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その時、何が起きていたのか。ドライバーたちが振り返る波乱のスーパーGT第6戦オートポリス《GT500あと読み2》

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その時、何が起きていたのか。ドライバーたちが振り返る波乱のスーパーGT第6戦オートポリス《GT500あと読み2》

 三度のセーフティカーのコースインや、それぞれが装着したドライ/スリック、レイン/ウエットのタイヤ選択など、とにかく順位変動が大きく全容が把握しにくいくらい、目まぐるしい展開となったスーパーGT第6戦オートポリスのGT500クラス決勝レース。ここでは、レース後に聞くことができたドライバーの声や、アクシデントの概要などをチームに聞いてまとめた。

●オープニングラップでまさかのクラッシュリタイアとなってしまったRAYBRIG NSX-GT
 オープニングラップで12番手から山本尚貴がステアリングを握ってスタートしたRAYBRIG NSX-GTだったが、11番手スタートのMOTUL MUGEN NSX-GTと最終セクターの登りのエリアで順位を争っているなかで、縁石に乗ってコントロールを失い、まさかのクラッシュ。チームによると、RAYBRIG NSX-GTはランオフエリアに飛び出してガードレールにぶつかり、その後スポンジバリアにぶつかった止まったのだという。モニターにはクラッシュして止まった状態しか映らず、その時点ではチームも詳細が分かっていなかった。TEAM KUNIMITSUの伊与木仁エンジニアがその状況を振り返る。

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「オープニングラップを終えて、マシンが戻って来なくて『あれ!?』と思っていたら、山本から『ごめん』との無線が入ったけれど、こちらも状況が分からなかった。こういう荒れた展開だったからこそ、最後までコース上に残っていたかった。こういうレースで生き残るのが強いチーム。もったいなかった」と伊与木エンジニア。戻って来たマシンはフロントが大破しており、衝撃の大きさを物語る。次のレースまで2週間を切っているだけに、チームも休み返上で修復作業に取り組むことになるという。

●レインタイヤに交換して3番手だったWedsSport ADVAN LC500だが、その後低迷の謎
 9番手スタートから絶妙のピットタイミングでドライタイヤからウエットタイヤにチェンジし、3番手まで順位を上げたWedsSport ADVAN LC500。しかし、その後、レースが再開されると序々に順位を下げて8位フィニッシュ。後半、レインタイヤを装着して走行した坪井翔が振り返る。

「ピットのタイミングは完璧でした。ピットアウト後はセクター3は雨量が多かったのですが、セクター1/2はそれほど雨は多くはなかった。装着していたヨコハマのレインタイヤは、セクター3のような雨量でのピンポイントではいいんですけど、雨量が少ないときはヒートアップしてしまって、グリップしませんでした」と坪井。

「全域で土砂降りだったら良かったんですが、最後はセクター3の路面も乾いてきたので、タイヤの表面はボロボロの状態になって、勝負する次元ではなくなってしまいました。本当はタイヤを交換したかったんですけど、ポイントが獲れそうだったので、なんとか粘って走行して8位。ポイントを獲ることはできました。タイヤメーカーさんはいいデータが取れたと思いますが、いつスピンしてもおかしくない状態でしたね」

●スリックからスリックに換えて、その後ウエットに。まさかの13位となったMOTUL AUTECH GT-R
 予選10番手スタートのMOTUL AUTECH GT-Rはロニー・クインタレッリがスタートを担当。レースでも10番手のまま周回を重ね、ピットタイミングではドライのスリックタイヤを選択した。後半を担当した松田次生が振り返る。

「ロニーからのコメントではドライパッチがあった状況だったのですが、僕がスリックに換えてピットアウトした時には雨がさらに降ってきた。装着したタイヤはニュータイヤで、スクラブしていないものだったので、ぜんぜんタイヤが温まりませんでした」と次生。

「ペースも上げられなかったのでウエットタイヤに換えましたが、結局みんなが同じように入るタイミングになってしまった。うしろの順位だったので、何か戦略を変えなきゃいけなかったかなと思いますね。戦略に関して、うまく連携がとれていませんでした。チャンピオン争いはキツいですが、残り2戦しっかり勝てるように頑張ります」

