2021年4月23日に発売したばかりのコンパクトSUV、新型ホンダヴェゼルは約1カ月で累計受注台数は3万2000台となり、月間販売台数の6倍以上という好調な滑り出しとなった。
また、2020年8月に登場したトヨタヤリスクロスもセールスが好調で、販売会社のホームページで納車時期を確認すると、ガソリン車、ハイブリッドともに2020年12月以降(予定)と表示されている。半導体不足など様々な要因があるとはいえ、人気の高いSUVの納車時期は長くなっているのが現状だ。
似て非なる人気SUV!? ハリアーとRAV4はなぜ共倒れしなかったのか
まさにSUVを出せば売れるという感じだが、なぜSUVは我々を虜にするのだろうか? SUVを一度買ったらやめられないとよく聞くが、なぜそれほどまでに人気なのか?
その理由を探るとともにベースとなったハッチバックと、SUVモデルの査定買取価格を徹底比較。買取価格もSUVのほうが高いのか、モータージャーナリストの萩原文博氏が解説する。
文/萩原文博
写真/トヨタ ホンダ スバル
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なぜこれほどSUVが人気となったのか、売れる理由を分析する
左のヤリスと右のヤリスクロスと比べると豪華に見えるし、ホイールアーチも大きく、ボディサイズのデザインも、やはりSUVのヤリスクロスのほうがカッコいい
クーペSUVの特徴をよく表しているハリアー
筆者もSUVブームに乗っかったというわけではないが、SUVを3台乗り継いでいる。スバルレガシィアウトバック、XVハイブリッドをそれぞれ5年乗り、現在はプジョー2008を所有している。SUVを選んだ理由は多くのユーザーと同様に、所有するクルマは自分の希望を最大限叶えてくれるオールインワンのクルマだからだ。
仕事柄、たくさんの撮影機材をラゲッジスペースに積み、遠方へ日帰り取材を行うことが多い。本来は広いラゲッジスペースと低重心を活かしたステーションワゴンがマッチしていると思っている。
しかし、レガシィアウトバックを選んだのは、2.5Lターボエンジンを搭載した特別仕様車が登場したタイミングだったこと。
そして、最低地上高を高めたことにより、タフな路面状況でも走行可能だろうという+αの魅力に惹かれた。
XVハイブリッドはベース車のインプレッサスポーツに加えて、最低地上高を大幅に高めたことで、ドライバーのアイポイントが高くなり、良好な視界が獲得できたこと。全高を高めたことで荷室も広くなるなど、ステーションワゴンには及ばないが、自分のニーズに応えてくれたのである。
現在のプジョー2008はXVハイブリッドで馴染んだ視界の良さそしてクラストップの荷室。そしてボディサイズに制限のある立体駐車場にマッチしたモデルだったからだ。
恥ずかしながらSUVを3台乗り継ぎ、前の2台は4WDだったにも関わらず、スタッドレスタイヤを装着したことも、購入したこともない。
さらにキャンプなどアウトドアに行くこともない完全な“街乗りSUV派”だ。したがって、スキーやスノボに行く人たちから「なんで4WD買ったの?」、「なんでSUVなの?」と散々言われたものだ。
しかし、前述したように、自分にとって4WDは雪道を走るためでなく、突然の大雨などによりスリッピーな路面になっても運転の負担を軽減するために選んだもの。FFのプジョー2008を選んだのは、予算そして立体駐車場というボディサイズに制約のあるなかで、ベストチョイスをした結果だ。
そしてSUVを乗り継いでわかったことは、XVハイブリッドを手放す時の査定価格が高かったということだ。SUVの人気モデルは期待以上の働きをしてくれて、手放すときにも期待以上のバリューがあるのだ。
自分が所有したSUVは3車種ともトヨタハリアーやランドクルーザーのようなピュアSUVではなく、ステーションワゴンや5ドアハッチバックをベースとしたSUVモデルという共通項がある。そこで、今回は人気のSUVとベース車との買取価格を比較して、本当にSUVはリセールバリューを調べてみた。
インプレッサとXVの買取価格の違い
現行のインプレッサスポーツ。2016年10月の登場以降、マイルドハイブリッド搭載車やスポーツグレード「STI Sport」などラインナップを拡大してきた
■買取査定価格:2019年式のインプレッサスポーツ2.0i-Lアイサイト4WD/127万円 残価率51.5%
最低地上高200mmと十分なクリアランスを確保し、悪路走破性を重視したスバルXV。パワートレインは1.6Lガソリンと2Lガソリン+モーターのハイブリッド
■買取査定価格:2019年式XV2.0i-Lアイサイト4WD/156万円 残価率62.2%
