新型クラウンの大きな特徴は、2022年9月1日に発売となるクロスオーバーに加えて、スポーツ、セダン、エステートと4つのボディタイプを持つことだ。しかしいずれのタイプも発表会と一部会場に展示されただけで、ほとんどの人は実物を見たことがないはずだ。
報道された写真と記事だけでは、なかなかサイズ感を感じることができない。 そこで発表された資料からそれぞれのボディタイプのライバルを考察してみた。ライバルを知ることで、これから登場するクラウンのサイズ感やパフォーマンスを想像できるはずだ!
クラウン発売直前に早くも大予想!! 4つのボディタイプから見えるライバル車とは?
文/渡辺陽一郎、写真/TOYOTA、MAZDA、ベストカー編集部
■4種類のクラウンをライバル車と比較
「クラウンは廃止できない」という強い思いから4種類のボディが生まれた
新型クラウンは、4種類のボディを用意した。その背景にあるのは「ほかのセダンと違ってクラウンは廃止できない」というトヨタの強い思いだ。
2021年のクラウンの登録台数は、1か月平均で約1800台だから、1990年の約10%まで落ち込んだ。このクラウンを今後も存続させるには、売れ行きを大幅に伸ばす必要がある。そこで国内中心のセダンから、海外でも販売できる売れ筋カテゴリーのSUVに発展させた。
しかもボディタイプは、既に詳細と価格が公表されたクロスオーバーに加えて、スポーツとエステートも控えている。クロスオーバーを含めて3種類のSUVがあれば、販売台数も維持しやすい。
さらにセダンも用意する。従来型のクラウンはセダンのみで、堅実に購入する法人ユーザーも多い。新型でもその需要を継承したいからだ。
そして3種類のSUVが使うプラットフォームは、前輪駆動を基本とするGA-Kだが、セダンは従来の後輪駆動を基本としたGA-Lを使う。つまりクラウンのセダンは、一般的なフルモデルチェンジに相当する。
なおクロスオーバーの納期を販売店に尋ねると「納車を伴う正式な発売は2022年の秋(その後2022年9月1日と発表された)で、今でも受注は行っているが、納期は分からない」という。
しかも「アドバンスト」の名称が付かないグレードは、2023年1月以降の生産予定だから、納車を開始するのは早くても2月以降だ。現時点で実質的に購入できるクラウンクロスオーバーは、アドバンスの付くグレードに限られる。
クラウンスポーツ/エステート/セダンについても販売店に尋ねたが「分かっているのは、今後の約1年半の間に、順次発売することだけ」という。それでも現時点で把握できているボディサイズなどから、ライバル車を挙げて、クラウンの各車がどのような位置づけなのかを探ってみたい。
■クラウンクロスオーバー
●ライバル車:マツダ CX-60
クラウンクロスオーバーのボディ形状から考えるとライバルは不在となるが、価格510万円のSUVとして考えると、CX-60がライバルに挙がる
クラウンクロスオーバーは、駆動方式が前輪駆動ベースの4WDのみになり、全幅は先代セダンの1800mmから1840mmに拡大された。そこで全車に後輪操舵のDRSを標準装着して、最小回転半径を5.4mに抑えている。
パワーユニットは直列4気筒2.5Lハイブリッドと、2.4Lターボのハイブリッドだ。ターボの価格は、装備の違いを補正すると2.5Lに比べて実質57万円高く、システム最高出力と燃料代は、それぞれ2.5Lの1.5倍に相当する。
つまりターボはパワー指向のハイブリッドで、一般的な選択は2.5Lだ。主力グレードは、装備を充実させたGアドバンストで、価格は510万円になる。
またクラウンクロスオーバーは、セダンボディのSUVだ。後席と荷室の間に骨格が通り、後部に大きなリヤゲートは装着されない。小さなトランクフードから荷物を出し入れする。後席は中央部分しか前側に倒れず、荷室を拡大できない。
同様のボディ形状をSUVのシトロエンC4Xも使うが、一般的な存在ではない。クラウンクロスオーバーのボディ形状を考えると、ライバル車は不在だ。
