっていた。そんな中でチームから、ペースを上げるよう無線が飛んだ。
18周目 平川
チーム「今ピットイン組は2秒(1分32秒)前半だからね。もうちょっと上げて」
平川「大湯に言って? 大湯に、ねえ。詰まってるのよ~」
チーム「了解。プランA、OK」
ポイント圏内を目指して走る小林可夢偉(Kids com Team KCMG)にも、チームから無線が飛ぶ。
19周目~20周目 小林
チーム「アベレージラップは速いから、今のタイムをキープすれば結構頑張れるから、頑張ってね」
小林「もう十分頑張ってます」
チーム「了解」
チーム「今のタイムすごい良いよ、今のタイムすごい良い」
小林「ちょっと黙って!」
チーム「了解」
■大湯と阪口が接触!
25周目までタイヤ交換を引っ張った大湯は、フレッシュタイヤで怒涛の追い上げを開始した。ジェットコースターストレートでは阪口に並びかけたが、そこで2台は接触。大湯はコースオフしてリタイア、阪口もダメージによりリタイアとなった。
このインシデントは大湯にペナルティが出され、レース後には大湯が阪口の元へ謝罪に出向いて手打ちとなっているが、接触直後の大湯は2戦連続でのアクシデントということもあり感情を抑えられない様子だった。
29周目 大湯、阪口
大湯「おい! いやちょっとふざけんなよ! なんでいつもこうなんの~!? いやいやふざけんなよ……おい! 意味分かんないよ。どうしてもいつも俺だけこうなるのお……」
阪口「タイヤ壊れた」
阪口「大湯が寄ってきたんで。無理だろあんなの」
阪口「ピット入ります。ごめん」
大湯「今のはないでしょう……外追いやられてるし。寄せないでよ」
■セーフティカー出動へ
大湯と阪口のアクシデントにより、セーフティカーが出動した。これを機に、ステイアウトを続けていた宮田や平川らが続々ピットイン。平川のチームメイトである関口雄飛も平川とのダブルピットに臨むが、ピット作業に手間取りタイムをロスした。
31周目 関口
チーム「落ち着いて落ち着いて、SCだからね」
関口「まただ、まただよ! いつもだよ俺ばっか!」
チーム「ごめんごめん。まだ終わってないよ」
ポイント圏内を走りながらも、ペースが上がらず苦しいレースを強いられていたのが福住仁嶺(ThreeBond Racing)。序盤から酷いアンダーステアを訴えていたが、セーフティカーラン中にはチームに詳細なフィードバックをしていた。
31周目 福住
福住「フロントが明らかに鈴鹿の時と同じで、ブレーキで跳ねまくって勝負できないし、全く止まらないし、とにかく空力全く感じないです」
チーム「途中から何かが壊れた訳ではないね?」
福住「それは絶対ないと思う。跳ねるからウォームアップでフロントを温めにいけない。みんなのウォームアップめちゃくちゃ速いよ」
福住「リバウンドが強すぎるんじゃないかな。ブレーキ踏んでる時にずっとフロントが跳ねてるんだよね。上に戻そうとする力が強い感じで」
■山本は節約家
SCランの時点で10番手を走る国本雄資(Kids com Team KCMG)は、前を行く山本のOTS(オーバーテイクシステム)残量を確認。あまりの多さに驚いていた。
32周目 国本
チーム「山本のOTは176(秒)」
国本「山本くんって……すごいですね、節約家ですね。この前もすごかったし」
■逃げるローソン、追いかける宮田
レースは残り8周となり、トップを走るローソンは逃げの態勢に入った。一方でフレッシュタイヤを履く宮田は、坪井を交わして2番手に浮上。しかしOTSは既に残っていなかった。
38周目 ローソン、宮田
チーム「2番手はリトモに変わったけど、彼のOTSはゼロ」
ローソン「OK、了解」
チーム「残り周回少ないけど頑張ろう。フルプッシュね」
宮田「諦めないよ!」
宮田「リアムのタイム毎回教えて。プッシュするから!」
