近い将来、アウディはどうなる?
text:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)
【画像】VWグループの稼ぎ頭【アウディのEVを写真でじっくり見る】 全193枚
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)
アウディは先日、これまでで最も手頃な価格のEV、Q4 eトロンを発表した。この中型SUVは、英国では今年後半に発売される予定で、価格は4万~5万ポンド(約620~770万円)になると言われている。
Q4 eトロンは、Q5に匹敵するゆったりとした室内空間を持ちながら、よりコンパクトなボディを備えており、同社初の主流EVとして認識されている。
その後まもなく、A6 eトロン・コンセプトが公開された。これは、長年にわたって販売されている高級セダンA6のEV仕様を示唆するものだ。
ラインナップの電動化が加速していることは明らかだが、それがICE車や小型車、市場でのポジショニングにどのような意味を持つのかについては疑問が残る。
英AUTOCAR編集部は先日、アウディのCEOであるマルクス・ドゥスマンに独占インタビューを行い、2025年までに20台以上の新型EVを導入するという、111年の歴史の中で最も重要な変革を遂げたアウディの将来がどうなるのかを探った。
Q4 eトロンへの期待値
――Q4 eトロンは、アウディのベストセラーカーになる可能性はありますか?
「そうなればいいですね。Q4 eトロンは、アウディの強力なラインナップの真ん中に位置しており、ぜひとも多く販売したいと考えています」
「EVは市場でますます重要になってきており、バッテリーEVのお客様は(ICEに)戻りたくないと思っていることがわかっていますので、力強い成長を期待しています」
「Q4 eトロンは、アウディのベストセラーになるか。実際のところ、それはわかりません。工場にどれだけの台数を導入するかは、わたし達にとって難しい問題の1つです。変化には対応できますが、需要を予測することは、内燃機関を搭載したクルマより困難です」
――Q4 eトロンは、Q5と同等の室内サイズを持ちながら、よりコンパクトになっています。これは、EVが古典的なモデルレンジ構造を変えることを示唆しているのでしょうか?
「いい質問ですね。わたし達もいろいろと考えてみましたが、ラインナップは今とほぼ変わらないと考えています。どのセグメントにおいても、お客様からは『自分の好みに合ったEVはいつ発売されるのか』というご質問をいただいています」
「内外装のサイズ比が良い、というご意見はごもっともですが、お客様の好みはそれだけではなく、予算、着座位置、ボディの長さなどにも左右されます。ですから、クラシックなセグメントは残ると考えています」
――Q4 eトロンの英国での販売価格は約4万ポンド(約620万円)からです。例えばQ3 eトロンのような、より安価なEVを購入することは可能になるのでしょうか?
「検討しています。いくつかの選択肢がありますが、まだ決めていません。もしかしたら実行するかもしれませんが、短期的には無理です」
「フォルクスワーゲン・グループは、より小型で低コストのEVを求める人々に、他の選択肢を提供しています。わたし達の市場での地位を考えると、低いエントリーセグメントにはあまり手を伸ばさないほうがいいと考えています」
排ガス規制は頭痛の種
――電動化によって、アウディのモデル数は減るのでしょうか?
「わたし達が提供するモデルの数が増えるとは思えませんし、おそらく少しは減るでしょう。電動化したモデルを投入することで内燃機関モデルの数は確実に減りますが、総モデル数の削減は優先事項ではありません。安定した状態を維持することが最優先です」
――アウディは新しいエンジンを開発しないとおっしゃいましたが、フォードは2030年までに欧州のすべてのクルマをEVにするという目標を掲げています。アウディも同様の発表をするのでしょうか?
「いいえ、わたしが公式に発表するのは、アウディが作る最後のエンジン車は、同タイプで最高のものになるということです。各市場で需要が異なることを考えると、期日を発表するには時期尚早です。しかし、わたし達はアウディの戦略全体を見直している最中であり、このことが議論の対象になることは間違いありません」
――一部のメーカーは、排ガス規制ユーロ7によってエンジンに膨大なコストがかかり、バッテリー価格の低下と相まって、EVと内燃機関のコストがクロスオーバーすると言っています。これについてはどうお考えですか?
