工事現場で使う土・砂利・砕石の運搬を行なう特装車が、ダンプトラックだ。
独自のダンプ装置により荷台を持ち上げることで、手積み・手降ろしがむずかしい土・砂利・砕石などの積み荷を一気に降ろすことが可能。姿カタチは大きく変わらないものの、50年以上の長い歴史を誇り、バリエーションも多種多様。
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果たしてダンプトラックは、一体どんなクルマなのか? もっともポピュラーな土砂用ダンプをモデルに、ダンプトラックの構造やメカニズムに迫ってみたい。
文・写真/フルロード編集部
※トラックマガジン「フルロード」第36号より
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■車名の由来は「ドサッと降ろす」!? 長~い歴史を持つダンプトラック
日本で最初にダンプトラックが走り始めたのは1940年代。写真は小平産業が1960年に生産を開始したダンプトラックの初期モデルで、ベースシャシーはボンネットキャブのいすゞTX
ダンプトラックは、工事現場で使う土・砂利・砕石をはじめ、スクラップやコンクリートガラ、汚泥・汚水などの産業廃棄物や、飼料・肥料など、さまざまな積み荷を運ぶトラックである。
オフロード走破性に優れる堅牢なシャシーに、頑丈な荷台を併せ持ち、「ダンプ装置」と呼ばれる独自の機構で荷台を持ち上げることで、手積み・手降ろしがむずかしい積み荷を一気に降ろすことができるのが最大の特徴。ちなみに、車名の「ダンプ(DUMP)」は英語で「ドサッと降ろす」という意味である。
日本で走り始めたのは1940年代で、高度経済成長期の建設ラッシュなどを背景に普及したといわれている。ちなみに、それまで土・砂利・砕石などの運搬は、小分けに袋詰にしたものを平ボディで手積み・手降ろしする方法で行なわれていたそうだ。
■多岐にわたるダンプトラックのバリエーション、土砂用ダンプと土砂禁ダンプの違いとは?
土砂用ダンプは荷台容積が制限されるが、土砂等の運搬が可能。荷台側面・後方には管轄運輸支局や事業種類を表示するためのゼッケンが取り付けられる。写真の白い部分がゼッケン(出荷前のため空白)だ
バリエーションは、軽トラ~大型トラック、トレーラまで幅広く存在。「ベッセル(VESSEL/容器)」と呼ばれる荷台の種類も多種多様だが、大きなくくりとして、「土砂用」か「土砂禁」かで分類することができる。
土砂用は、荷台容積を一定以下にするなど、所定の要件を満たすことで土砂等(土・砂利・砕石・アスファルト・コンクリートなど)の運搬が認められたダンプトラック。最大積載量5000kg/車両総重量(GVW)8000kg以上の車両には自重計とゼッケンの装着も義務付けられる。
ゼッケンは、荷台側面・後方に「横浜 営 12345(例)」と記されたもので、この場合、管轄運輸支局が「横浜」、事業の種類は「運送事業」、車両番号が「12345」番、という意味。なお、事業の種類が運送事業の場合、ナンバープレートは緑色(営業用)。それ以外は白色(自家用)となる。
ちなみに、ダンプ業界では、運送会社に所属せず、自家用ダンプで仕事を行なっている「オーナードライバー(あるいはオーナーオペレーター)」も多い。道行くダンプトラックに自家用の白ナンバーが多い理由のひとつである。
いっぽう、土砂禁は、荷台容積などが所定の要件を満たしておらず、土砂等の運搬が認められていないダンプ。具体的には、スクラップやコンクリートガラなど産業廃棄物を運搬する深アオリダンプや、汚泥・汚水を運ぶ水密ダンプなどが挙げられる。
荷台容積の制限が無い代わり、土砂等の運搬ができない土砂禁ダンプ。上の深アオリダンプはスクラップなどかさ張る積み荷の運搬用。いっぽう、下の水密ダンプは汚泥・汚水など液体系の積み荷の運搬用。どちらもゼッケンはない
■ダンプ装置は2種類存在! ホイスト式とテレスコピック式の違いは?
