現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > SUVクーペのトップランナー対決! メルセデスAMG GLC 43とBMW X4 M40iを吟味する 【Playback GENROQ 2017】

ここから本文です

SUVクーペのトップランナー対決! メルセデスAMG GLC 43とBMW X4 M40iを吟味する 【Playback GENROQ 2017】

掲載 更新 1
SUVクーペのトップランナー対決! メルセデスAMG GLC 43とBMW X4 M40iを吟味する 【Playback GENROQ 2017】

Mercedes-AMG GLC 43 4MATIC Coupe × BMW X4 M40i

メルセデスAMG GLC 43 4マティック クーペ × BMW X4 M40i

旅するフェラーリ、GTC4 ルッソ。フェラーリ流グランドツーリングとの付き合い方を探る 【Playback GENROQ 2017】

異彩のSUVクーペ

プレミアム、カジュアル・・・カテゴリーを問わず世界中で人気のSUV。その中で特別に異彩を放っているのが、絞り込まれたキャビン形状のクーペスタイルを纏ったクロスオーバーSUVという存在だろう。6気筒ターボを積む個性派ミディアムSUV、2モデルの魅力を探った。

「どちらもブランドのキャラクターを色濃く発揮する好対照な2台」

メルセデス「GLCクーペ」が登場した。SUVセグメントを表す「GL」、クラス(車格)を表す「C」が車名の由来。つまりCクラスのSUV版であり、スタイリングはクーペとSUVのクロスオーバーということだ。今回は、その中でも最上位グレードとなるメルセデスAMG GLC 43 4マティック クーペ(以下GLC 43)に試乗した。そして、真っ向からのライバルとなるBMW X4 M40i(以下X4)との比較試乗も行った。何といっても、今や大流行となっているSUVクーペのパイオニアはBMWだ。「SAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)」として登場したX6が、SUVクーペに先鞭をつけたモデルだろう。

クロスオーバーモデルだけに、いろんな解釈ができるセグメントだが、先に結論を言ってしまうと、どちらもブランドのキャラクターを色濃く発揮したモデルだ。メーカーとしては、お互いを最大のライバルとしてマークしているのだろうが、買い手は、おそらくこの両車の間でどちらにしようか迷うということはなさそうに思える。それほど、「好対照」な2台であった。

「SUVらしい、ストローク感のあるゆったりした乗り心地のGLC」

さて、GLC 43の運転席に乗り込むと、若干アイポイントは高いが、それほどアップライトなポジションではない。インテリアもCクラスとほぼ同じ眺めで、かなり乗用車感覚。アクセルを開けると、勇ましいサウンドが轟く。さすがAMGだ。ところが、走り出すとあまりにも“セダンライク”な走り味だったのでちょっとビックリした。

ただし、この“セダン”とはCクラスを指すものではない。最近のCクラス・セダンはスポーティなテイストに振っている。Cクラス・クーペはさらにキュッと締まった足で、軽快なフットワークを見せる。そのイメージが頭の中にあったため、GLC 43はさぞかしスポーティかと思いきや、実にSUVらしい、ストローク感のあるゆったりした乗り心地なのだ(足元には21インチという大径タイヤを履いているにも関わらずだ・・・)。

「AMGダイナミックセレクトの効果を顕著に感じる」

AMGスポーツサスペンションは、「コンフォート」「スポーツ」「スポーツ+」の3つのモードから電子制御式ダンピングシステムの減衰特性を選ぶことができるが、個人的にはスポーツがデフォルトでも良いのでは、と思えるほどだった。とはいえ、ボディの動きはちゃんとコントロールされていて不満はない。AMGダイナミックセレクトの効果も顕著だ。少ない舵角でクイックにノーズが動くし、上下方向のボディの動きはゆったりしているが、ロール方向の沈み込みは気にならない。

そして、Cクラス同様、半自動運転機能を含むディストロニック・プラスが装備される。ドライバーが自ら運転するのが前提ではあるが、かなりの精度でレーンキープをアシストしつつ前車を追従してくれるので、ロングドライブ時の疲労軽減、事故低減に大いに貢献するだろう。

「BMW Mモデルの走りはこれだ! という心意気さえ感じる」

一方、BMW X4は、まったく“ブレない”キャラクターを感じる。ボディサイズやボディ形状がどうであれ、BMW Mモデルの走りはこれだ! という心意気さえ感じる。アクセルを踏み込むと実に元気に走り出し、こちらも低速域の60km/hくらいまでは重低音を轟かせるが、ある程度スピードが出てしまえばさほどエンジンサウンドをアピールしてこない。乗り味も、全体的にキュッと締まったドライブフィール。SUVらしい懐の深さと快適性、そして過度じゃない適度なスポーティ感のバランスが実に絶妙だ。