■ローソンが今季2勝目! 宮田、坪井及ばず
ローソンはそのまま逃げ切り今季2勝目。チームの働きを称えるローソンに小池智彦エンジニアは、チームのアドバイザーを務める武藤英紀の戦略も良かったと話した。
チェッカー ローソン
ローソン「ワオ、みんな良くやってくれた。ありがとう」
チーム「君がたくさんオーバーテイクしてくれたのも勝因のひとつだよ。ありがとう」
チーム「もうひとつの勝因は武藤さんのストラテジーだね。すごく良かった」
ローソン「みんな本当にありがとう。今週末のクルマはすごく良かった。今回はトラックポジションが一番大事だったね」
チーム「そうだね。牧野(任祐/DOCOMO TEAM DANDELION RACING)を抑えられたこともキーポイントだったね」
ローソンを捉えられず、2位に終わった宮田。彼はレース中盤に坪井に追いついた際、チームからの早めのピットインの提案を断ったが、彼はこの判断を悔やんでいるようだった。
チェッカー 宮田
チーム「リトモお疲れ。2番手。ごめん」
宮田「いや、ごめん……。僕の判断ミス。ごめん」
チーム「坪井に引っかかった時に入れるべきだったかもな」
宮田「いやごめん。これは僕のミス。僕が作戦選んだのが良くなかった。ごめんね。でもクルマは良かったので今週末もしっかり戦えました。ありがとうございました。次のSUGOはしっかりポール獲って完全勝利できるように努力するので、またお願いします」
チーム「いや、けっこう(判断が)難しかったんだよなあ~。でもクルマ速かったな。頑張って走ってくれてありがとう。お疲れさん」
3位の坪井は、またしても今季初勝利を逃したことに悔しさを見せたが、3戦連続の表彰台はポジティブに捉えていた。
チェッカー 坪井
坪井「あーごめん……また勝てなかった」
チーム「ちょっとペース足りなかったな。ちょっとローソン速かったね。しゃあない、次頑張ろう」
坪井「そうですね。ちょっと考えなきゃね、ごめんなさい」
チーム「悪いなりに表彰台だから、次がんばろ」
坪井「そうですね。やっと表彰台争い常にできるようになってるのはポジティブなことだと思うので、次もこういうレース続けてればチャンス来ると思うので、頑張りましょう」
チーム「よろしくね~」
チーム「毎回こういう戦いしてれば、絶対うちらの番くるから。頑張ろう」
悲喜こもごもの上位陣。一方で下位に沈んだドライバーたちもそれぞれが悔しさをあらわにした。
16位に終わったルーキーの太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は、今季無得点に終わっているが、「まだ諦めていない」とその闘志をのぞかせていた。
チェッカー 太田
太田「ちょっと苦しい戦い続いてますけど、まだ全然諦めてないので、絶対次やりましょう。お願いします。ありがとうございました」
レース終盤はピットでのミスに加え、ギヤトラブルにより大きくポジションを落として18位フィニッシュとなった関口も、当初は苛立ちを隠せない様子だったが、チェッカー後はすぐに気持ちを切り替えていた。
チェッカー 関口
関口「ピットは……しょうがないけど、2回連続だから。ちょっと耐えられない。わざとやってないのは分かるけど、結果として2回連続だから、ちょっと受け入れられない」
チーム「ごめんね、申し訳ない」
関口「いや、わざとじゃないことは分かってるから、もうこれ以上言わない。また次からお願いします!ありがとうございました」
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みんなのコメント
セナは寄せてないしスペースも1車分開けてたし、セナのほうがノーズは前にあった。
寄せてきたのは大湯でクラッシュの原因を作ったのも大湯。
被害者はセナです。
大湯は自己中すぎだ。
だから、「いつもこうなる」んだよ