「ユーロ7(基準)を満たすことで内燃機関に多大なコストがかかることは確かであり、遅くとも今後10年以内にクロスオーバー・ポイントが訪れると考えています。ユーロ7は本当に頭の痛い問題で、特に環境改善にはあまり効果がありません。ですから、このクロスオーバー・ポイントにはすぐに到達するでしょう」
PHEVは「やり過ぎ」なクルマ
――バッテリーEVがあまりにも急速に進歩したため、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)は短期間しか必要ないのではないかという指摘があります。どう思われますか?
「わたし達はPHEVを便利な橋渡し技術と考えていますが、技術的にはやり過ぎです。なぜなら、1台のクルマに2つのパワートレインを搭載する必要があり、そのうちの1つは間もなくユーロ7基準の高価な内燃機関になるからです」
「また、モビリティのCO2ニュートラル化も実現していません。だからこそ、わたし達はアウディの将来のモデルにバッテリーEVを強く意識しているのです」
――それは、PHEVを販売しないほうがいいということですか?
「いいえ、現在は販売しています。子会社やお客様のニーズから、そうせざるを得ないのです。難しい話に聞こえるかもしれませんが、そういうことなのです。わたし達は、完全EVが未来であると確信しています」
――バッテリーのコストは本当に下がっているのでしょうか?下がっているとしたらどのくらいのスピードなのでしょうか?
「バッテリーのコストには、商品価格、材料供給、需要の変動、輸送など、さまざまな要因が影響します。しかし、技術的な傾向として、コストは大幅に下がるでしょう。わたし達は、この10年程度で50%の低下を予測しています。技術はすでに十分に発達しており、これが実現できることは明らかです」
――電気モーターはどのように進化しますか?
「特に、バッテリーの航続距離や充電インフラの問題が軽減されれば、モーターもさらに発展するでしょう。現時点では大きく変わる兆しはあまりありませんが、今後15年間で変化していくでしょう」
「主な要因はサイズで、フォーミュラEで使われている小さなモーターを見たことがありますか?重量、効率、コストも重要です。簡単な技術ではありません。一見すると簡単そうに見えて、法律上の問題も少ないのですが、うまくやるのはまだとても難しいのです」
小型車で稼ぐのは難しい
――多くのメーカーは、小型車は採算が合わないため、その存在が脅かされていると言います。本当のところはどうなのでしょう?
「小型車で稼ぐのは確かに難しいです。小型車からディーゼルが消えてしまったのは、作るのにコストがかかりすぎるからです」
「A1スポーツバックは、発売からまだ2年半しか経っていないので、引き続き販売しています。長期的には、A1やQ2(クロスオーバー)のようなクルマを今後も売り続けるでしょう。収益を上げているわけではありませんが、お客様に求められるセグメントですから、継続していきます」
――では、アウディはA1の製造を続けるのでしょうか?
「A1の後継モデルを用意するとは言いませんよ。それは考えられません。しかし、エントリーセグメントでは、間違いなく需要があるでしょう」
――アウディは、フォルクスワーゲン・グループの最大の収益源であるとよく言われます。それは今も変わらないのでしょうか?また、そうだとしたら、もっとやりたいことができるということでしょうか?
「はい、わたし達がポルシェと並んで稼ぎ頭の1つであることは事実です。わたし達のスローガンは『Vorsprung durch Technik』(技術による先進)ですから、フォルクスワーゲン・グループの技術の先鋒として、アウディの地位を主張することを常に目指していますし、もっと強調していきたいと思っています」
「ですから、わたしはフォルクスワーゲン・グループ全体のエンジニアリングの責任者でもあるのです。このような立場では、ある程度の収益を上げていることが助けになります」
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みんなのコメント
笛吹けど踊らずと言うところか?
ユーザーは望んで無いからなぁ。