しかし価格が510万円のSUVとして捉えると、CX-60がライバル車に挙がる。CX-60で人気の高いグレードは、XDハイブリッドエクスクルーシブスポーツとエクスクルーシブモダンだ。
両車とも直列6気筒3.3Lクリーンディーゼルターボとマイルドハイブリッドを搭載して、内装の質も高く、価格は505万4500円になる。
クラウンクロスオーバーGアドバンストと、CX-60 XDハイブリッドエクスクルーシブスポーツ&エクスクルーシブモダンを比べると、メカニズムや内装において、クラウンクロスオーバーは割高になってしまう。
その理由は、クラウンクロスオーバーの価格がセダンの先代型を引きずっているからだ。先代クラウンに2.5Lハイブリッドを搭載する主力グレードのRSは、2WDが531万9000円だった。
これに比べると新型は4WDも搭載して510万円だから割安に思えるが、SUVは売れ筋カテゴリーとあって価格競争が激しい。クラウンクロスオーバーの価格は、先代型のセダンよりは割安だが、SUVのライバル車に比べると割高なのだ。
■クラウンスポーツ
●ライバル車:三菱 アウトランダー
クラウンスポーツのライバルとなるのは三菱 アウトランダー。前後にモーターを搭載して4輪の制御を行うアウトランダーはスポーティな走りも楽しい。さらに機能や装備の割に価格が安く、手強いライバルだ
クラウンスポーツは、文字通りスポーティ感覚のSUVだ。全長は4710mmだから、クラウンクロスオーバーに比べて220mm短い。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も2770mmだから80mm下まわる。
一方、ハリアーは全長が4740mm、ホイールベースは2690mmだ。クラウンスポーツのホイールベースは、クラウンクロスオーバーとハリアーの中間だが、全長については、クラウンスポーツがハリアーよりも30mm短い。
つまりクラウンスポーツは、ホイールベースの割に全長が短く、塊感を強めた。このデザインでは、ボディがホイールから前後に張り出したオーバーハングが短くなり、カーブを曲がったり車線を変える時に慣性の影響を受けにくい。つまり走行安定性も向上する。
クラウンスポーツのライバル車はアウトランダーだ。2.4Lエンジンを発電機として使うプラグインハイブリッドを搭載する。20kWhの駆動用電池を備えて、売れ筋グレードは1回の充電で85kmを走行できる。
そしてアウトランダーは、前後にモーターを搭載して4輪の制御も積極的に行い、良く曲がるスポーティな走りを満喫できる。ここがクラウンスポーツとの共通点だ。アウトランダーの価格は、本革シートなどを備える充実装備のPが532万700円だから、機能や装備の割に価格が安い。
クラウンスポーツがクラウンクロスオーバーと同等の価格設定にすると、アウトランダーとの価格競争で負ける可能性がある。
■クラウンエステート
●ライバル車:レクサス RX、マツダ CX-8
クラウンエステートのライバルは、2022年6月に概要が公表された新型レクサス RXか。クラウンエステートが3列シートのSUVなら、マツダ CX-8もライバル車になる(写真はレクサス RX)
クラウンエステートは、基本サイズがクロスオーバーに近い。全長は4930mm、ホイールベースは2850mmだから、両方ともクロスオーバーと同じだ。その一方で全幅はエステートが1880mmだから40mm広く、全高も1620mmだから80mm高い。
クラウンクロスオーバーのボディ形状は、後席から独立したトランクスペースを備えるセダンで、全高は1540mmだから立体駐車場を使いやすい。つまりセダンとSUVの中間的な存在だが、エステートはボディの後部にリヤゲートを備えて、全高も1600mmを超える。つまり典型的なSUVだ。
以上を考慮すると、クラウンエステートは、2022年6月に概要が公表された新型レクサスRXに近い。RXのプラットフォームはクラウンエステートと共通で、ホイールベースも2850mmだから等しい。
