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初試乗 ジオメトリAプロトタイプ 中国ジーリーによる新ブランド純EV

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初試乗 ジオメトリAプロトタイプ 中国ジーリーによる新ブランド純EV

もくじ

どんなクルマ?
ー テスラ・モデル3がベンチマーク
どんな感じ?
ー 163psの最高出力に0-100km/h加速は8.8秒
ー 運動性能の向上はこれから
ー 上質なインテリアと充実の標準装備
「買い」か?
ー 欧州にも導入予定あり
スペック
ー ジオメトリAのスペック

小型で安価なEV シティカーとして有用 セアトCEO

どんなクルマ?

テスラ・モデル3がベンチマーク

中国の巨大な自動車メーカー、吉利(ジーリー)から新しい純EVが登場する。ジオメトリーという新ブランドから発表された「A」は、アメリカのテスラ・モデル3をベンチマークに開発したと、ジーリーは意気込んでいる。

このジオメトリーAは、表向きにはつい先日の上海モーターショーで発表されたクルマではあるが、実はわれわれは一足先に試乗する機会を得ていた。上海の南、杭州湾(こうしゅうわん)に面するジーリー社の研究開発センターにあるテストコースで。

この新しいクルマには、注目すべきふたつの数字がある。ひとつは、61.9kWhという大容量バッテリーを搭載したグレードが誇る、500kmを超える航続距離。だが、410kmという最も長い航続距離が設定された車の価格は、25万元(414万円)なのだという。どちらの数字を信用すればいいのだろうか。ちなみに、51.9kwというひとサイズ小さいバッテリーを搭載したグレードは21万元(348万円)という価格が設定されている。

中国市場ではEV購入の補助金額も大きく、それぞれ19万元(314万円)と15万元(249万円)で実質的に購入が可能となる。しかし低価格とは裏腹に、安っぽさはなく、アピアランスもなかなか元気がいいデザインが与えられている。標準装備も非常に充実しており、仕上げ自体も高級感がある。

果たして、その仕上がりに興味がわく読者も多いだろう。

どんな感じ?

163psの最高出力に0-100km/h加速は8.8秒

ジオメトリーAはジーリー社による既存のプラットフォームをベースに開発されているが、近い将来、ボルボのEVと同じアーキテクチャを使用することになるだろう。搭載されるモーターの出力は163psで、前輪を駆動する。0-100km/h加速は、8.8秒が主張されている。

今回われわれが試乗したのは、先述の通りテストコース内のみ。路面はとても滑らかで、コーナーはどれもかなり鋭角だったから、出せるスピードも限られていた。

0-100km/h加速の数字のとおり、パフォーマンスの面ではモデル3には敵わないものの、日産リーフやフォルクスワーゲンe-ゴルフよりは瞬発力がいい。フルスロットルを与えると、電子制御システムがパワーを若干絞ったのにも関わらず、フロントタイヤは軽くスキール音を上げた。

テストコース内の最も長い直線を使うと、130km/hが何とか出せるくらいだったが、そこで加速力は衰えが見られた。作り込みは充分で、モーターからの音は殆ど車内に届かず、風切り音やタイヤノイズのボリュームも小さい。エンジン音で誤魔化すことができないから、優れているといえるだろう。

運動性能の向上はこれから

操作系は全体的に軽めの設定。ステアリングに伝わる感覚はほとんどなく、ブレーキペダルに伝わるフィードバックも感じられない。だが入力に対する反応は正確で、回生ブレーキも強力。中国の都市部では一般的な交通渋滞など、比較的低速域での走行もとてもしやすい。

コース内の低速コーナーやヘアピンを走らせたジオメトリAの運動性能は、お世辞にも良いとはいえるものではなかった。ボディロールはお大きく、フロントタイヤのグリップも限定的。25.3kg-mという太めのトルクもあり、加速時にはトルクステアが大きく、トラクションを充分に稼げてはいないようだった。もっとも、ジオメトリAが想定する主要なドライブシーンは、ここまで激しいものではないのだろう。

クルマとして、静止状態での質感や仕上がりは充分に納得できるレベルを得ている。ボディは大柄で全長は4736mm。フォルクスワーゲン・パサートよりわずかに短い程度だ。スムーズに仕上げられたエクステリアデザインは空力的に良さそうだが、様々なクルマを見慣れたわれわれには視覚的な魅力を感じにくいと思う。だが間近で見ると、上品で高級感は感じられるものだった。

上質なインテリアと充実の標準装備

特筆すべきは、インテリアデザイン。非常に感触の良いレザー仕上げのステアリングホイールに、本物の金属が用いられた装飾トリム。プラスティック製パーツの質感も良く、上質さを巧みに演出している。

ダッシュボードにはモニターが2面備わる。ステアリングの前方にレイアウトされた小さなものは、デジタル・インスツルメントで、スピードや航続可能距離が表示される。中央の12.3インチの大画面は、インフォテインメント・システム用のタッチ式モニターとなる。今回のテスト車両にはヘッドアップ・ディスプレイも装備されていたが、情報量はやや過多に感じられた。

視覚的に感じ取れる質感は、テスラ・モデル3にも匹敵するものがあるが、テスラ流のミニマリスト的テーマといったような、明確なデザイン言語の構築とまでは及んでいないようだ。センターコンソールにはロータリー式のシフトセレクターが配されているが、そのサイズは大きすぎると感じた。

前席、後席ともに乗員の空間は広く、リアハッチを開けると大きなラゲッジルームが控えている。中国での標準装備は、音声認識システムにアダプティブ・クルーズコントロールに加えて、歩行者も感知できる衝突被害軽減ブレーキなど、一連の安全装備も抜かりはない。

「買い」か?

欧州にも導入予定あり

もし中国に住んでいるのなら、すでにジオメトリAは購入できる。すでに2万7000台のオーダーを受けているとジーリーは話していた。

今回試乗したグレードは、欧州にも導入する予定があるという。ターゲットはウーバーなど自動車による送迎サービスやカーシェア・サービスなど限定的にはなるだろう。また、目下右ハンドル仕様の予定はないという。

だが、新しい変化は目前にまで迫っているとも感じたことも確かだ。

ジオメトリAのスペック

■価格 2万8600ポンド(414万円)
■全長×全幅×全高 4736✕1804✕1503mm
■最高速度 -
0-100km/h加速 8.8秒
■航続距離 -
■CO2排出量 0g/km (WLTP)
■乾燥重量 -
■パワートレイン 永久磁石同期式電気モーター
■バッテリー 61.9kWhリチウムイオン
■最高出力 163ps
■最大トルク 25.3kg-m
■ギアボックス シングルスピード

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