まずは、現行型スバルインプレッサスポーツとスバルXVだ。年間の新車販売台数を比較すると、XVのほうがインプレッサスポーツの約1.5倍となっている。
現行型インプレッサスポーツは2016年10月に登場。新世代プラットフォームである、スバルグローバルプラットフォーム(SGP)を採用した最初のモデルとして登場。搭載するエンジンは1.6L&2L水平対向4気筒DOHCとe-BOXERと呼ばれる2Lエンジンのマイルドハイブリッドシステムの3種類。駆動方式は2WD(FF)と4WDを用意する。
2020年10月には、ワークスブランドのSTIがチューニングを施したSTIスポーツを追加している。一方のXVは2017年5月に現行モデルが登場。
最低地上高200mmを確保しながら、全高1550mmをキープし、都市部に多く存在する立体駐車場に対応した優れたパッケージングが魅力だ。デビュー当初はインプレッサスポーツと同じパワートレインを搭載していたが、2019年のマイナーチェンジで、2Lガソリンエンジンが廃止され、1.6Lエンジンとマイルドハイブリッドのe-BOXERのみとなっている。
駆動方式は全車4WDで、四輪の駆動力やブレーキなどを適切にコントロールする「X-モード」を搭載し、タフな路面での走行性能を向上させている。
査定価格を調べたのは2019年式のインプレッサスポーツ2.0i-Lアイサイト4WDとXV2.0i-Lアイサイト4WD。
インプレッサスポーツの査定価格は127万円で、残価率は51.5%に対してXVは156万円で残価率は62.2%と10%以上の差が付いている。新車時価格の差が約5万円なので、XVの方がリセールバリューは高い。
旧型フィットと旧型ヴェゼルの買取価格
2013年9月に登場した「フィット3」こと3代目フィット。現行型にはない1.5Lガソリン+CVT/6速MTのRSが設定された
■買取査定価格:2019年式フィットハイブリッド Lホンダセンシング/114万円 残価率53.8%
2013年12月に発売された先代ヴェゼル。2016年2月の一部改良でスポーツモデルのRSが追加された
■買取査定価格:2019年式ヴェゼルハイブリッドXホンダセンシング/156万円 残価率60.3%
続いては、フルモデルチェンジしたばかりのホンダヴェセルの旧型とベース車の旧型フィット。3代目となる旧型フィットは2013年9月に登場。
5ナンバーサイズをキープしながらも全長とホイールベースが延長され、室内空間は拡大された。搭載するパワートレインは1.3L&1.5L直列4気筒ガソリンエンジンとi-DCDと呼ばれる1.5Lエンジン+1モーター+7速DCTを組み合わせたハイブリッドシステムの3種類。
ハイブリッドでも4WD車を選べるのが特徴だ。2017年6月にマイナーチェンジを行い、内外装の変更に加えて、先進の運転支援システム「ホンダセンシング」を搭載した。
一方のコンパクトSUVのヴェゼルは2013年12月に登場。フィットのコンポーネンツを流用し、センタタンクレイアウトを採用したことで、クラストップのラゲッジスペースと多彩なシートアレンジを実現。
搭載するパワートレインは1.5L直列4気筒ガソリンエンジンとi-DCDと呼ばれる1.5Lエンジンのハイブリッドシステムの2種類。
2016年2月に一部改良で、走りに磨きをかけたRSグレードを追加。同時に先進の運転支援システム「ホンダセンシング」を採用した。2018年2月のマイナーチェンジで内外装の変更とともにホンダセンシングを全グレード標準装備とした。
そして2019年1月の一部改良では1.5Lターボエンジンを搭載したツーリングを追加し、モデルラインアップを充実させている。
2019年式の査定価格を見ると、フィットハイブリッド Lホンダセンシングが114万円で、残価率53.8%。そしてヴェゼルハイブリッド Xホンダセンシングは156万円。残価率60.3%と残価率は高い。ただ新車時価格と査定価格の差はほぼ変わらない。
これはフィットもヴェゼルと変わらないぐらい新車販売台数が上位にランクインする人気車種ということが影響している。そしてヴェゼルがフルモデルチェンジして、査定価格が下がったことも要因の一つだ。
マツダ3ファストバックとCX-30の買取価格比較
2019年5月の発売以降、半年に一度ほどのペースで改良が加えられてきたマツダ3。2021年4月26日の一部改良ではe-SKYACTIV X搭載車の燃費改善が図られた
■査定買取価格:2019年式マツダ3ファストバックXD Lパッケージ2WD/189万円 残価率63.5%
CX-30はCX-3とCX-5の中間に位置するCセグメント型SUV。SUVながら全高は1540mmと立体駐車場に収まる
■査定買取価格:2019年式マツダCX-30 XD Lパッケージ2WD/208万円 残価率67.8%
