4月20日、ホンダは6代目シビックTYPE Rが、ニュルブルクリンク北コースのFF最速記録を更新したと発表した。でもそのタイムは5代目TYPE Rの記録よりも約1秒遅い。いったい何が起きたのか? TYPE Rのタイムアタックの歴史も振り返りながら調べてみよう。
文/ベストカーWeb編集部、写真/ホンダ、ルノー、メルセデス・ベンツ、ポルシェ
1秒遅いのに記録更新? シビックTYPE Rのニュルブルクリンク・タイムアタックってどうなってんの?
■FF最速の座を賭けた日・仏・独の戦い!
量産FF車最速の記録を打ち立てた6代目シビックTYPE R
量産FF車最速の座に君臨し続けるシビックTYPE R。その証として、正式にニュルブルクリンク北コースのタイムアタックに挑み始めたのは、4代目TYPE RであるFK2型からのことだ。
当時ニュルブルクリンク北コースのFF最速レコードを握っていたのは、ルノーのメガーヌR.S.275トロフィーR(7分54秒36)。2015年、TYPE Rはこの記録に挑み、ラップタイムを約3.7秒縮める7分50秒63を記録した。
しかし王座を賭けた戦いは終わらない。戦列に加わったのがフォルクスワーゲンだ。2016年春、同社はゴルフGTIの2座モデルであるクラブスポーツSをニュルに持ち込み、7分50秒を切る7分49秒21を記録。さらにその年の12月、セッティングを煮詰めて再度タイムアタックを行い、タイムを2秒縮める7分47秒19を記録したのだ。
追う立場となったシビックは、王座奪還をFK8型5代目シビックTYPE Rに託す。FK8型の武器は320psまで高められたエンジンパワーとローレシオ化されたトランスミッション、そして新設計のマルチリンク式リアサスペンション。これらが奏功したのか2017年4月、同車は7分43秒80をたたき出し、みごとFF車最速の座をゴルフから奪い取ることに成功した。
ちなみにその後、ルノーはフルモデルチェンジした4代目メガーヌR.S.にトロフィーRを設定し、再度タイムアタックに挑んでいる。記録したタイムは初の40秒台入りとなる7分40秒100!
しかしその中身はというと、130kgもの軽量化を実現するためにリアシートすら取り除き、メガーヌR.S.の美点ともいえた4輪操舵機構も非装着という仕様。
1.8リッターというシビックTYPE Rより200cc小さい排気量を補うにはやむを得ないのかもしれないが、TYPE Rと同列に比べるのはちと厳しい。ホンダもその点は苦慮したようで、4代目メガーヌR.S.トロフィーRのタイムは、ランキングに含めない参考値と判断したようだ。
■ニュルブルクリンクが公式タイムアタック区間を決めた
北コース(ピンク線)とグランプリコース(黄色線)の接続部分。スタート地点が手前になった(赤線部分)ためラップタイムが延びた(GoogleMapから作成)
そんな中、6代目シビックTYPE Rが見事タイム短縮に成功したのだが、記録を見てみるとおかしなことに気付く。今回の記録は7分44秒881。5代目TYPE Rの記録7分43秒80よりおよそ1秒遅いのだ。なぜ記録更新なのか?
その答えだが、「ニュルブルクリンク北コースにタイムアタックの公式区間が定められたから」というのが正解。
もともとニュルブルクリンクのタイムアタックには「計測は北コースとグランプリコースの合流地点から始める」という非公式ルールがあった。これに対し2019年、ニュルブルクリンクが「計測は北コースのコントロールラインから」という公式ルールを定めたため、スタート地点がおよそ230m手前になり(コース長でいうと20.6km>20.832km)、タイムが遅くなったというわけだ。
ここまではFF車最速のタイムを見てきたが、市販車全体の最速タイムを見てみると、メルセデス・ベンツAMG Oneが2022年10月28日に記録した6分30秒705が最速だ。
さらにカテゴリーを広げて無制限クラスの車両を含めると、2018年にポルシェ919ハイブリッドEvoが記録した5分19秒546が最速記録となる。その時の平均車速は時速233km、最後に待ち構えるドッティンガーストレートでは最高時速369kmを記録したというから、正気の沙汰ではない。
ニュルブルクリンクが現在ほど有名でなかった時代。ある日本車が現地でテストを行ったところ「わずか数ラップでボディがゆがみ、ドアが開かなくなった」という逸話を聞いたことがある。以来日本車は血のにじむような努力を重ね、いまやTYPE RがFF車最速の称号を持つ。この事実を、日本車ファンはもっと誇りに思うべきかもしれない。
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何にせよFIA公認のレースじゃないからレギュレーションは無いから言い出した者勝ちの世界。