パナソニック・オートモーティブ社は2019年10月11日、トヨタのコンセプトカー「LQ」に搭載された「無人自動バレーパーキング・システム」と「AR-HUD」を開発したと発表した。無人自動バレーパーキング・システムは、限定された範囲での高度運転自動化(レベル4)を実現し、AR-HUDはドライバーが運転に集中できる快適で安全なナビゲーションを提供する先進技術だ。
無人自動バレーパーキング・システム
車両や駐車場に専用の高価なセンサーを設置することなく、無人自動バレーパーキングを実現するシステムだ。車両に搭載されたカメラ、ソナー、レーダーなどのセンサーとセキュリティ用途で用いられる駐車場の監視カメラなどの設備をセンサーとして融合させている。
駐車場の2次元路面マップと、車両に装着された複数のカメラ画像により生成された路面情報を比較し、自車位置を精度良く特定しながら、サーバーから指示された目標駐車位置までの自動走行を実現。また、高精度な自車位置測位により、隣接車両との距離が20cmという極狭空間への駐車も可能となり、狭い敷地でも有効に活用できる。
自動バレーパーキング機能を搭載した車両と、監視カメラによるセンシングによる監視機能は、駐車場毎に設けられた管制サーバーによって繋がる。ドライバーはクルマから離れた場所で、スマホやタブレットなどの操作端末を介して、駐車場内での入庫と出庫の指示を操作できるというシステムだ。
車載カメラと駐車場の監視カメラがディープラーニングによる人物検知を行ない、少ない演算量でさまざまな姿勢・服装の人や体の一部が隠れている人物なども検知できるので、人の飛び出しに対しても緊急ブレーキシステムを作動させることができる。また無線エリアを設定することで、優先トラフィック制御を使用し、無線通信を介して管制サーバーからの低遅延ブレーキ指示を送ることも可能で、車両を安全に停止させる管制サーバー連携技術も組み込んでいる。
このシステムは、特別な専用の高価なセンサーを使わず無人自動バレーを実現できること、駐車場での事故低減を安価に実現し、面倒な駐車操作からドライバーを解放することができること、離れた駐車場や狭い空間にも駐車できることで、日本ならではの土地事情であっても有効活用できることがメリットだ。
大画面AR-HUD
「AR-HUD」とは拡張現実(実際の視覚にデジタル情報表示を重ね合わせること)表示ができるヘッドアップ・ディスプレイだ。パナソニックのデジタルカメラや監視カメラ、プロジェクターなどの民生品の開発技術をベースにした光学技術により、大画面で歪の少ない高品位な表示を実現している。表示距離の中心約24mで、200インチ相当の大画面表示を可能にしている。
またデジタルカメラなどで採用している手振れ補正技術を応用した振動補正技術により、車両の振動による現実空間と表示映像のズレを低減している。
ウィンドシールド越しに見える実際の風景と、HUDに表示する情報を重ね合わせてドライバーの視界前方に投影するHUDにより、注意喚起情報(車線、標識など)や案内ルートなどをより見やすく、わかりやすく表示できる次世代のHUDとなっている。
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