クルマの中で聴く音楽を、もっと良い音で楽しみたいと思ったことはないだろうか。「カーオーディオ・プロショップ」に行けば、その思いが形になる。当特集では、そんな“音のプロ”の存在と彼らのバリューとを明らかにしようと試みている。
◆現代ハイエンドカーオーディオでは、「デジタルチューニング」が必須!
今回は、「カーオーディオ・プロショップ」が「サウンドチューニング」の達人であることについて説明していく。
[カーオーディオ・プロショップに行こう♪]プロなら、“アウター化”という高度な取り付けテクを繰り出せる!
さて、カーオーディオではもう随分昔から「サウンドチューニング機能」が活用されていて、90年代中盤以降は「デジタルチューニング」が普及しはじめた。そして今では、本格システムを組もうとする際には必ず、デジタル・チューニングを行うためのメカである「DSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)」が、システムに組み込まれるようになっている。
で、その「DSP」に搭載されている「サウンドチューニング」機能は、時代とともに進化してきた。結果、その操作の難易度もますます高まっている。しかし「カーオーディオ・プロショップ」は、それを苦もなく使いこなす。
では、どのような機能があり、それらがどのように使いこなされているのかを説明していこう。使われる機能は主には3つある。
まず「イコライザー」という機能がある。なお「イコライザー」と聞くと「サウンドに味付けを加えるための機能」だとイメージされがちだが、ハイエンドシステムにおいてこれは「周波数特性の乱れを正すための機能」として使われている。
◆車室内は周波数特性が乱れがち…。でも「イコライザー」を使えば対処可能に!
というのも実は車内は、周波数特性が乱れやすい。車室内が狭いがゆえだ。狭い室内で大きな音量で音楽を聴いていると、音が幾重にも反射する。そうすると平行面の間で音波が行ったり来たりして、結果、特定の周波数の音だけが増幅したり減衰したりする。しかし「イコライザー」を駆使すれば、増幅した周波数の音や減衰した周波数の音をフラットな状態に戻せるのだ。
ただし、その操作は簡単ではない。まずはどの周波数帯の音が乱れているのかを正しく察知するのが難しい。でも“音のプロ”はそれができる。そして詳細に設定できる高度な「イコライザー」を使いこなして、周波数特性の乱れを正していけるのだ。
2つ目の機能としては、「クロスオーバー」がある。これはマルチウェイスピーカーに対して再生範囲の割り振りを決められる機能だ。
なおスピーカーは設計段階で、最適な再生範囲の割り振り方が決められている。つまり、それも含めて設計されている。ところがクルマの中では取り付け条件と車室内環境がさまざまなので、設計どうりの割り振り方が必ずしもベストではなくなってしまう。なので取り付けた後に、最適な「再生範囲の割り振り方」を模索する必要がある。
◆プロは、取り付け状況や車室内状況に応じた最適な「クロスオーバー値」を見い出せる!
しかし「クロスオーバー」を駆使すれば、スピーカーの取り付け状況や車室内のコンディションに応じた最適な「クロスオーバー設定」を行える。
とはいえ、その操作も簡単ではない。どのような設定がベストなのかを判断する能力が必要となるからだ。しかしプロはその判断を的確に行える。各パラメーターを最適に設定し、ベストな「再生範囲の割り振り方」を見つけ出せるのだ。
もう1つ、「タイムアライメント」という機能がある。これは、各スピーカーの発音タイミングを遅らせられる機能だ。カースピーカーは各スピーカーユニットが異なった場所に取り付けられることとなる。そしてリスニングポジションが左右のどちらかに片寄るので、各スピーカーから発せられた音の到達タイミングが不揃いになる。
なのでステレオイメージが良好に再現されにくい。ステレオ再生を楽しもうとするときには本来、左右のスピーカーから等距離の場所にリスニングポジションを取る必要があるからだ。
しかし「タイムアライメント」を活用すれば近くにあるスピーカーほど発音タイミングを遅らせられるので、すべてのスピーカーから等距離の場所にいるかのような状況を作り出せる。そしてこの操作にもさまざまなコツがあるが、“音のプロ”はそれらを踏まえて当機能も正しく使いこなせる。
今回は以上だ。次回以降も「カーオーディオ・プロショップ」のバリュー解説を続行する。お楽しみに、
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