日産は2021年10月8日、栃木工場内に新設した「インテリジェント ファクトリー」を導入し生産ラインを初公開した。この革新的な最新の生産ラインとシステムは大幅な自動化に加え、内燃エンジン車、ハイブリッド、EVなどの混流生産が可能で、さらにCASEへの対応、環境対策などを大幅に盛り込んでおり、新型「アリア」もここで生産が行われる。
プレゼンテーションする坂本副社長 生産担当の坂本秀行副社長は、「現在、自動車業界は大きな変革期にあり気候変動に対するグローバルな課題解決も待ったなしの状況です。しかし、私たちはこれをチャンスと捉えています。日産のDNAの一つであるモノづくりの強さをさらに発展させ、革新的な生産技術を開発・適用することで直面する課題を打破し、栃木工場を皮切りにニッサン インテリジェント ファクトリーをグローバルに導入して行くことで、脱炭素化社会に向けた次世代のクルマづくりを推進します。そして生産分野においても人々の生活を豊かにするためのイノベーションをドライブし続け、今後の日産の飛躍を支えていきます」と語っている。
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栃木工場全景。ブルーの部分がインテリジェント ファクトリー これまで栃木工場は世界のマザー工場として、高い品質や効率的な生産工程、高い技能を持つ匠の技術により、クルマづくりを行なってきた。しかし、生産を取り巻く事業環境は大きく変わりつつあり、従来の労働集約型の生産から脱却し、高齢化社会や深刻な人手不足に対応するための労働環境改革や、気候変動やパンデミック等の予期せぬ事態への対応が求められている。
工場全体もインダストリー4.0に基づくIoT化を採用 さらに、クルマの電動化や知能化、コネクテッド技術によってクルマの機能や構造の高度化、複雑化が急速に進んでおり、これに対応したより高精度なクルマづくりが求められるようになっている。
【関連記事】日産インテリジェント ファクトリー:https://autoprove.net/japanese-car/nissan/190794/
こうした環境の変化に対応し、クルマづくりのあり方を変えていく「インテリジェント ファクトリー」を6年間をかけて開発し、栃木工場に導入した。
このコンセプトによって、電動化技術やコネクテッド技術を数多く搭載した次世代のクルマへの対応、従来の匠の技を伝承したロボットによる高い品質の量産、多数のセンサーを統合制御する高精度な生産レベルの確保、人とロボットが共生する誰でも働きやすい職場、さらにはゼロエミッションの生産システムを実現し、脱炭素社会に向けた取り組みを加速させようというのだ。
まずは330億円以上を投じて日産のマザー工場である栃木に導入し、その後は追浜工場、九州工場から世界各地の工場にも展開していく構想になっている。
新型アリアはこの「インテリジェント ファクトリー」を前提としたクルマのため、2020年7月にいち早く発表されたが、この新生産ラインの完成により、ようやく生産が開始されることになった。
組み立てに大幅なロボットを導入多様なパワートレーンの搭載に対応する
自動パレット&組付けインスツルメントパネル組付けも高精度な自動化ボディ、樹脂バンパー一体の水性塗料の塗布アリアに採用されるルノーが開発したEESM:巻線界磁型同期モーターの自動組立 世界初の量産となるEESM:8極・巻線界磁型同期式モーター生産におけるカーボンニュートラル
この「インテリジェント ファクトリー」の公開に合わせ、坂本副社長は生産におけるカーボンニュートラルのロードマップも発表した。
日産は2050年までに事業活動を含むクルマのライフサイクル全体におけるカーボンニュートラルを実現するという目標に取り組んでいる。生産分野においては、「インテリジェント ファクトリー」をはじめとする車両組み立て時の生産効率を向上させるイノベーションを推進すると同時に、工場で使用するエネルギーと材料の効率を向上させることで、カーボンニュートラルを実現するとしている。
世界各地の工場での取り組みと燃料電池発電 具体的には、工場のエネルギーを削減しながら革新的な生産技術を導入し、2050年までに工場設備を全面的に電動化する。
CO2の排出量が多い鋳造工程や塗装工程で必要なエネルギーを電化する。特にCO2の排出量が多い鋳造工程や塗装工程での電化は効果が大きいと見られる。
そして使用する電気を、すべて再生可能エネルギーで発電された電気と代替燃料を使って燃料電池で自家発電した電気を使用することで、生産工場におけるカーボンニュートラルを実現するとしている。
2050年に向けてのロードマップ なお、定置用燃料電池は、以前に日産がアルコールやバイオ燃料を使用する燃料電池をより大型化、定置する構想で自社内発電は2022年に実証実験を開始するとしている。
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日産自動車 公式サイト
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