英国デザイン、英国生産の日産ジューク
text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
日産ジュークが2代目に生まれ変わった。初代より一回り大きく、熟成度も増している。英国の一般道を試すのは初めてとなる。
初代モデルは2010年に登場し、累計で100万人以上のドライバーを楽しませてきた。新しいモデルを既にご存知の読者もいるだろう。
AUTOCARでは8月に一度、プロトタイプを英国ミルブルックのテストコースで確かめている。さらに10月にはバルセロナで量産モデルの試乗もした。しかし、ガラスのように滑らかな路面だったから、ロータス・エリーゼでもメルセデス・ベンツEクラスの乗り心地に感じられる環境だった。
より重点的なロードテストも行う予定ではあるが、今回はガラスとは呼べない英国の舗装に挑む。日本ブランドのクルマではあるが、日産ジュークはかなり英国的なクルマでもあり、乗り心地以外にも気になる部分は沢山ある。
2代目ジュークがデザインされたのは、日産ヨーロッパ・デザインセンター。ロンドンのパディントンにある。車両設計はこちらも英国のクランフィールドにある開発センター。製造も欧州向け車両に限らず、英国のサンダーランド工場で行われるのだ。サプライチェーン全体を含めると3万4000人が関わっていることになる。
モデルラインナップはシンプルで、選べるエンジンは1つのみ。排気量999ccの3気筒ターボガソリンのみで、最高出力は116ps。
ジュークらしいボディデザインは健在
ディーゼルエンジンは考えられないが、プラットフォームはCMF-Bだから、ルノー・キャプチャーと共有することを考えればハイブリッドの登場はあり得る。いずれにせよ欧州で販売するのなら、何らかの電動化は避けられないだろう。
トランスミッションは6速MTか7速デュアルクラッチATが選べる。パフォーマンスを重視するなら6速MTとなる。
それ以外の構成はコンパクトカーとしては一般的なもの。サスペンションはリアがトーションビーム式で、フロントがマクファーソンストラット式となる。ダンパーは通常の固定式タイプ。だが設定が改められ、リバウンドを穏やかにするため、ダンパーの中に小さな2番目のスプリングが内蔵されているそうだ。
タイヤはブリジストン製。グリップやトラクションは、先代ジューク・ニスモに匹敵するという。
ボディデザインは以前ほど風変わりではなくなったが、間違いなくジュークらしい。フォグランプのように見えるヘッドライトは先代とのつながりを強く感じさせる。その上に切れ長のランニングライトが配されて、顔つきはずっと整った印象を受ける。
ボンネットの両脇にレイアウトされていたライトは、空力的に都合が悪く、オーナーの間でも賛否両論があったため、見直されている。大きく膨らんでいたフェンダーは穏やかになっているが、大胆なボディデザイン全体で見ると、より立体的な造形になっている。
運転が楽しいと思えるクロスオーバー
テールライトはリアハッチとの分割式となり、荷室の開口部の幅も拡大。フロントガラスもリアガラスも傾斜角は強くなり、長く広くなったボディサイズと相まって、より安定感のあるスタイリングにまとまっている。アスファルトとの相性もいい。
実際に日産ジュークを英国の郊外の道へ連れ出せば、近い関係性にある日産マイクラ(マーチ)の運転がなぜ退屈なのか、疑問を感じるだろう。それほどジュークの運転は楽しいのだ。
ステアリングフィールは特に優れており、以前よりクイックながら神経質なところがまったくない。切り始めはやや重く、前輪へ掛かる負荷が増えるのと同時に、重みも徐々に増していく。
ルックスにこだわるドライバーなら19インチを選びたくなるところだが、乗り心地は硬めで、低速域では落ち着きがなくなってしまう。強いこだわりがなければ、英国なら17インチを選んだ方が懸命かもしれない。
しかし19インチであっても、100km/h近くまでスピードを速めれば、その硬さは引き締まった滑らかさに変わってくる。このクラスとしては珍しいほどに優れた姿勢制御を獲得している。
2代目日産ジュークには想像以上の落ち着きが備わっている。ステアリングは正確で、自信を持って進路を定めていける。ボディロールも限定的で、優れたフロントタイヤのグリップ力を生かしてコーナリングスピードも高い。
操縦性の良さは平均よりかなり上
新しいタイヤなのに路面をしっかり掴むだけでなく、まるでフォード製モデルのように、テールを遊ばせる鋭い操縦性すら得ている。
新しいフォード・フィエスタやフォーカスのハンドリングの良さを考えると、ジュークのライバルとなる、新しいフォード・プーマにもかなり期待するはず。比較試乗するのが楽しみだ。
われわれは、運転を愛するドライバーでも納得できる、優れたコンパクト・クロスオーバーがいつか登場することを願っている。自動車業界が切磋琢磨する中にあって、日産ジュークもかなりいい線に来ていると感じた。
日産ジュークのインテリアの質感は一歩前進した。長くなったホイールベースのおかげでリアの足元空間は広がり、荷室空間も大きくなった。オートバイをイメージしたという先代のインテリアデザインの尖った部分はなくなったかわりに、ソフト加工されたパネルが多く用いられ、質感は高められている。
8.0インチのインフォテイメント・システム用モニターを備え、画質は鮮明。やや反応が鈍くメニューは使いにくいが、アップル・カープレイとアンドロイド・オートに標準対応するから、スマートフォンのユーザーなら不便を補える。
同カテゴリー内での優位性を守る
それ以外の部分は普通。6速MTの操作感は軽く、フィーリングは曖昧でストロークも長い。エンジンは特に回りたがる性格でもない。DIG-Tユニットは工場出荷直後の状態だったから、慣らしも終わっていないこともあっただろう。
高速道路域の速度は、6速に入れて2500rpm程度。隔離感のある快適な移動時間を過ごせる。
コンパクト・クロスオーバーを考えていて、運転も楽しみたいのなら、日産ジュークを気に入るはず。エンジンは没個性でパワーも控え目だが、操縦性の良さは平均よりかなり高いところにある。SNSで話題になるほどのボディデザインではないけれど、ずっと好感が持てることは間違いない。
2代目となった日産ジュークは、洗練性や使いやすさ、ハンドリングなどの面で大きく向上しており、クラスの中で優位な立場を維持できるだろう。できるならホイールの直径は小さい方が、その良さをちゃんと味わえるはず。
ただし、スペイン生まれのセアト・アローナは、このクラスで最も機敏なステアリングを備えていることも確かではある。
日産ジューク DIG-T N-コネクタのスペック
価格:2万995ポンド(293万円)
全長:4210mm
全幅:1800mm
全高:1595mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:10.4秒
燃費:16.1-16.9km/L
CO2排出量:112-118g/km(NEDC)
乾燥重量:1182kg
パワートレイン:直列3気筒999ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:116ps/1750-4000rpm
最大トルク:20.4kg-m/1750-3750rpm
ギアボックス:6速マニュアル
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みんなのコメント
これを売らない日産に↓…。
製造コストとか、採算の面であるのかも知れないけど、客見て商売して欲しいな。
これ、ほんと売れると思うんだろけど。