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好評から一転、なぜこうなった!? 混迷のモデルチェンジ車 4選

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好評から一転、なぜこうなった!? 混迷のモデルチェンジ車 4選

 人気車があれば不人気車もある。鳴かず飛ばずのうちに生産終了となってしまう不人気車の多くは、当初から人気が出なかったモデルが多い。

 ところが、デビュー時や一定の時期まで人気があり、車として一定の評価を得ていたにもかかわらず、“代替わり”で失敗してしまうモデルは少なくない。

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 ちょっとしたボタンのかけ違いが、混迷のモデルチェンジを生んでしまうのだ。

文:片岡英明


写真:編集部、NISSAN

評判を下げた2台の日産車のモデルチェンジ

■日産 プリメーラ(3代目、2001-2008年)

 日産の社内革命、901活動(※1990年代までに技術の世界一を目指す計画の総称)から生まれた新世代のFFミドルセダンがプリメーラだ。

 初代は1990年にオースターとスタンザの後継セダンとして誕生。前任の2車が地味だったため、プリメーラも最初はあまり注目されていなかった。

 だが、優れたパッケージングと気持ちいい走りがウケ、デビュー年に5万台を売り上げ、累計30万台を販売。日産を代表するファミリーカーにのし上がった。日本よりも好調だったのは英国では50万台を超える生産を記録している。

 2代目は、1995年秋に登場。キープコンセプトだったが、いい客層を引き継ぎ、欧州でも評判がよかった。

 そして、日産がゴーン体制になった2001年に3代目を投入する。初代から好評だった気持ちいい走りに磨きをかけた。

 大きく変わったのはデザインだ。欧州市場を意識し、未来感覚のキュートなデザインに生まれ変わっている。また、インテリアも流行のセンターメーターを採用するなど、大胆なレイアウトだった。

 が、日産が販売店を縮小し、そのデザインも昔からの日産ファンが好むものではなかった。

 また、自慢のシャープな走りも代を重ねるごとにマイルドになっている。ライバルも追いついてきたから優位性は薄れた。というわけで神話は崩壊し、販売は伸び悩んだ。

 ルノー主導の経営方針に難色を示し、買い控える日産ファンが多かったことも災いした。ヨーロッパでも失速したから、新経営陣は早めに見切り、3代目が最後のプリメーラとなっている。

 あれだけ人気があった車だけに歴史を閉ざしてしまったのは残念でならない。

■日産 マーチ(現行型、2010年-)

 マーチは、日産としてサニー1000以来16年ぶりのリッターカーで、1982年秋にデビュー。経済性の高さと軽快な走りが人気を呼び、10年にわたって安定した売れ行きをみせた。

 続く2代目は一転してオーバルシェイプになったが、ファッション感覚の鋭い女性層を引き込むことに成功。ファーストカーとしても使える、実力の高さも販売を押し上げた。

 これまた10年近くマイナーチェンジだけで乗り切り、2002年2月に発売された3代目は、オリジナリティあふれるデザインは遠くからでも目立った。

 また、キャビンもおしゃれな感覚だったし、走りの実力も向上していたから、幅広い層から高く評価された。

 そして、2010年夏に現行型の4代目が発売。3代目までは日本製だったが、4代目はコスト低減のためタイ工場で生産され、日本に送り込まれた。

 3代目は発売直後から5桁の販売台数を記録し、3年後でも年間8万台をオーバーしたが、現行モデルはデビュー直後から苦戦。

 2015年には月販1000台レベルに落ち込み、今や3桁台の月もある。最大の敗因はデザインだ。2代目に乗っていた女性層は敬遠し、他の車になびいた。

 また、インテリアもコストダウンが目立つ。途中でテコ入れしたが、一度離れたユーザーは戻ってこない。

 当然、先進安全装備や今風の快適装備とは無縁で、緊急自動ブレーキすらない。軽自動車と比べても劣っていることは明らかで、室内空間も軽自動車のハイトワゴンにかなわない。

