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【トヨタの隠し玉!?】日野、縁の下の力持ち→表舞台へ なぜ今なのか EVトラックなど続々導入 テスラ対抗も

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【トヨタの隠し玉!?】日野、縁の下の力持ち→表舞台へ なぜ今なのか EVトラックなど続々導入 テスラ対抗も

日野自動車、一気に次世代シフト

text:Kenji Momota(桃田健史)

【画像】SUVからトラックまで テスラのフルラインナップ【ディテール】 全92枚

日野自動車(以下、日野)のイメージが大きく変わった。

まるで、テスラ対抗とも思える、積極的な将来構想を明らかにしたのだ。

2020年10月29日におこなった、日野の2020年第2四半期(上期)決算発表では、電動化戦略を主体とする次世代事業計画について詳しい説明があった。

そのなかで明らかになったのは、超低床・前輪駆動の小型EVトラックを2021年度に公道実証し、2022年度から市場導入を目指すという点だ。

その他、2025年度までに日本・北米・アジア市場で、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、EV、そして燃料電池車の各種事業を本格化させる。

これが、日野がいう「チャレンジ2025」の “一部” である。

クルマの電動化といえば、米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が2020年9月に「2035年までに(ガソリン車やディーゼル車等の)内燃機関の新車販売を禁止する」と発言。

これに先立ち、トラックなど商用車向けにも、乗用車と同様にZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)規制を適用する考えだ。

中国でも2020年10月後半、政府機関から2035年に向けた電動化に関する政策が公表され、途中段階である2020年や2030年それぞれの時点で達成目標を示した。

こうしたなかで、日野の動きは、トヨタ、ホンダ、日産など日系乗用車大手の凌ぐような大胆な戦略に思える。

トラック電動化 日野のライバル2社

日野が進めるトラックの電動化で、直接的なライバルとなる企業は2つある。

1社は、テスラだ。

2010年代中盤から上級EV「モデルS」「モデルX」の生産体制を着々を築き上げながら、中型EVである「モデル3」へと事業を広げてきた。

コロナ禍にあっても「モデル3」の販売は好調で、直近の月販販売台数はアメリカ国内で3万台を超えた。トヨタの主力モデル「カムリ」を凌ぐ勢いである。

こうした追い風をフル活用し、2023年を目途に2万5000ドル(約265万円)のテスラモデルのラインナップとしてエントリーモデルとなる新型EV市場導入すると、同社の株主総会でイーロン・マスクCEOが明らかにしたばかりだ。

テスラのモデル拡張はこれだけに止まらず、ピックアップトラックの「サイバートラック」、さらに大型トレーラー「SEMI」の開発を進めている。

2社目は、ゼネラルモーターズ(GM)だ。

大型EVトラックのベンチャー企業である二コラについて、当初は提携関係だったが、二コラ創業者の退任によって、GMが二コラ事業を主導するかたちとなった。

また、ピックアップトラックについては、GM自社開発のEVプラットフォーム・アルティウムを使うGMC「ハマーEV」の技術詳細が公表されたばかりだ。

日野としては、適材適所の電動化戦略で、テスラやGMを迎え撃つ構えだ。

世界各地で多角的かつ包括的な連携

今回の決算発表で公開された「日野の電動化戦略」によると、「地域ごとのニーズや法規制・インフラ等の動向を踏まえて、地域軸・技術軸・時間軸で最適なパートナーと連携する」という基本方針を示している。

具体的には、アメリカでは「プロジェクトZ」と称し、最もサイズが大きなクラス8トラックでは、トヨタと共同開発する燃料電池トラックを採用。さらに、中大型クラスではアメリカのEV関連企業各社と連携する。

中国では、香港にほど近く、多くの中国IT関連ベンチャーが拠点を置く「深せん」の主力企業であるBYDと2021年に商用EV開発の新会社を設立する予定だ。

BYDは中国国内はもとよりアメリカや欧州で大型EVバスを販売している。

さらに欧州では、トレイトンと組む。フォルクスワーゲンの子会社で、MANやスキャニアなど大手トラック・バスメーカーを持つ企業だ。

電動化プラットフォームや電動コンポーネンツの共通化について、スキャニアの拠点があるスウェーデンで作業を始める。

このように世界各地でトラック・バス電動化に関する大型プロジェクトを同時進行させるというのだ。

こうした経営判断が、日野単体でおこなわれているとは考えにくい。

トヨタの戦略 日野は一気に表舞台へ

そういえば……。日野を含めたトヨタグループが一丸となる体制作りとして、筆者として思い出される光景がある。

通称「タテシナ会議」(2019年7月18日:長野県茅野市・テラス蓼科)だ。

毎年この時期、トヨタ本社、トヨタ関連企業、トヨタ販売店それぞれの経営者らが、蓼科山聖光寺(しょうこうじ)の夏季大祭にて交通安全を祈願する。

49回目となった2019年は、トヨタのギル・プラット氏(現チーフサイエンティスト&エグゼクティブフェロー・フォー・リサーチ)が自動運転に関する基調講演をおこなった。

トヨタの豊田章男社長を筆頭にグループ幹部がトヨタの未来について積極的な意見交換をおこなう場を、タテシナ会議と呼んだ。

CASE(コネクティビティ/自動運転/シェアリングなど新サービス/電動化)や、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)など、自動車産業がこれまでに経験のない大きな時代変化の真っただ中にいることは、トヨタグループ幹部は十分に認識している。

その上で、タテシナ会議を含めてグループ内で様々な協議を進める中で、日野によるトラック・バス分野の変革に関する意思決定がスピード感を持って進められたのだろう。

ここへきて、これまでは縁の下の力持ちだった日野が、トヨタ次世代戦略で一気に表舞台に出てきた印象がある。

日野のこれからに注目したい。

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みんなのコメント

8件
  • どう考えたって 長距離を走るトラックには。燃料供給が必要で、充電に数時間かかるなんていかがなもんでしょう。各社が、共通のバッテリーパックでも開発して拠点毎に運輸会社や、メーカーにこだわらず交換だけで済むなんていう風になればいいけどね。そんな革新的な発想でも起きない限りは、燃料電池が、現実的かなあ
  • EVの普及はインフラ次第でしょう。充電スタンドが採算を取れなければ普及したいだろうし、マンションやアパートの場合全戸用に設備が用意出来るかだろうし。
    どちらかと言うと水素が現実的でしょうね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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