2014年の保安基準の改正で、流れるウインカー「シーケンシャルウインカー」が認可され、街中でシーケンシャルウインカーを装備したクルマを頻繁に見かけるようになりました。その後、一気に増えるかと思いきや期待したほど流行らず、むしろ最近は採用が減っているように思われます。
シーケンシャルウインカーは、なぜ新たなトレンドにならなかったのでしょうか。流行らなかった理由や今後のウインカーの新たな展開について、ご紹介します。
流れるウインカー最近見なくない? RXもNXもハリアーも廃止…どうなる? 何が原因??
文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
写真:NISSAN、HONDA、TOYOTA、Audi
世界で初めて本格的に採用したのは、2009年のアウディ「A8」
シーケンシャル(sequential)とは、英語で「連続的な」という意味であり、シーケンシャルウインカーは、分割されたLEDの最内側の点灯から順に最外側のLEDが点灯するまで、いずれも消えずにいったんすべてが点灯したあと、同時にすべてが消灯する、を繰り返すウインカーです。点滅するのではなく、ひとつひとつがつながるように点灯することからから、正式名称は「連鎖式点灯方向指示器」といいます。通常のウインカーと同様に、点滅は毎分60回以上、120回以下となっているので、LEDの数が多いほど、早く流す必要があります。
冒頭で触れたように、2014年の保安基準の改正で認可されたシーケンシャルウインカーですが、実は1968年に発売された日産の「ブルーバードSSSクーペ」で採用された例がありました。当時は、連鎖式点灯という概念がなく、法規が流れるウインカーについて言及していなかったため、採用が認められたというか、黙認されたようです。
世界で初めて本格的にシーケンシャルウインカーを採用したのは、2009年のアウディ「A8」とされています。その後、採用が進んだ欧米の動きに合わせ、日本でも解禁。国内で最初に登場したのは、先のアウディ「A8」で、その後レクサスとトヨタがいち早く採用し始め、他のメーカーも追随しました。
街中で流れるように配光するシーケンシャルウインカーをよく見かけるようになったのは、ちょうどこの頃からで、物珍しさもあり、これから流行るだろうと予感したものです。
2009年に世界で初めて本格的にシーケンシャルウインカーを搭載したアウディ「A8」
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解禁以降一気に増えたが、人気は限定的に
解禁されたことで、シーケンシャルウインカーは続々と採用されていきます。レクサスは「レクサスLX」をはじめとして、「レクサスRX/LS/ES」に採用、トヨタも2016年発売の「C-HR」から、「クラウン」「ハリアー」「アルファード/ヴェルファイア」などに展開しました。その後2017年には、ホンダが「N-BOXカスタム」に、日産でも「アリア」「ノートオーラ」「エクストレイル」などに採用し、ダイハツ「タント」など、軽自動車にも採用が拡がりました。
シーケンシャルウインカーのメリットとしては、連鎖的に点灯するために遠目にも認識しやすいことが挙げられますが、一般的なウインカーでも視認性が悪いとはいえません。シーケンシャルウインカーの魅力は、機能的なメリットではなく、個性的で高級感をアピールできるという見た目のカッコよさではないでしょうか。
ところが、最近になってシーケンシャルウインカーの人気の勢いは減速、採用をやめるモデルが現れています。シーケンシャルウインカーの先陣を切ったレクサスは、LX、NX、RX、ESがモデルチェンジで廃止して現在はLSのみ、ハリアーも最新モデルではやめています。
2017年の3代目「ハリアー」に搭載されたシーケンシャルターンランプ、その後廃止された
流行らない最大の理由は、否定的な市場の反応とデザインの制約
「見た目」で採用が進んだシーケンシャルウインカーですが、採用が減っている理由もやはり「見た目」だと思われます。シーケンシャルウインカーについては、カスタマイズ感が強くチャラいというイメージがあること(「デコトラ」を想起させる)から否定派も多く、また最近は軽自動車にも採用されていることから、当初のような高級感や特別感を感じなくなってきています。
メーカーとしても、シーケンシャルウインカーを装備するためには、最低でも15cm程度の長さが必要であり、そうなるとフロントフェイスのデザインとスペースの自由度が制限されてしまうという課題があったため、ユーザーからの不評もあって、採用を見送り始めたのでしょう。当面はシーケンシャルウインカーが増えもしない、かといって廃れもしない状態が続くことが予想されます。
新たにダブルファンクション機能のライトが急増中
シーケンシャルウインカーの普及が停滞気味のなか、昨今は新たなスタイルのダブルファンクションとよばれるライトが急増しています。ダブルファンクションとは、デイライトとウインカーの機能を統合したもので、通常はデイライトとしてヘッドライトが透明または白く点灯するのですが、ウインカーを操作すると(操作した側の)デイライトは消灯してヘッドライトが黄色に点滅する、というものです。
ボルボやミニといった欧州車に採用されているほか、ハリアーやヤリスなど、最近トヨタが積極的に採用を進めています。2020年にデビューしたホンダの「N-ONE」では、ヘッドライト周辺を取り囲むように組み込まれたデイライトが、スバル「レヴォーグ」ではコの字型のデイライトが、ウインカーとしての機能を果たします。
2つの機能を兼ねるダブルファンクションにするメリットは、デザインをスッキリさせることですが、機能的に特に優れているわけでなく、シーケンシャルウインカーと同じように、あくまでも個性や新規性を演出するもの。今後トレンドになるかどうかはまだ不透明ですが、いまはシーケンシャルウインカーの人気を凌ぎそうな勢いがあります。
2020年デビューのホンダ「N-ONE」のヘッドライト。デイタイムランニングライトの外周に、ウインカーライトとハザードライトを兼ねたマルチファンクション発光リングを装備
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クルマのライトは、LEDの普及で様々な形状や配光、配色に対応できるようになりました。ウインカーについても、変幻自在に変更できるため、シーケンシャルウインカーやダブルファンクションタイプだけでなく、今後さらに多種多様なライティングパターンが出現することになりそうです。
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