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【バイクトリビアVol.4】人気のスクランブラーの語源は「緊急発進」だった!?

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【バイクトリビアVol.4】人気のスクランブラーの語源は「緊急発進」だった!?

シーンを選ばないマルチな魅力のスクランブラー

【バイクトリビアVol.3】スポークホイールは軽いのか? 重いのか?

本格的なアドベンチャーやオフロードモデルと一線を画す「スクランブラー」。尖がったイメージではなく、どちらかというと穏やかな佇まいなのに、なぜスクランブラーの名が付いたのだろう? 現在は人気のカテゴリーだけど、けっこう長く姿を潜めていたのはなぜ?

●文:ミリオーレ編集部(伊藤康司) ●写真:ホンダ、ドゥカティ、トライアンフ

実は長らく姿を消していたスクランブラー

ドゥカティやトライアンフなど欧州メーカーからリリースされ、人気の高い「スクランブラー」のカテゴリー。近年はブランドを復活したメーカーやアジア圏の中小排気量メーカーもスクランブラーをラインナップしている。

このスクランブラーという呼称の登場は、じつは’60年代初頭まで遡る。当時のモトクロスやダートトラック等の未舗装路で行なわれるレースが、横一線に並んで一斉にスタートすることから「緊急発進=スクランブル」の様子に似ており、“スクランブルレース”の俗称を得たところから始まったといわれる(このスタート方式は現在にもつながる)。

そして当時はまだ本格的なオフロード車やモトクロッサーが存在していなかったため、オンロードスポーツ車に最低限の改造(アップマフラーとダート用のタイヤ程度)を施してレースを楽しんでいた。そんなバイクをスクランブラーと呼んだのだ。

ところが、そんなスクランブラーの形態が、当時の日本にもマッチした。’60年代半ばの日本は道路の舗装率も低く、街中や幹線道路ですら未舗装路が多かった。そのため純粋なロードスポーツ車よりも、むしろスクランブラーの方が実用性やスポーツ性が高かったともいえる。

ホンダの当時のカタログにも「ストリートスクランブラー」という文言があり、高速走行からラフロードまで路面を選ばず力強く走ることを主張していた。また当時アメリカで始まったヒッピーなどの文化も日本に波及し、旧来の価値観から飛び出す若者たちにもスクランブラーのスタイルが大いに受けた。

しかし、’70年代中頃からオフロード性能を本格的に追求した「トレール車」が台頭したことで、ほどなくスクランブラーは姿を消してしまった。じつは近年復活するまで、スクランブラーはじつに40年近くも空白のカテゴリーだったのだ。

1970年代、ホンダはスクランブラーをフルラインナップ!

―― 1970年のホンダ・スクランブラー「CLシリーズ」の総合カタログの表紙。バブルシールドのヘルメットにスエードっぽいジャケット、ストライプのパンツなど、明らかにバイクウエアではないスタイルが、当時のスクランブラーの立ち位置や文化を表している。

―― ホンダ初の本格スクランブラー「ドリームCL72スクランブラー」は1962年に登場。当時大人気のロードスポーツCB72がベースだ。

―― 1966年発売のベンリィCL90。Tボーンフレーム&横置きエンジンの実用車C90から発展したロードスポーツ車のCS90がベース。

ヘビー級の輸出モデル

―― カワサキのW2TT(画像は1968年の初期型)。カワサキ初の大排気量車W1から発展した輸出モデルのW2をベースに作られたスクランブラー。680台ほどしか生産されなかった希少車で、日本国内では販売されなかった。 [写真タップで拡大]

復活、再燃したスクランブラー人気

1980年代に入る前にほとんど姿を消したスクランブラーだが、ロードスポーツ車をベースにアップマフラーやブロックタイヤを履かせるカスタムは、一部のマニアやコンストラクターの間で行われていたが、かなりマイナーな存在だった。

しかしドゥカティが2015年に、新たなバイクライフや世界観で打ち出した、その名も「スクランブラー」の登場で、一気に息を吹き返した。

アップライトで軽快なスタイルや、実際には舗装路を走らなかったとしても「どこでも行けそうな」、走りのシーンを限定しないスクランブラーの自由なイメージが、いまの時代や世情に合っているのかもしれない。

ドゥカティのスクランブラーは、昔も今も大人気!

―― ドゥカティが新たな世界観で新生スクランブラー・シリーズを世に出したのが2015年。遡ること40年余り、1962年に最初のスクランブラーが登場し(250モデル)、1970年代初頭まで排気量も125、250、350、450とラインナップし、アメリカをはじめ世界中で大ヒットした(画像は1969年のスクランブラー450)。 [写真タップで拡大]

英国スクランブラーの元祖は本格派!

―― トライアンフはモダンクラシックの2気筒シリーズで、900ccのストリートスクランブラーと、1200ccのスクランブラー1200をラインナップするが(画像はスクランブラー1200XE)、その源流は1960年代初頭に登場したTS20 カブ・スクランブラーだ(画像は1963年モデル)。人気の単気筒200ccのロードモデルT20をベースに多くの英国人ライダーがスクランブルレースに参戦し、その人気に応えてTS20を発売した。 [写真タップで拡大]

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みんなのコメント

6件
  • 中学生でもわかる英単語・・・
  • 1968年のヤマハDT-1の話が無い。「ヤングマシン」は「オートバイ」や「モーターサイクリスト」に比べると後発のバイク雑誌なのであまり古い話になるとはっきりわからなくなる傾向がある。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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