●スタートで魅せるもロングランでは低迷。ピットの混乱で切り返す羽目に……ARTA NSX-GT
 フロントロウからのスタートで、前半スティントを担当したARTA NSX-GTの伊沢拓也がレースを振り返る。

「2番手からのスタートで5位は悔しいですが、このような荒れた展開できちんとゴールできたことは良かったです。自分のスティントがどうしてもペースが遅くなってしまったのが悔しくて……。野尻(智紀)選手の時もそうでしたけど、タイヤの状態が良いときはそこそこいいペースで走れるんですが、その後にドーンとグリップが落ちてしまうことがあって」

「それでも、どうにかしないといけませんでした。去年もそうでしたけど、ロングランで全体的に遅くなってしまって、速く走れなくなりました」

 それでも、スタートでは2番手から1コーナーでポールポジションのKEIHIN NSX-GTに並びかかり、1コーナーでは先に進入する好ダッシュで魅せた。

「タイミングよくいけて『完全に抜けた』と思ったんですが、ウチのクルマは加速が良くなかったのか、立ち上がりで『あれ~っ!?』と。普通だったら抜けていたと思うんですけど、塚越(広大)選手も引くところは引いてくれて、いいバトルになって良かったです。一瞬、今日はスターになれるかと思ったんですが、最悪に近いかたちになりましたね(苦笑)」

「予選でうしろにいたレクサス勢は基本的に僕らよりランキングが上なので、そこよりペースも順位も上でいなければいけないところができなかったので、悔しいです」と伊沢。さらに後半スティントでARTA NSX-GTはウエットタイヤを選択したものの、ピットストップの際にはピットロードの進行方向に対して直角になる、真横に近いストップとなってしまった。

「僕はもう、ウエットしかないと思っていたので、多くのクルマがスリックタイヤを選んだのに驚きました。もしかすると前を走っていたクルマと、僕らうしろのクルマの時とでは雨の状況が違った可能性がありますが……。でも僕のまわりにいた23号車(MOTUL AUTECH GT-R)などはスリックでしたね。いずれにしろ僕は『ドライは無理、完全にウエット』とチームに言いました」

「ただ僕たちはピット作業できちんと止まれなくて。55号車(ARTA NSX GT3)がまっすぐ止まっていて、ファストレーン側にタイヤも置かれて、僕らは曲がれなくて給油ホースが届かなかった。それで切り返すことになりました。ただセーフティカーが入っていたので、同一周回でコースに戻ることができましたので、ある意味ラッキーな部分もありましたね。そういう意味でも、今日のようなレースはゴールすることが大事だなと感じました。次のSUGOはチャンスなので、また頑張りたいです」

●後半スティントの雨のなか、スリックで耐えて終盤に路面が乾き始めたところで連続オーバーテイクで3位獲得。KeePer TOM’S LC500
 雨のなか、スリックで凌いだKeePer TOM'S LC500の平川亮。ファイナルラップでもオーバーテイクをみせて逆転で3位表彰台を獲得、ポイントラインキングでもぶっちぎりでトップを走るWAKO'S 4CR LC500との差を6ポイント縮めた。平川が振り返る。

「まさか3位まで上がっているとは思わなかったので、うれしかったですね。(雨が降っている状況でのスリックタイヤ選択は)僕はもう500回くらい『無理、無理!』と言っていたので(笑)。『また雨降ってきた、無理だよ』と伝えました。そこをチームが励ましてくれた。ピットのタイミングとしては仕方がなかったので、ポイントを獲るか、リタイヤでノーポイントかという状況だったので、良かったと思います」

 それでも雨のなか、スリックタイヤで走行している最中には1コーナーでスピンを喫してしまう。だが、その体勢の立て直しが絶妙で、すぐにコースに復帰してロスタイムは最小限に留めることができた。

「スピンは練習しているので(笑)。F1の雨のホッケンハイムを見ても、うまい人はすぐにコースに戻れますからね。スピンしてあの状態でカウンターを切ったらイン側に向いてしまうので、わざとスピンさせて進行方向に向けました。あそこで逆を向いてしまったらかなりのロスになりますから」と平川。

「(タラレバで)あと2周あったら優勝していましたけど、悔しい気持ちは全然ないですし、あと1周少なかったら6位だったので、今回は仕方ないです。次のSUGOも自分たちのできることをしっかりやれば、逆転できると思っています」と次の一戦への自信をみせた。

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