スポーツモードにするとアクセルレスポンスが高くなり、シフトスケジュールも変わるため、かなりパワフルに感じる。このレスポンスはスポーツーカーそのもの。そして、アクセルを踏み込むとシートに背中が押し付けられるような強烈な加速感がある。

「乗っている感覚は、圧倒的にX4がパワフルに感じられた」

コーナーでは、シートのサイドサポートに脇が押し付けられ、ロール感というより真横に力がかかっているような感覚だ。操舵からエンジン回転まで、BMWらしいリニアなフィーリングが運転していて気持ち良い。高速道路や市街地での試乗だったが、攻めるほどに本領発揮という気配がある。何しろ足元には、ハイパフォーマンス・スポーツカー向けの、ミシュラン・パイロットスーパースポーツ20インチを履く。

そして、試乗後にパワースペックを見比べて驚いた。最高出力はGLC 43が270kWでX4が265kW、最大トルクはGLC 43が520Nm、X4が465Nmと、出力はほぼ互角ながらトルクはGLC 43が多少上回っている。車重はまったく同じだ。ところが乗っている感覚は、圧倒的にX4がパワフルに感じられたのだ。トルク特性や、レスポンス、サウンドなど、演出によってパワーフィールって随分違うものなのだと、改めて驚いた。

「意外なほどおおらかな乗り味のGLC 43。対照的にスポーツSUVを体現したX4」

今回の2台、いずれもMとAMGのブランドを掲げてはいるが、実はスタンダードラインとスポーツラインの中間に位置するモデルだ。そして、X4はかなりMモデル寄り、GLC 43は、スタンダードモデル寄りのチューニングであった。

X4はスポーツカーに乗りたいけど諸事情により乗れない人でも満足できるキャラクターのSUVクーペで、積極的にドライブを楽しみたい人向け。GLC 43は、スタイリッシュ志向でセダンよりスペースが欲しい、そして快適に楽に早く目的地まで行きたい、そんな人にオススメ。

スペック上は、見事なまでに“良い勝負”をしている2台。しかし、乗ってみると、面白いほど異なるキャラクターの両モデルであった。

REPORT/佐藤久実(Kumi SATO)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)

【SPECIFICATIONS】

メルセデスAMG GLC 43 4マティック クーペ

ボディサイズ:全長4735 全幅1930 全高1590mm
ホイールベース:2875mm
車両重量:1920kg
エンジンタイプ:V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2996cc
圧縮比:10.5
最高出力:270kW(367ps)/5500-6000rpm
最大トルク:520Nm(53.0kgm)/2000-4200rpm
トランスミッション:9速AT
駆動方式:AWD
ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション:前4リンク 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前255/40R21 後285/35R21
燃料消費率:10.3km/L(JC08モード)
車両本体価格:910万円

BMW X4 M40i

ボディサイズ:全長4680 全幅1900 全高1625mm
ホイールベース:2810mm
車両重量:1920kg
エンジンタイプ:直列6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2979cc
圧縮比:10.2
最高出力:265kW(360ps)/5800rpm
最大トルク:465Nm(47.4kgm)/1350-5250rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション:前ダブルジョイント・スプリングストラット 後5リンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前245/40ZR20 後275/35ZR20
燃料消費率:11.2km/L(JC08モード)
車両本体価格:876万円

