毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。
時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。
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しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。
訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回は日産 プレジデント(1965-2010)をご紹介します。
文/伊達軍曹 写真/NISSAN
[gallink]
■トヨタ センチュリーと双璧をなした日産のフラッグシップサルーン
初代は官公庁の公用車あるいは企業の役員が乗る社用車を想定して専用設計され、当時の佐藤栄作首相も公用車として使用した。
1970年代は競合であるトヨタ センチュリーの約2倍は売れる人気車種だったが、1980年代に逆転され、1990年代以降は「専用設計ではなくなった」ということで求心力を失い、結果的に命脈が途絶えることになった日産の最高級乗用車。
それが、日産 プレジデントです。
セドリック スペシャルの後継車種として開発された初代プレジデントは、当時の国産乗用車としては車体・エンジンともに最大サイズとなったフラッグシップサルーン。
初代プレジデント(1965-1973)。トヨタ 初代センチュリーが登場するのは1967年、プレジデント登場の2年後となる
戦後型としては初めて専用設計された3ナンバー車でもありました。
搭載エンジンは当時国産最大の4Lを誇る日産初のV8 OHVと、セドリック スペシャル用を改良した3L直6 OHV。
最高級グレードの「タイプD」は国産車初のパワーステアリングやパワーウィンドウ、パワーシートやクーラー、世界初のリモコン式フェンダーミラーなどを標準装備。300万円という車両価格は、旧セドリック スペシャルの2倍以上でした。
初代プレジデントは1973年にビッグマイナーチェンジを受け、その後もV8エンジンの拡大や直6エンジン廃止などの改良と仕様変更を行いつつ、1990年まで製造され続けました。
そして日産 プレジデントは1990年に初のフルモデルチェンジが行われましたが、2代目プレジデントは初代と違って専用設計ではなく、「インフィニティQ45」をベースとするものでした。
インフィニティQ45をベースとした2代目プレジデント(1990-2002)。なお、1973年のビッグマイナーチェンジをもって2代目とする見方もある
インフィニティQ45のホイールベースを150mm延ばし、グリルレスだったQ45にフロントグリルを与えて雰囲気を変え、豪華な装備を与えたのが2代目プレジデント。それは、言わば「インフィニティQ45の上級車種」でした。
それでも「最新の設計である」という点が評価され、トヨタ センチュリーとのセールス競争では逆転に成功しますが、1997年にトヨタ センチュリーが新型になると再び劣勢となり、2002年には生産終了となりました。
そして1年の空白期間を経て3代目の日産 プレジデントが登場するわけですが、これも、北米で3代目インフィニティ Q45として売られていた4代目の日産 シーマをベースとするものでした。
カルロス・ゴーン氏の下で経営再建中だった当時の日産は、3代目プレジデントのホイールベースを延長することもできず、押し出しの強いデザインにしたり、遮音材を厚くしたりはしましたが、ボディ自体はシーマと共通。
助手席格納シートを装備したり、後席VIPパックとしてバイブレーター付きリラックスシートを装備するなどの苦肉の策は行われましたが、結局は2010年、ベース車である4代目シーマとともに生産終了に。
日産 プレジデントの歴史は誕生から45年で幕を閉じることになりました。
■「フラッグシップ」ゆえに…経営難に陥った日産の選択
トヨタ センチュリーに先んじて「専用設計の最高級乗用車」という存在を確立させた日産 プレジデントが、言ってはなんですがショボいモデルチェンジを経て生産終了となった理由。
それは、言うまでもなく「当時の日産が経営不振だったから」ということになるでしょう。
日産 プレジデントやトヨタ センチュリーのような車は、「何台売れた」とか「それによる利益がいくらだった」「黒字だった」「赤字だった」みたいな話とはまったく無関係な部分に、その存在理由があります。
メーカーがプレジデント的あるいはセンチュリー的な車を存在させる理由は、「メーカーとしてのステイタス」あるいは「面子」を保つためにほかなりません。
4代目シーマをベースとした3代目プレジデント。国内最後の日産の8気筒エンジン搭載車となった
プレジデント事業あるいはセンチュリー事業単体でいくら赤字を垂れ流そうが、「あの車は本当に凄い!」「超絶だ!」「さすが○○社だ!」「天皇陛下も乗ってらっしゃる!」みたいな評価になりさえすれば、それだけでもうすべてOKなのです。
だからこそトヨタは2018年にもセンチュリーのフルモデルチェンジを行い、今もなおセンチュリーをラインナップし続けています。トヨタには、それを行うだけの余力があります。
しかし日産には、残念ながらそんな余力はありませんでした。
お茶を濁すようなモデルチェンジを行い、二度目のモデルチェンジでは、濁したお茶をさらに薄めて提供するのが精一杯だったのです。
それは残念なことではありました。しかしいつの日か、日産の経営状況が再び万全となったあきつきには、トヨタ センチュリーもビビるほどの最高級専用設計乗用車を――たぶんそれはEVになるのでしょうが――作ってくれることを、それを買う可能性は100%ない筆者ですら期待したいとは思っています。
■日産 プレジデント(初代) 主要諸元
・全長×全幅×全高:5280mm×1830mm×1490mm
・ホイールベース:2850mm
・車重:1990kg
・エンジン:V型8気筒OHV、4414cc
・最高出力:200ps/4800rpm
・最大トルク:34.5kgm/3200rpm
・燃費:5.5km/L(10モード)
・価格:506万2000円(1989年式 ソブリンVIP 前席電動セパレートシート)
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みんなのコメント
プレジデントを復活させる事なんて
金輪際あり得ないだろう。
ホンダだってフラッグシップのレジェンドをやめちゃったし、もうトヨタ以外は終わってるな