 このマーチは、もともとアジアの開発途上国向けに開発されたエントリーカー。目の肥えた日本のユーザーが敬遠したのは当然である。日産が手放してしまったファンを再び引き戻すのは大変だ。

「アコード神話」崩壊させた現行型

■ホンダ アコード(現行型、2013年-)

 シビックとともにホンダの屋台骨を支えてきたのがアコードである。

 初代は1976年に登場し、日本だけでなく北米でも高く評価された。これ以降、北米で絶大な人気を獲得し、モデルチェンジするたびに販売台数を伸ばしている。

 月に3万台を超える販売をコンスタントに記録するようになり、アメリカの景色に溶け込んだ。その反面、日本では販売が下降線をたどるようになる。

 現行型アコードは2013年に登場。この9代目はハイブリッド専用車で、ボディサイズもクラウンより大きい。

 2Lの直列4気筒i-VTECエンジンに走行用と発電用、2つのモーターを組み合わせたハイブリッド「i-MMD」は、気持ちいい加速と卓越した静粛性、優れた燃費を実現している。キャビンは広く、後席でも快適だ。適度にスポーティな大人の走りも魅力的だった。

 が、もはやアコードといえないほどボディは大柄だし、価格も400万円を超える。

 また、12月にプラグインハイブリッド車を加えているが、こちらは500万円をはるかに超えるから手を出せるのは法人だけ……そう思っていたら、すぐに個人ユーザーは買えなくなった。

 ハイブリッド車はいい仕上がりだ。駆動電池がたくさんあれば、EVとして使うことができる。いい車なのだが、デザイン、ボディサイズなどは日本の道路環境では受け入れ辛いものだった。

 だから販売台数は月に100台レベルにとどまったし、長年にわたって築いてきたアコードのイメージもぶち壊している。

 軸足を北米に置いたこともあり、今のアコードは、日本人が知るアコードではなくなった。ちょっとしたボタンの掛け違いが、アコード神話を崩壊させたのである。

 これはシビックにも言えることだ。ホンダの二大看板が、本拠地である日本では人々に認知されなくなってきた。ホンダにとっては大ピンチだと思う。

軽で見せたダイハツの底力感じられず

■トヨタ パッソ/ダイハツ ブーン(2016年-)

 日本だけでなく海外でも「Aセグメント」と呼ばれるスモールカーの人気は高い。

 トヨタのパッソとダイハツのブーンは、そのど真ん中に送り出したモデル。両車は双子車で、軽自動車とちょっと大きい登録車だ。

 誕生は2004年で、パッソはヴィッツの下のゾーンを受け持つエントリーカーだった。軽自動車を卒業し、ステップアップしてきたユーザーの受け皿になる。コンセプトはトヨタが立て、ダイハツが開発と生産を行った。

 2010年に登場した2代目もトヨタとダイハツの共同開発車だ。ボディサイズをあまり大きくしなかったから取り回し性に優れている。環境性能と安全性能も高めたから女性層だけでなく年配のユーザーを取り込むことに成功した。

 これに続く3代目は2016年春にベールを脱いだ。デザインは2代目と似ているが、ホイールベースを延ばし、キャビンスペースを広げている。この3代目は企画から開発、生産までダイハツが担当した。

 が、プラットフォームは初代から受け継いだものだし、カワイイ系のキャラで勝負する手法も同じだ。エンジンは1Lの直列3気筒で、これも改良版だが、ドライバビリティは向上した。

 日常の取り回し性に優れ、接地フィールや乗り心地もよくなっている。先進安全装備も充実させた。が、走りの性能はライバルを大きく引き離すものではないし、安全装備も軽自動車と大差ない。

 この1年の間にパッソは年間5万台、ブーンが7500台ほど売れている。だが、かつては月に5桁を販売していただけに物足りなさを感じないわけにはいかない。

 ハイブリッド車がないのに健闘しているともいえるが、軽自動車で見せたようなダイハツの底力が見られないのは残念なことだ。

 ダイハツはEVでもハイブリッドの技術でも高いものを持っている。強敵がいないからと呑気に構えていると欧州勢に置いていかれるだろう。次の一手に期待したい。

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