RXの全長は4890mmだからクラウンエステートに比べて少し短いが、全幅は1920mmと逆に40mmワイドで、全高も1695mmと高い。
クラウンエステートはトヨタブランド、RXはレクサスブランドという違いがあるから、価格は大きく異なるが、ボディのサイズとスタイルは似ている。
そしてクラウンエステートの開発者は「荷室に実用的な特徴を持たせた」という。全長も4930mmと長いから、荷室に3列目のシートを備える7人乗りを用意する可能性が高い。
ちなみに今のミドルサイズとLサイズのSUVは、アウトランダーやエクストレイルを含めて、3列シート車を用意することが多い。クラウンシリーズがSUVのボディを3種類もそろえるなら、3列シート仕様も含まれて当然だ。
クラウンエステートが3列シートのSUVなら、CX-8もライバル車になる。全長は4900mm、全幅は1840mm、全高は1730mmだからボディサイズはクラウンエステートに近い。そしてCX-8は、全グレードに3列のシートを装着した。つまりクラウンエステートにとって、一番のライバル車はCX-8になる。
問題は価格だ。クラウンエステートは、ハリアーのボディを拡大したような上質感と実用性を併せ持ち、クラウンシリーズでは販売台数が最も増える。
クラウンクロスオーバーは、セダンボディのスペシャルティSUVだから売れ行きが伸び悩むが(1か月の販売目標/3200台を長期間にわたり達成するのは困難)、エステートは実用性も高いから需要が集まる。
このニーズを好調な売れ行きに結び付けるには、割安な価格が不可欠だ。価格の基準になるのはハリアー。2.5LのGハイブリッド4WDが422万円だから、クラウンエステートに同じパワーユニットと4WDを搭載するグレードは、3列シートと上質な内外装を考慮しても、価格を460万円程度に抑える必要がある。
価格が460万円なら、CX-8に2.2Lクリーンディーゼルターボを搭載したXD・Lパッケージ4WDの461万8900円と吊り合う。
クラウンクロスオーバーGアドバンスの510万円に比べると約50万円安く、クラウンシリーズの買い得車になるわけだ。このような価格を設定すれば、エステートが好調に売れてクラウンシリーズの最多販売車種になり「クラウンは廃止できない」という思いを成就させられる。
■クラウンセダン
●ライバル車:次期マツダ6セダン
クラウンセダンのライバルとなるのは今後発売されるマツダ6セダン(画像はベストカー編集部が作成した予想CG)。クラウンセダンの2.5Lハイブリッドに対抗するのは、直列6気筒3.3Lのクリーンディーゼルターボ+マイルドハイブリッドだ
クラウンシリーズのSUVは、すべてGA-Kプラットフォームを使う前輪駆動ベースの4WD(あるいは2WD)だが、セダンは従来のプラットフォームを踏襲する後輪駆動車として残す。
パワーユニットの主力は直列4気筒2.5Lハイブリッドで、レクサスLSと同型のV型6気筒3.5Lハイブリッドを併用する可能性もある。2.5Lハイブリッドの売れ筋価格帯は、従来型のRSと同じく500~550万円だ。
ライバル車は、今後発売されるマツダ6セダンになる。プラットフォームはCX-60と同様、後輪駆動をベースにしたタイプに切り替わる。クラウンセダンの2.5Lハイブリッドに対抗するのは、直列6気筒3.3Lのクリーンディーゼルターボ+マイルドハイブリッドだ。
両車ともに後輪駆動だが、クラウンセダンは走行安定性と乗り心地のバランスが優れ、マツダ6はドライバーが一体感を得られる正確性の高い運転感覚に重点を置く。機能や装備と価格のバランスでは、マツダ6が割安な設定になる。クラウンの主力は、あくまでも割安なエステートだ。
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みんなのコメント
クラウンではない。
売れないクラウンしか見えません プリウスの二の舞。