※GENROQ 2017年 5月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

関連タグ

こんな記事も読まれています

日産「カクカク“ワゴン”」実車公開! 旧車デザイン×コンパクトボディが超カッコイイ!ウッド内装もオシャレすぎる“斬新キューブ”「SETO」大阪で展示!
日産「カクカク“ワゴン”」実車公開! 旧車デザイン×コンパクトボディが超カッコイイ!ウッド内装もオシャレすぎる“斬新キューブ”「SETO」大阪で展示!
くるまのニュース
[15秒でわかる]世界初のリアウイングライト…テールランプとリアウィングが一体化!
[15秒でわかる]世界初のリアウイングライト…テールランプとリアウィングが一体化!
レスポンス
レアすぎるよ…! 約940万円! ケータハムセブンの[中古価格]が驚愕すぎる件
レアすぎるよ…! 約940万円! ケータハムセブンの[中古価格]が驚愕すぎる件
ベストカーWeb
グループAのころにゃなかったぞ! おじさんファンにはちんぷんかんぷんなイマドキ「レース用語」10選
グループAのころにゃなかったぞ! おじさんファンにはちんぷんかんぷんなイマドキ「レース用語」10選
WEB CARTOP
苦しみ続けるマクラーレンのノリスが予選6番手「良いラップをまとめることが、あまりにも難しい」/F1第22戦
苦しみ続けるマクラーレンのノリスが予選6番手「良いラップをまとめることが、あまりにも難しい」/F1第22戦
AUTOSPORT web
先代「695」と乗り比べ アバルト500e 長期テスト(5) 魅力はそのまま 未来感が凄い!
先代「695」と乗り比べ アバルト500e 長期テスト(5) 魅力はそのまま 未来感が凄い!
AUTOCAR JAPAN
「なんで!? スマートキーが作動しない!?」焦るクルマのトラブル 便利だけど大きな弱点もある理由とは
「なんで!? スマートキーが作動しない!?」焦るクルマのトラブル 便利だけど大きな弱点もある理由とは
乗りものニュース
2列目シートも快適でフラットスペースも広いトヨタ ハイエースがベースのキャンパー
2列目シートも快適でフラットスペースも広いトヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
なつかしすぎて涙。タミヤのRCバギー「グラスホッパー」が誕生40周年を記念し“トミカ”&“ミニ四駆”になった!
なつかしすぎて涙。タミヤのRCバギー「グラスホッパー」が誕生40周年を記念し“トミカ”&“ミニ四駆”になった!
くるくら
タナクがまさかのクラッシュ。ヌービルが悲願のタイトル獲得。トヨタが逆転ランキングトップ/ラリージャパン最終日
タナクがまさかのクラッシュ。ヌービルが悲願のタイトル獲得。トヨタが逆転ランキングトップ/ラリージャパン最終日
AUTOSPORT web
アルピーヌのガスリーが驚きの予選3番手「アグレッシブな低ダウンフォースパッケージを選択。予想外の結果を出せた」
アルピーヌのガスリーが驚きの予選3番手「アグレッシブな低ダウンフォースパッケージを選択。予想外の結果を出せた」
AUTOSPORT web
トヨタ「“2階建て”車中泊仕様」がスゴイ! 大人5人が寝られる「豪華ホテル」風内装! 広さ2倍になる“マル秘機能”も搭載する「謎のハイラックス」とは?
トヨタ「“2階建て”車中泊仕様」がスゴイ! 大人5人が寝られる「豪華ホテル」風内装! 広さ2倍になる“マル秘機能”も搭載する「謎のハイラックス」とは?
くるまのニュース
レクサス『LBX MORIZO RR』やマツダ『CX-80』、最新4車種にブリッツ「OBDモニター」が適合
レクサス『LBX MORIZO RR』やマツダ『CX-80』、最新4車種にブリッツ「OBDモニター」が適合
レスポンス
マジ!? 今が[ベストタイミング]!? 新車は買えなくなったホンダ[S660]を中古で探すぞ!!
マジ!? 今が[ベストタイミング]!? 新車は買えなくなったホンダ[S660]を中古で探すぞ!!
ベストカーWeb
トヨタWRC代表、タイトル獲得に向けラリージャパンで“チームプレー”徹した勝田貴元の「マネジメント力を見ていた」
トヨタWRC代表、タイトル獲得に向けラリージャパンで“チームプレー”徹した勝田貴元の「マネジメント力を見ていた」
motorsport.com 日本版
みなとみらいのヤマハ発信拠点で“外に繰り出したくなる”イラスト展開催 12月11日~15日
みなとみらいのヤマハ発信拠点で“外に繰り出したくなる”イラスト展開催 12月11日~15日
レスポンス
ルクレール、”チームオーダー無視”のサインツJr.を批判「優しくすると、いつも損をするんだ!」
ルクレール、”チームオーダー無視”のサインツJr.を批判「優しくすると、いつも損をするんだ!」
motorsport.com 日本版
F1 Topic:ホテルでも空港でも遊べる“ギャンブルの街”ラスベガス。気になる賭け率とガスリーの躍進
F1 Topic:ホテルでも空港でも遊べる“ギャンブルの街”ラスベガス。気になる賭け率とガスリーの躍進
AUTOSPORT web

みんなのコメント

1件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村