ホイスト式ダンプ装置を搭載したダンプトレーラ。ホイスト式は油圧シリンダー、リフトアーム、テンションロッドの3つのパーツで構成されるホイストシリンダーで荷台を持ち上げるもので、ダンプアップのスピードが早く、かつ頑丈なのが特徴
ダンプトラックの構造はシンプルで、荷台、ダンプ装置のほか、ダンプ装置を動かすためのギアポンプをシャシーフレーム内側に搭載。動力はトランスミッションPTOから取り出す仕組みで、トレーラの場合はトラクタから動力供給を受ける。
ダンプ装置は2種類あり、日本では「ホイスト式」が主流。ホイスト式は、油圧シリンダー、リフトアーム、テンションロッドという3つのパーツからなるホイストシリンダーで荷台を持ち上げるもの。ダンプアップのスピードが早く、頑丈なのが特徴で、操作は運転席シート付近のダンプレバーを引き上げて行なう。
ホイスト式ダンプ装置は、運転席シート付近のダンプレバーを引き上げて操作する。エンジンをかけた状態でクラッチペダルを踏みながらPTOスイッチをONにし、レバーを引き上げるとダンプアップ。降ろす時はPTOスイッチをOFFにする
いっぽう、欧米で主流の「テレスコピック式」は、電動油圧式のテレスコピックシリンダーで荷台を持ち上げるもの。ダンプアップのスピードはホイスト式より遅いが、そのぶん安全性が高いといわれており、近年、日本でも普及し始めている。操作はボタン式だ。
テレスコピック式ダンプ装置を搭載したダンプトレーラ。こちらは荷台前方のテレスコピックシリンダーの伸縮で荷台の上げ下げを行なうもので、ホイスト式よりスピードは遅いが、そのぶん安全性は高いといわれる。操作はボタンを押すだけのシンプルなものだ
■荷台バリエーションも多種多様!でっかく運べるダンプトレーラも増加傾向
荷台の材質はスチールが一般的だが、積み荷の種類・用途に合わせてアルミやステンレス、耐摩耗鋼板も可能。側面の自動シートは積み荷の落下事故を防ぐためのもの。その名の通り電動モーター式による自動開閉式だ
どちらのダンプ装置も、シャシーの一番後ろのピンで荷台を固定しているのは共通。積み荷は荷台最後部のリアゲートから降ろす。リアゲートは荷台を持ち上げると自動でロックが解除される仕組みが基本で、万が一の事故を防止するダブルロック仕様などさまざまなオプションが存在。
荷台は、積み荷の種類・用途に応じ、荷台の長さ、アオリの深さ、鉄板の材質などを組み合わせる。材質はスチールが一般的だが、積み荷の種類・用途によっては軽量なアルミや、サビに強いステンレス、軽量で頑丈な耐摩耗鋼板も用いられる。
リアゲートは荷台を持ち上げると自動的にロックが解除される仕組みが主流。手動レバーによる操作が必要なダブルロック式や電動開閉式も存在する
ちなみに、ダンプトラックで一番ポピュラーなのは、GVW20t級・ホイールベース4.5m級の6×4シャシーをベースとする通称「10tダンプ(土砂用)」。
「10t」は最大積載量に由来し、近年はシャシー重量が増えてしまったため、実際の最大積載量は7500kg前後にとどまるが、昔からの名残で今でも「10tダンプ」と呼ばれている。
また、近年は輸送効率アップやドライバー不足への対応を図るため、大量輸送が可能なダンプトレーラが増加中。長距離の拠点間輸送をダンプトレーラ、拠点から現場までを10tダンプというように棲み分けも始まっている。
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みんなのコメント
実際の所ホイストの耐荷重ってどのくらいあったのでしょうかね。
理由はお察し