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実際の風景に案内を表示する画期的機能! 新型SクラスがOP採用した「ARナビ」の実用度とは

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実際の風景に案内を表示する画期的機能! 新型SクラスがOP採用した「ARナビ」の実用度とは

 ヘッドアップディスプレイは進路案内を実際の風景に重ねて表示する

 メルセデス・ベンツはフラッグシップモデル、新型Sクラスに搭載するヘッドアップディスプレイにAR(Augmented Reality=拡張現実)」を使ったナビ機能を搭載した。インフォテイメントシステム「MBUX」に含まれている新機能で、ルートガイド中の方角や距離、車速などの情報をより直感的にドライバーへ情報を伝えることが可能となる。

いまどきクルマはスマホナビで十分……というが十分ではないケース3つ

 ヘッドアップディスプレイは、走行に必要な情報をフロントウインドウに重ねて表示するため、ドライバーが視線を移動することなく必要な情報を得られるのが最大のメリットだ。これまでも上級車を中心に多くの搭載例があり、新型Sクラスではそこに進路案内を実際の風景に重ねて表示するようにした。これは純正ナビゲーションとしては世界初の事例だという。

 メルセデスベンツによれば、ヘッドアップディスプレイは10m先に仮想表示するように設定されており、ドライバーの視界に自然に入ってくる位置に表示されるという。ナビゲーションとしてのガイドをここで表示し、そこには分岐点での進行方向や走行すべき車線も案内されている。さらに走行中の速度や制限速度、ADAS系の表示も行われていた。その表示はしっかり整理されたもので、焦点をとくに合わせることなくスムースに捉えることができるのはこのヘッドアップディスプレイの良いところと言えよう。

 じつは、ARを使ってルートガイドをする機能は、市販ナビゲーションなどで少なからず存在した。よく知られているのがパイオニアのサイバーナビが採用した「AR HUDビュー」だ。コンバイナーを備えた専用ユニットをルーフに装着し、ルートガイドをフロントウインドウ越しに見える風景と重ねて表示する。表示をレーザーによって描くため、昼夜を問わず高い解像度を特徴とし、地名やアイコンなどもフルカラーで鮮明に映し出していた。

 ただ、後付けで対応したため、ルーフに大きなユニットがぶら下がる格好となり、その状態はお世辞にもスマートとは言えなかった。その点で新型Sクラスに搭載したAR機能は、フルカラー液晶を使ったヘッドアップディスプレイにこれを組み込んだ。そのため、従来のヘッドアップディスプレイとほぼ同じシステムでこの表示を可能にした。その意味でも高級車に相応しい新装備として捉えても良いだろう。

 視界への慣れや夜間に見づらいなどのデメリットはある

 ではARとして新たに追加された表示はどうか。この表示は方角を常に示すのではなく、右左折などの案内が必要なときになると連続する矢印がアニメーションとなって進行方向をガイドする。純正だけにキャリブレーションもしっかりと合わせ込んであり、進むべき方向へと矢印が正確にガイドするのがわかる。従来の方面ガイドに加え、この矢印の動きがより確実なガイドとしてサポートすることは間違いないだろう。

 ヘッドアップディスプレイそのものの表示は、液晶表示を反射して投影している割には十分に鮮明だ。文字の解像度も高く、ACCなどで設定した速度やナビゲーション中の交差点名案内もしっかりと読み取ることができる。レイアウトもわかりやすく、多くの表示のなかから必要な情報を抽出するもたやすそうだった。

 気になる点としては、視界のなかで矢印が動き回るために慣れないと違和感を感じてしまうことがある。分岐点までの距離に応じて矢印のサイズや数も変化するため、個人的な感想としては少々落ち着かない印象を受けてしまった。また、外光の影響も受けやすいようで、とくに夜間で先行車のテールランプと重なると矢印が見えにくくなる。ヘッドアップディスプレイ自体の位置は変えられるので、この影響が少ない位置に設定しておくといいと思う。

 では、新型Sクラスに搭載されたことで、今後「ARナビ」は普及していくのだろうか。これまで多くのARナビに触れてきた私としては、この機能はメインとはならないと考える。あくまで基準となるガイドがあったうえで、それをサポートする付加機能として広まる可能性はあるかもしれないと思っている。それはナビゲーションに対する考え方が、日本と欧米とでは違いがあるということが背景にある。

 もともと欧米ではすべての道路に名称が付いており、ガイドする場合も進行方向の道路名を表示すれば、交差点のガイドはおおまかでも十分だ。たとえばラウンドアバウトでも何番目の道路に進むかがこの道路名で判断できる。これならARナビもメインとなり得るかもしれない。

 それに対して日本では道路名を表示しているのは主要幹線道路ぐらいしかなく、交差点にある施設などを目印にして曲がらざるを得ない。欧米のナビが矢印だけでガイドする「ターンbyターン」が普及し、日本では交差点拡大図の正確さを競った背景にはこうした事情の違いがあったのだ。

 つまり、日本では結局、曲がる方向だけを案内するARナビではガイドとして情報が不足してしまうと思うわけだ。ただ、表示したからといって邪魔になるものでもないし、むしろ、それを今後さらに発展させていくことは望むところ。たとえば表示を液晶からレーザーへ変えれば外光の影響もグンと減ってくる。今後はぜひとも機能の熟成度を高めていってほしいと思っている。

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