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英国編集部、日本の軽スポーツに試乗 ホンダS660/ダイハツ・コペン 後編

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英国編集部、日本の軽スポーツに試乗 ホンダS660/ダイハツ・コペン 後編

もくじ

前編
ー 富士山をめざして
ー 2台を目の前にすると
ー 軽自動車というベネフィット
ー まずはダイハツ・コペンに試乗

新型スズキ・ジムニー リーク画像 東京モーターショー登場へ

後編
ー 「日本」という独創性
ー ホンダS660に試乗
ー 日本だからこそ、軽
ー 最高の軽スポーツカー3選

「日本」という独創性

レインボー・ブリッジは赤くはないがゴールデン・ゲート・ブリッジに似ている。あるいはイギリスのセバーン・ブリッジにも似ている。

橋はどこの国でも似たり寄ったりだが、クルマに関して言えば、東京はイギリスでは手に入らない奇妙かつ素晴らしいモデルが溢れていて、クルマ好きにとってはパラダイスだ。

軽自動車に限らず、ミニバンにも様々な形、サイズ、デザインが存在する。日本製のクルマは独創的で、見ていて楽しい。日本市場はSUVブームに呑み込まれていない最後の楽園なのだ。

宿泊する富士市に向かうための高速道路は、コペンの方が運転しやすいかもしれない。なかなか進まなかったのは渋滞していたからではなく、何もないところにぽつんと自動販売機があったり、サービス・エリアで迷彩柄のケーキから猫の手の形をした料理用トングまで、何でも売られていたりしてクルマを停める誘惑が多かったからだ。

サービス・エリアの駐車場では週末にクルマ好きのオフ会がよく行われるが、この時はトヨタ・ハイエースのファンクラブが集結していた。

走行していると、コペンはスピードを出せば出すほど調子が良いことがわかる。問題なく高速道路の流れに乗ることもできる。軽自動車の制限速度は名目上100km/hだが、規定というよりは推奨のようなものだ。

パワーはなくとも、スピードメーターに設定されている最高時速140km/hまで簡単に到達してしまいそう。そうすると、女性の音声による速度超過の警告が車内に響くのだという。

たどり着いた富士市は観光に訪れるというよりは通り過ぎてしまうような港町である。カメラマンのスタンが数々の風変わりなネオンの写真を撮ろうとした瞬間、土曜の夜だというのにひとつずつ明かりが消えていってしまうような田舎なのだ。

良かった点と言えば、夕飯で毒にあたることなくフグを堪能できたことだ。

ホンダS660に試乗

翌日、わたしはようやくホンダに乗り込んだ。室内はイギリスで数年前に販売終了になったハイブリッド車のCR-Zをそのまま真似たようで、クリアでかっこいいインパネ、小さくてがっちりしたハンドル、愛らしいシフトノブとシフトブーツ、そして快適なシートが備わっている。

ダッシュボードのセンターディスプレイには軽自動車の武器とも言えるGフォースを示すメーターが、見やすく表示されている。

ステアリングはダイハツよりも重く、感覚に訴える操作感。スポーツカーらしくて、運転に没頭できる。しかし、ホンダは路面の凹凸への対応があまり得意ではないことからわかるように、シャシーまでは上手くコントロールできていない。

その点においてコペンよりはまだ優れているが、ロータス・エリーゼのミニ版とまではいかない。

ハンドリングはというと、富士山の東側の駐車場を目指して急な坂を走っている最中に小気味よく曲がるし、その楽しさを味わえた。

わたしはその日の朝、低速走行中にホンダが匂わせたロータスのようなハンドリングを発揮してくれないかと期待していた。その期待には応えてくれるかもしれないが、トラクション・コントロール・システムは残念なことにシステムをオフにしている時でさえ、コーナリングの際はどんな速度であろうが警告音を発する。

ただ、ターン・インは見事だし、コーナー出口ではテール・スライドをすることができる。このことから、小さいけれど素晴らしいスポーツカーであると同時に素晴らしい軽自動車でもあると言える。

それからわたしはあまり多くを望むことなく再びコペンに乗り換えたが、そこには嬉しい驚きが待っていた。

日本だからこそ、軽

コペンはアンダーステアが抑えられており、コーナリングで電子制御が邪魔することもないので、スピードを出したまま曲がることができる。このようなクルマに仕上げたダイハツに賛辞を贈りたい。

コーナリングでの加速を得意とするハッチバックのような性能を持っており、軽スポーツカーはこうであって欲しいと思う。

東京に戻る帰路はホンダを運転したが、雨が酷かったため富士山の神社に寄って様子を見ることにした。しかし、待てども小降りになる様子がなかったので、前を走るクルマが数台しか見えない土砂降りの中、ホンダで高速道路を走行した。

そんな状況ではS660でも、どんな軽自動車でも、風雨にさらされているような感じがするのでは? と心配になるかもしれないが、実際は全くそんなことはない。

むしろ、信頼できる「大型車」に乗っているような感覚になる。唯一不満なのは(身長178cmのわたしより座高が高い人には当てはまらないことだが)ロールバーに後頭部を打ち付けないよう首を少しもたげないといけないことだ。街乗りや山道ではいいけれど、長距離の高速道路では厄介である。

東京には暗くなってから到着した。台風ランが東京を直撃するのは翌朝6時と予想されていたのでそれまでに戻ることができてほっとした。結局ランはブライアンのように都心部をかすった程度で、甚大な被害を残すことなく澄み渡った空をもたらした。富士山にかかっていた雲もどこかへ行ったことだろう。

台風は去ったものの、今回のクルマに惹きつけられたわたしはまだ帰国するつもりもないし、軽スポーツカーの輸入についてイギリスの政治家に進言をするつもりもない。

軽スポーツカーは日本とその文化に根付くものであり、日本で運転すると喜びを得られるが、イギリスでも乗りたいかというとそうでもない。こういう楽しいクルマがあることを知っているだけで十分満足なのだ。

最高の軽スポーツカー3選

スズキ・カプチーノ

1990年代の素晴らしき名車。時代を超越するスタイリングは魅力に溢れ、イギリスに輸出された数少ない軽自動車のひとつに数えられる。

後輪駆動で、ルーフの取り外しによってクーペ、タルガ・トップ、フルオープンになる。

オートザム・AZ-1

このマツダ車はエンジンと足回りがスズキ製で、のちにスズキにもOEM供給されている。ミドエンジンでガルウィング・ドアを採用した「ミニフェラーリ」は、現在日本で最も引く手あまたの軽自動車で価値が上がっている。開発のほとんどはイギリスで行われた。

ホンダ・ビート

現行車のS660が、スタイリング・インスピレーションを受けたビート。そのデザインはピニンファリーナによるもので、S660同様、ミドエンジン/後輪駆動である。日本から輸出されたことはなく、1991年に死去したホンダの創始者である本田宗一郎が世に送り出した最後のクルマとなった。

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