続いてはSUVのラインアップが充実しているマツダから、マツダ3ファストバックとCX-30を比較してみた。
新車販売台数はCX-30がマツダ3ファストバックの約2倍となっている。マツダ3ファストバックは2019年5月にマツダの新世代商品として登場。
スカイアクティブビークルアーキテクチャを採用し、高い走行性能を実現。ドライバーの操る楽しさと走行安定性を向上させている。
搭載するパワートレインは1.5L&2L直列4気筒ガソリンエンジン、1.8L直列4気筒ディーゼルターボに加えて、新世代2LガソリンエンジンのスカイアクティブXを用意している。2020年11月の一部改良でスカイアクティブXと1.8Lディーゼルターボは出力向上。2Lガソリン車に6速MTの追加などを行っている。
一方のCX-30は2019年10月から販売開始された。全幅1800mm、全高1540mmに抑えることで、都市部の立体駐車場に対応したパッケージングが特徴だ。
搭載するパワートレインは、2L直列4気筒ガソリンエンジン、1.8L.直列4気筒ディーゼルターボそしてスカイアクティブXの3種類。
2020年12月にスカイアクティブXと1.8Lディーゼルターボの出力向上。そして2021年4月にサスペンションのセッティング変更を行う一部改良を行っている。
査定価格を比較したのは2019年式のマツダ3ファストバックXD Lパッケージ2WDとCX-30 XD Lパッケージ2WD。マツダ3ファストバックの査定価格は189万円で残価率は63.5%、一方のCX-30は208万円で残価率は67.8%とSUVのCX-30が大きく上回り、新車時価格の差が拡大している。
ヤリスとヤリスクロスの買取額の違い
2020年2月発売のヤリス。ヤリスクロスとGRヤリスを含むヤリスシリーズ全体の2020年度販売台数は20万2652台。軽自動車/小型車/普通車の総合1位を獲得
■査定買取価格:2020年式ヤリスハイブリッドZ 2WD/163万円 残価率70.1%
2020年8月に登場したヤリスクロス。ボディサイズは全長4180mm×全幅1765mm×全高1590mm
■査定買取価格:2020年式ヤリスクロスハイブリッドZ 2WD/225万円 残価率87%
続いては現在、新車販売台数でトップとなっているトヨタヤリスとヤリスクロス。ヤリスは2020年2月に販売開始した。TNGAの小型車用「GA-Bプラットフォーム」、そして高い熱効率を実現したダイナミックフォースエンジンを搭載するなど意欲作だ。
搭載するエンジンは、すべて直列3気筒ガソリンエンジンで、1L、1.5L。そして1.5Lエンジンのハイブリッドシステムの3種類。トランスミッションはCVTを中心に1.5Lガソリン車には6速MTも用意されている。一部グレードを除いて、運転支援システム「トヨタセーフティセンス」を標準装備している。
一方のヤリスクロスは2020年8月に登場。走行性能向上を目指して断捨離を行ったヤリスに対して、ヤリスクロスはラゲッジ容量390Lを確保するなどコンパクトなサイズながらファミリーユースに対応しているのが特徴。搭載するパワートレインは1.5Lガソリンエンジンと1.5Lエンジンのハイブリッドシステムの2種類。駆動方式は両エンジンで2WDと4WDを選ぶことができる。
査定価格を比較したのはデビューイヤーの2020年式でヤリスハイブリッドZ 2WDとヤリスクロスハイブリッドZ 2WD。ヤリスハイブリッドZ 2WDの査定価格は163万円、残価率70.1%に対して、ヤリスクロスハイブリッドZ 2WDの査定価格は225万円、残価率87%と大差が付き、新車時価格の差はさらに広がっている。
買取価格はSUVのほうが高いことを実証!
ベース車であるプリウスの人気は根強く、C-HRはリセールバリューで見劣りする
こうしてみると、ベース車よりSUVのほうが残価率は高いということは証明された。しかし、プリウスとC-HRのようにベース車のほうが人気の高い場合はどうだろうか。
査定価格は2019年式のプリウス Aツーリングセレクション2WDとC-HR ハイブリッドG 2WDを比較すると、プリウスが190万円で残価率61.7%、C-HRは175万円で残価率57.4%。新車時約3万円の価格差が査定価格では約15万円まで拡大している。
これはプリウスのほうが販売台数は好調ということに加えて、ヤリスクロスやヴェゼルなどの登場によってC-HRの人気が低迷しているということも関係している。
SUVの査定価格はベース車の新車販売台数とライバル車との人気の関係によって逆転する可能性もあるというのは知っておきたい。
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